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ローカルグッドヨコハマがクラウドファンディング開始―若者就労支援など3案件公開

LOCAL GOOD YOKOHAMA」(ローカルグッドヨコハマ)のクラウドファンディング機能

LOCAL GOOD YOKOHAMA」(ローカルグッドヨコハマ)のクラウドファンディング機能

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 NPO法人設立準備中の団体「パノラマ」(横浜市中区相生町3)が、進路未決定の高校生が卒業後に無業に陥る状況を変える就労支援プログラム展開をするため、クラウドファンディングに挑戦している。

田奈高校の図書室で活動する「パノラマ」の石井正宏さん

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 「パノラマ」理事長の石井正宏さんがチャレンジしているのは、有給職業体験プログラム「バイターン」プロジェクト。10月24日から、クラウドファンディングなど新しい機能が追加された「LOCAL GOOD YOKOHAMA」(ローカルグッドヨコハマ)で、プロジェクトを開始した。

 クラウドファンディングとは、「群衆」(クラウド)による資金調達という意味で、日本では「インターネットを活用し、物品購入する形をとって不特定多数の人達から実質的な支援金を調達するしくみ」。

 石井さんは、進路未決定の卒業生が多い神奈川県立田奈高校(青葉区桂台2)で、地元企業の協力を得ながら就職希望の高校生を応援する「有給職業体験プログラム・バイターン」を実施、正規雇用に結びつけるなど、着実に成果をあげていた。神奈川県の支援を受けて実施されていたが2013年に事業期間が終了し、活動の継続がむずかしくなっていた。

 今回のクラウドファンディングへのチャレンジでは、事業を存続させ、全国に情報発信していくための費用の調達を目的にしている。費用が確保できれば、資金不足から現在休止している学校での相談活動が復活し、進路に不安を持つ高校生たちの相談や高校生を支援したい地元企業の開拓をすることができる。あわせて全国で使えるオープンな「バイターン活動」の運営マニュアルのバージョンアップが可能になるという。

 長年、困難を抱える子どもたちの支援をしてきた石井さんは「高校卒業時期に予防的に支援しておけば、後年に無職状態に陥る人が減らせる。1度、無業になると社会保障、支援コストもかかるし、なにより本人のやる気も失われ、正規雇用に結びつけることが大変。10代のうちに充分にサポートして、地域のつながりの中で就職できれば、多くの若者たちを自立に導くことができる。さらに、中長期的に見れば、生活保護費などが減って国や自治体の財政健全化にも結び付くはず」と語る。

 このほかに、知的障害者が、ものづくりのプロとしてのプライドを持って働く場所としてのコミュニティレストラン「ファール ニエンテ」の開設準備を進める社会福祉法人「開く会」は、横浜市営地下鉄下飯田駅(泉区下飯田)前の同店敷地内に、障害を持つ人と持たない人が隔てなく、集い、憩い、共に手入れができる「みんなの庭」をつくろうという提案でチャレンジ。

 さらに孤立しがちな高齢者や障害者、生活に困難を抱える若者など、既存の福祉制度では対応しきれない人々を受け入れる場としても運営されている、ものづくりワークショップ&コミュニティカフェ「いのちの木」(都筑区仲町台)を運営するNPO法人「五つのパン」理事の岩永敏朗さんも支援を求めている。住み慣れた地方の家を離れ、子どもたちが住む横浜で独りで暮らす高齢者女性たちが集う編み物サークルを「仕事の場」とすることを目指している。その第一歩としてのオリジナルニット商品開発にかかる経費とデザイナー人材を募集する。

 いずれのプロジェクトも障害や貧困、病気などの困難を抱えていてもすべての市民が社会に包摂され、地域で働くことのできる「コミュニティ経済」の実現を目指している。

 「LOCAL GOOD YOKOHAMA」は、NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボが(中区相生町3)、アクセンチュア株式会社(東京都港区)のCSRによる支援を受けて開発した。横浜市政策局共創推進室の共創案件として、横浜市が持つさまざまな統計データやオープンデータを活用したウェブサイトとして6月にプレオープンし、テスト運営を行ってきた。

 10月に「クラウドファンディング」と地域の住民が得意な技術を登録して地域活動に参加するきっかけとなる「スキル登録」機能が加わった。全ての機能が出そろったことで、地域課題に気づき、その解決のために動いている市民・企業が、共感した支援者から支援金を集め、みんなで地域課題を解決に乗り出す参加のしくみが整った。ICTを活用した多様な民間主体による共創的な課題解決の取組が本格的に始まった。

 12月2日までのクラウドファンディングの期間中は、文部科学省の「地(知)の拠点事業」(大学COC事業)に取り組む横浜市立大学や、横浜国立大学の教員たちとも連携しながら、それぞれのプロジェクトの社会的意義を多くの人たちに伝えるためのイベントも企画している。

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