ゆず生誕の地「横浜松坂屋」が10月に閉店解体-144年の歴史に幕

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 横浜松坂屋(横浜市中区伊勢佐木町、TEL 045-261-2121)の持ち株会社のJ・フロントリテイリングは6月24日に開催した取締役会で、144年の歴史を持つ同百貨店を10月26日に閉店することを決定した。

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 閉店の理由は、立地や競合店舗など周辺商環境の変化による業績の低迷に加え、本館建物の老朽化が進んでいること。閉店後は本館建物を解体・撤去し、低層階に商業・サービス機能を備えたマンションとの複合施設を建設する予定。2000年より日本中央競馬会に賃貸している旧横浜松坂屋西館(エクセル伊勢佐木)の不動産事業は安定した収益が期待できることから事業を継続する。

 横浜松坂屋は1864年に前身である野澤屋呉服店として中区弁天通りに創業。その後、1910年に現在の伊勢佐木町に百貨店としてオープンし、長らくイセザキモールの象徴的な商業施設として親しまれてきた。人気デュオ「ゆず」が店の前で路上ライブ活動をしていたことでも知られ、2003年のNHK紅白歌合戦出場の際は、店舗前より生中継を行った。横浜最古の百貨店に相応しい風情あるアールデコ調の建物は、2004年に横浜市が認定する「横浜歴史的建造物」にも選ばれている。

 1992年には年間売り上げ約300億円を記録したが、近年の横浜駅周辺やみなとみらい地区の開発などが業績低迷に拍車をかけ、百貨店事業は25期連続赤字となり、2008年2月期の売上高は約87億円に落ち込んでいた。百貨店事業終了に伴う損失は、今年8月中間決算で損失引当額を30億円程度、特別損失に計上する予定。

 同百貨店では「西館の賃貸事業によりトータルでは黒字だったが、百貨店事業の好転は今後望めないため撤退を決めた。今後については横浜市や町内会と協議した上で、一部外観などを残すことなども含め検討する予定」としている。

 J・フロントリテイリングは、百貨店の大丸と松坂屋を傘下に持つ松坂屋ホールディングスが、株式移転による経営統合で2007年9月3日に設立した持株会社。

横浜松坂屋J.フロント リテイリングスリーエフ×「ゆず」コラボ企画でライブ招待など(ヨコハマ経済新聞)横浜松坂屋、2007年福袋に「一戸建て住宅」-2,625万円(ヨコハマ経済新聞)横浜市、松坂屋本館など4件を歴史的建造物に認定(ヨコハマ経済新聞)

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