特集/コラム

【エリア特集】2010-06-25

横浜・伊勢佐木町から世界へ羽ばたけ!
新文化拠点「クロスストリート」が誕生

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 伊勢佐木町商店街のほぼ真ん中となる4丁目に、イベントスペース「クロスストリート」が誕生した。「音楽、文化、人々が交差する場所となるように」との願いを込めて人気デュオ「ゆず」のふたりが命名したこのスペースには、5月末からさまざまなジャンルのミュージシャンが続々登場している。横浜の新ランドマークとして人気を集めそうだ。

■伊勢佐木名物「路上ライブ」で街を元気に

 面積約95平方メートル、椅子50席、立ち見を含めば最大100人まで収容することができる。 キーボードにドラム、アンプ、ミキサー等ライブに必要な機材はひととおり備えられ、天井から床まで木造という作りによって心地よい音響が可能になっている。豪華な設備にも関わらず、プロ・アマ問わず施設使用料は無料。あくまでも「路上ライブ」の延長であることを重要視し、道行く人全てが観客となれるよう一面ガラス張りというデザインだ。

 青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」で一躍脚光をあび、近年はなんといっても「ゆず」誕生の地として知られる伊勢佐木町。しかし老舗デパート松坂屋の閉店など、昨今では衰退のかげりも目立つ。「クロスストリート」はそんな伊勢佐木町に賑わいを取り戻すべく、横浜市の助成で成り立つ地域活性化事業の一環として設立された。中心となったのは伊勢佐木町の商店主らが形成する協同組合伊勢佐木町商店街。かねてより路上で「ラテン・フェスタ」等生バンドを取り入れたイベントを企画・開催し、同商店街の山本理事長はその反響の多さに音楽が人を呼ぶ力を感じていたと言う。

「クロスストリート」公式ホームページ

伊勢佐木町に新文化拠点「クロスストリート」-ゆずが命名(ヨコハマ経済新聞)

■横浜の文化中心地・伊勢佐木町を復興させたい!

 5月15日に行われた記念式典には、開会時間前より多くの人々が集まり、クロスストリートに対する期待の大きさを物語った。

 「伊勢佐木町は横浜の文化拠点として栄えた歴史がある。娯楽は形を変えながら伊勢佐木町を支えてきた」と語る山本理事長に続き、「震災や戦災を経験しつつも、伊勢佐木町は娯楽とともに復興した」と松本純衆議院議員が挨拶。横浜における文化発祥の中心地としての伊勢佐木町を強調した。

 古くから商人や労働者が多く行き来する街であった伊勢佐木町には、寄席や芝居小屋、料理店などが次々に建てられ賑わいを見せたという歴史がある。さらに1880年(明治13年)に出された「見世物興行取締規則」で、伊勢佐木町1、2丁目が興行許可地に認定されると、横浜随一の「娯楽の街」として押しも押されぬ存在となった。

 その名残は近年まで見ることができる。伊勢佐木町周辺に位置する映画館は2005年までで10館以上。映画を観に伊勢佐木町へ、という感覚は多くのハマッコが持ち合わせていたものだ。しかし、みなとみらいに複合系の映画館ができて以来、その数は激減。現在伊勢佐木町に映画館は「横浜ニューテアトル」と「横浜シネマリン」の2館しか残っていない。

 「全国的に個人商店、ひいては商店街が大手ショッピングセンターに押されて経営が難しくなっている今、伊勢佐木町は地元の人が中心となり賑わいを取り戻そうと取り組んでいるのが素晴らしい。クロスストリートに人が集まれば商店街も復興する。伊勢佐木町が日本全国の商店街のお手本となって、日本を元気にして欲しい」と山田正人横浜副市長。

 みなとみらいや横浜西口が「お上」によって作られた場所であるならば、伊勢佐木町はあくまでも地元主体の街。「クロスストリート」は、まさに伊勢佐木町を知り尽くし、愛してやまない地元住民だからこそ作り得た施設と言えよう。

■独特の「ゆるさ」が名物量産の秘密

 「ハマのメリーさん」に始まり、伊勢佐木町には常に「名物」が存在する。全国デビューを果たす前の「ゆず」もまた「歌もギターもルックスも良い男の子2人組」として、伊勢佐木名物だった時代がある。そんなゆずは、横浜開港150周年を記念して出版された『OLD but NEW』(神奈川新聞社刊)のインタビューで、伊勢佐木町をこう振り返っている。「お客さんが一人も居ない日もありましたが、『またやってるな』という目で見ていてくれた。その自然な目線に救われたような気がします」

 どこへ向かうとも分からないエネルギーを、ただ黙認する。伊勢佐木町にあるそんな大らかさやゆるさが、さまざまな名物や自由な活気を生み出していると言えるだろう。

横浜開港150周年記念出版「OLD but NEW」(イセザキモール)

■伊勢佐木町で逢いましょう-あのおじさん二人組は誰?

 伊勢佐木町の「新名物」とも言うべき存在といえば、まずはこの二人組だろう。東京を本拠地にバンド活動を続ける佐藤さんと、横浜寿町にて「おたすけの会」というボランティアを続ける大藪さんだ。旧松坂屋前でプロ並みのギターの腕前を披露しているおじさんたち、と言えばご存知の方も多いだろう。

 「天気のよいとき、気が向いたとき」ギターを片手に路上に立つ二人だが、ユニット名はない。「そのときの天気や気分次第」という選曲は、昼下がりの伊勢佐木町の贅沢なBGMとなる。「みかんの花」「月の砂漠」「銀座の恋の物語」「東京ナイトクラブ」「知床慕情」など、誰もが知る曲の数々に通行人は足を止め、「有楽町で逢いましょう」の「有楽町」を「伊勢佐木町」に変えて歌えば、そこかしこから笑いと拍手が沸く。

 取材当日は、ミュージシャン・平魚泳さんが飛び入り参加。年齢も仕事もなにもかも全く異なる3人が、音楽によって結びつき、ひとつの歌を奏で、その音楽を街行く人々が笑顔で囲む。音楽とはコミュニケーションツールであることを改めて思い起こさせてくれた。

平魚泳旅日記

■クロスストリートから世界にはばたけ!

 横浜にゆかりの深いミュージシャン・ミッキー吉野さんらによるテープカットが行われ、いよいよクロスストリートが開場。会場内でライブが始まると、さっそく周辺には黒山の人だかりができた。テレビやインターネットなど、好きな娯楽を好きな時間に好きなだけ楽しむことの出来る今日においても、生演奏が人を魅了する力は変わらないようだ。

 クロスストリートはライブに限らず、芝居や寄席の発表などにも使用可能な多目的スペース。伊勢佐木生まれ・伊勢佐木育ちの新たな才能が、クロスストリートから次々と羽ばたいていくことだろう。

伊藤英子 + ヨコハマ経済新聞編集部

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