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開館60周年・神奈川県立音楽堂がコンサート企画「還暦!記念週間」

建築家・前川國男の設計による神奈川県立音楽堂(1階ホワイエ)

建築家・前川國男の設計による神奈川県立音楽堂(1階ホワイエ)

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 神奈川県立音楽堂(横浜市西区紅葉ケ丘9)は11月3日から、開館60周年を記念したコンサート企画「還暦!記念週間」を開催している。

1954年開館当初の「神奈川県立音楽堂」

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 神奈川県立音楽堂は、戦後復興期のシンボルとして1954年11月4日、公立施設としては日本初の本格的な音楽専用ホールとして開館。今年で開館60周年を迎える。「還暦!記念週間」では、開館60周年記念の特別プログラムを連続で公演する。第21回神奈川国際芸術フェスティバル「祝祭 円熟の未来へ」 の一環。

 プログラムは、仏教儀式の中で僧侶たちが伝えてきた声楽「聲明(しょうみょう)」による「音楽堂で聴く聲明 四箇法要(しかほうよう) - 花びらは散っても花は散らない」(11月3日)、モーツァルト「魔笛」とベートーヴェン「フィデリオ」の2つのドイツ・オペラを紹介する「大野和士のオペラ・レクチャーコンサート」(11月4日)、建築家、専門家らのレクチャーや対談、音響を体感できるミニ・コンサート「音楽堂建築見学会特別編」(11月5日)、「合唱の殿堂 県立音楽堂」還暦記念演奏会(11月8日、神奈川県合唱連盟主催)、オーケストラの多彩な表現を紹介する「60周年記念 オーケストラ・コンサート」(11月9日)。

 「還暦!記念週間」の最後を飾る「60周年記念 オーケストラ・コンサート」では、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・篠崎靖男さんを指揮者に迎え、大編成オーケストラ作品とともにコンチェルト2曲を演奏。神奈川フィルハーモニー管弦楽団、ソリストの宮田まゆみさん(笙 しょう)と加藤訓子さん(マリンバ)が競演する。演奏曲は、武満徹「セレモニアル - 秋の頌歌」、ドビュッシー「海」、一柳慧「マリンバ協奏曲」、ストラヴィンスキー「火の鳥」。1905年に初演されたドビュッシー作曲「海」の初版スコアの表紙には、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」より、富士の姿を描いた傑作浮世絵「神奈川沖浪裏」が印刷されているという。

 神奈川県立音楽堂の前島智子さんは「1954年11月4日の夕刻、神奈川県立音楽堂で最初に行われたのはオーケストラのコンサートだった。60周年記念オーケストラ・コンサートは、音楽堂が生きてきた20世紀という時代に生まれた作品を取り上げたユニークなプログラム構成。出演者らのトークも交えながらの親しみやすい雰囲気で音楽堂の還暦を祝う。特に地元の皆様にご一緒いただけたらうれしい」と話す。

 各プログラムの詳細はホームページから。問い合わせは神奈川県立音楽堂業務課(TEL 045-263-2567)まで。

 神奈川県立音楽堂は、フランス人建築家ル・コルビュジエの弟子で、日本モダニズム建築の旗手と言われた建築家の前川國男がロンドンの芸術施設「ロイヤル・フェスティバル・ホール」をモデルに設計。ホールの壁面が全て木で作られている「木のホール」として知られており、開館当時に「東洋一の響き」と称賛された。アコースティックな響きを特徴とし、クラシックコンサートのほか、舞踊、コーラスの発表の場など幅広く使用されている。

 同施設は、オーケストラ、室内楽、古楽、日本の伝統音楽など多彩なジャンルで独自企画を実施するとともに、アマチュアの合唱団など市民の音楽活動の場としても定着。戦後の音楽文化の振興に貢献した点が評価され、2013年度に「地域創造大賞(総務大臣賞)」を受賞している。

 神奈川芸術文化財団芸術総監督で作曲家・ピアニストの一柳慧(いちやなぎ とし)さんは、「いい芸術はいい建築空間に触発されて生まれることが多く、神奈川県立音楽堂の品格は、プロデューサーの演出と、前川建築による力が大きいと思う。今後も開館当時の精神を離れずに、時代と共に歩みながら、さまざまな公演プランを考えていきたい」と話している。

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