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西区でセミナー「不登校・ひきこもりの当事者ニーズを考える」―ヒューマン・スタジオ

2013年に行われた第19回青少年支援セミナーの様子

2013年に行われた第19回青少年支援セミナーの様子

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 民間非営利相談機関「ヒューマン・スタジオ」(藤沢市鵠沼藤が谷3)は3月2日と9日、神奈川県立青少年センター別館(横浜市西区宮崎町56)で「第20回青少年支援セミナー~不登校・ひきこもりの当事者ニーズを考える」を開催する。

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 ヒューマン・スタジオ代表・丸山康彦さんは、学生時代に不登校を経験し、社会人になってからも6年半ひきこもったことがある。「現在の『教育システム』は必ずしも子どもたちにとって良いことばかりではない」と考え、1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」開設。その後2001年10月に現在のヒューマン・スタジオを設立した。

 相談を寄せてきたひきこもり当事者の家族には、面談を通じて不登校やひきこもりになる子どもの心理を説明し、理解を促している。家族の態度など周囲の状況が変化することにより、ひきこもり当事者の罪悪感を軽減し、気持ちを楽にすることが大切だという。周囲の理解によって環境が変わり、自然と状態が改善していく例もあるという。

 ヒューマン・スタジオではこうした「相談業務」のほかに、メールマガジンやブックレットによる「情報発信業務」、そして青少年支援セミナーなどの「公開業務」を、活動の3本柱としている。

 「青少年支援セミナー」は2002年12月にスタート。これまで19回にわたって、神奈川県内を中心とした関係団体運営者や当事者らが登壇し、子どもの不登校とおとなのひきこもりを多様な角度から取り上げてきた。新たな事業の展開という節目を迎え、セミナーは今回が最終回となる。

 1日目の3月2日は、最終回特別プログラムとして、2つのテーマでシンポジウムを実施。トーク1「出演者トーク:私・不登校・ひきこもりのあのときと今~出演経験者に聞く~」は、丸山さんの進行で、過去のゲストである精神科医の関口宏さんや、成績不振児専門塾から就労支援団体に転職した堀内和彦さん、社会学者の石川良子さんなどが議論を展開する。

 トーク2「当事者トーク:非支援で行こう!私たちの活動と未来を語る~」では、伊藤書佳さん(編集者)、勝山実さん(著作家・自称ひきこもり名人)、林恭子さん(古書店経営、「ヒッキーネット」事務局)ら、当事者が参加する定例会などの運営に携わる3人のゲストに話を聞く。

 2日目の9日は、2講座を開催。講座1「不登校・ひきこもり~家族コミュニケーションのポイント~」は、保護者向けに丸山さんが解説する。講座2「当事者は何を求めているか~"スロープ型支援"の可能性~」では、一般的な「家庭訪問→フリースペース→トレーニング」という"階段型"の支援システムから、丸山さんの提唱する「在宅のまま居場所を獲得していく」"スロープ型"の支援への転換について当事者とともに考える。 その後、終了式として「『青少年支援』から『生きる支援』へ~関係者挨拶と活動予告~」を行う。

 丸山さんは「成人のひきこもりに関しては『長期化』や『高年齢化』といった状態も指摘されるようになり『青少年』という枠組みでセミナーを開催する意味が薄れてきたと感じ、今後新たな活動に注力していくため、現在の青少年支援セミナーは今回をもって最後の開催とすることにしました。今回は10年続いたセミナー活動にも協力してくれた多彩なゲストとともに、これからの取り組みを考えていきたい」と話している。

 申込は当日会場で受け付ける。開催時間は13時~16時45分。費用は各講座800円(当事者同200円、両日参加割引あり)。申込・問い合わせは、ヒューマン・スタジオ(TEL 0466-50-2345または090-9805-1642)まで。

 なお、丸山さんは2013年6月、NPO法人「湘南市民メディアネットワーク」代表理事の森康祐さんらと、新たに「湘南ユースファクトリー(SYF)」を設立(NPO法人申請準備中)。社会や学校に「復帰させるための支援」ではなく、不登校・ひきこもりの最中から将来にわたるまで、どの段階においても生きることが楽になる・共生のあり方を模索し、創造することを目指すという。

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