寿作戦で「寿公園」がリニューアル-ジャングルジムをモチーフに

リノベーション後の「寿公園」

リノベーション後の「寿公園」

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 中区・寿町地域で唯一の児童公園として親しまれている「寿公園」(横浜市中区寿町3)の第1期リニューアル工事が4月に完成した。

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 同リニューアルは、寿オルタナティブ・ネットワークのプロジェクトの一つとして、建築家集団「みかんぐみ」の曽我部昌史さんが講師を務める、神奈川大学曽我部研究室が「寿作戦」と名付けて取り組んでいる公園プロジェクト。

 「寿作戦」は寿公園と寿町総合労働福祉会館周辺の再整備計画で、寿町で暮らしている人たちと町の良さや問題点について話し合い、より「寿」となるような環境をデザインしていくことを目標にしている。

 寿公園は1967年に開園。寿町の中心に位置し、保育園の行事、遊び場、不用品バザール、ラジオ体操などさまざまな用途で活用されている。17年にわたり毎週金曜日に炊き出しが行われており、リニューアル前は給排水設備などが老朽化していた。

 今回のリニューアルでは、ジャングルジムを空間デザインのモチーフとし、多機能型公園として計画するとともに、炊き出しの機能を防災時対応型公園と位置づけ、そのための用具をオブジェとして配置した。

 行政・地元・地域活動団体・大学が協働で行うプロジェクトで、工事発注(公園整備主体)を中区土木事務所、公園設計を神奈川大学曽我部昌史研究室、プロジェクトのコーディネートを寿オルタナティブ・ネットワークが担当している。再整備は2カ年で終了する予定。

 4月9日に寿公園で行われたオープニングセレモニーには、関係者や地元の園児など約300人が参加し、テープカットや合唱で公園の新たな門出を祝った。

 みかんぐみの曽我部さんは「今回のデザインの方向性は、『公園でできること(多用途)』と『みんなで育てる公園(冗長性)』。公園はその町の生活空間の一部なので、その町がどういう町なのかによって、求められる姿が異なっているのが自然です。寿公園の多様な用途が引き寄せられるなか、ジャングルジムのような形のものが、季節や時間帯やそこに集まる人々によって、遊具やギャラリーなど違ったものに見えてくる、炊き出しもしやすくなるような場所。この町には色々な立場の人がいて、それぞれの立場で町に求めることの方向が異なります。何かひとつの方向を語ってしまわない、あらゆる可能性に開かれた、これから変貌(へんぼう)を重ねていくような姿を目指してデザインしました」と話している。

 寿オルタナティブ・ネットワークは、アーティストやクリエーターらで構成され、多様な立場の担い手が行う文化的な活動による町の活性化を目的として、活動拠点や各種催しの場づくり、ネットワーキング活動などを行っている。

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