特集

横浜でエコな暮らしを考え・実践する
家電de「エコ活。」フォーラムとは?

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■YESの一環として実施

 「家電de『エコ活。』フォーラム」は、市が2009年度から取り組んでいる「ヨコハマ・エコ・スクール(YES)」の一環として行われるイベント。これは、市内でさまざまな団体や学校・企業などが行っている環境問題への学びの場をYES(イエス)という統一的なブランドで提供し、全市的な動きに広めていこうという市民参加型のプロジェクトだ。初年度は114講座を開催、約5,000人が参加した。環境・地球温暖化問題に関連する知識を学ぶ講座では、第一線で活躍する専門家、研究者の講義を受けることができ、エコ・カフェと呼ばれるワークショップでは、気軽に楽しめる内容のプログラムに参加することができる。

ヨコハマ・エコ・スクール(YES)

■節約上手な「家電エコ」のすすめ

 今回、3月4日に、はまぎんホールヴィアマーレで開催される「エコ活。」フォーラムの大きなテーマは「家電とエコ」。普段何気なく使っている生活家電だが、実はちょっとした使い方の工夫次第で、消費エネルギー量を抑えることができるということをご存知だろうか。たとえば冷蔵庫。実はあまり知られていないかもしれないが、季節に合わせて設定温度を変えるだけで、1週間で約3,700Whもの省電力になるという(参考:財団法人省エネルギーセンター「上手にいただきます」)。そのほか、家庭の主な家電の上手な使い方例を参考までにご紹介しよう。

【電子レンジ】
野菜の下ごしらえに電子レンジを活用するといい。ガスコンロで最初から調理するよりも、年間のエネルギー消費量を削減できる。ほうれん草、キャベツなどの場合、ガスコンロだと年間のガス使用料が約1,310円、電子レンジだと年間の電気料は約290円。約1,020円の節約となる。CO2削減量は約14.0kgだ。

【冷蔵庫】
季節に合わせて設定温度を変えてみよう。夏以外の季節は弱めにするなど、こまめに設定を変更。また、置く場所に関しても正しい設置を心がける。周囲に適当な間隔を空け、壁にくっつけすぎない。上にモノを置かないようにする。直射日光が当たる場所や、ガスコンロの近くなど、温度が上がりやすい場所はなるべく避けたほうがいい。冷蔵庫の開閉時間に注意し、開ける回数を減らすことも大切。

【テレビ】
観ないときにはスイッチOFFを心がけるというのは常識だが、実は意外な省エネテクニックがある。それはテレビ画面の明るさを変えるということ。輝度を調節すると、電気消費量の節約になる。

【照明・LEDランプ】
古い家電を使い続けるよりも、省エネ家電に買い換えることのほうが、実は消費電力を節約でき、数年でもとが取れる「エコ投資」になると言われている。その代表と言える存在がLED照明だ。横浜市では「LED電球メガワットキャンペーン」を行い、LED電球への買い替えを推奨している。キャンペーン商品となるLED電球を通常価格よりも安く提供し、一人でも多くの市民に家庭でのCO2削減を実行してもらおうという試み。3万4,000世帯が白熱電球1個をLED電球に替えると、1メガワットの消費電力を減らすことができるのだという。

 ちなみに1個あたりの電球の差をみると、40W型一般電球では消費電力36W、年間電気料金は約1,500円だが、電球型LEDランプの場合は消費電力6.4~7.6W、年間電気料金は約310円となり、LEDランプ代を考えてもわずか1年あまりで元が取れる計算になる。

財団法人省エネルギーセンター

横浜LED電球メガワットキャンペーン

■横浜市では市民一人ひとりの努力が大切

 横浜市では「家庭の一人ひとりのエコ活動が、市全体のCO2削減につながる」という呼び掛けを行っている。というのも、横浜は市全体の温室効果ガス排出量に占める家庭からの排出量の割合が一番多いのだ。家庭よりも工場などのほうが多いのでは、と考えがちだが、東京などの都市とは異なり、住宅の多い横浜市では家庭部門からの排出が23.0%、産業部門は15.6%となっている(平成19年度、資料出典:横浜市地球温暖化対策事業本部)。CO2削減について、「どうせ自分一人が努力しても、小さなことしかできない」と消極的になることなく、横浜市ではその小さな努力こそが、大きな成果につながるということを意識しておきたい。

 なお、家庭内の燃料別CO2排出量で一番多いのはやはり電気で、42.4%となっているその次がガソリンで29.0%。つまり各家庭の電力消費量のコントロールが、CO2削減のための重要なカギとなるわけだ。また、各家庭の用途別CO2排出量を見ると、照明・家電製品などからが32.7%、ついで自動車が30.3%となっている。こうしたデータからも、やはり家庭における照明・家電のエコ活動がいかに大切かがわかる(資料出典:温室効果ガスインベントリオフィス)。

■俳優の別所哲也さんや細川茂樹さんも出演

 家電de「エコ活。」フォーラムには、三菱総合研究所理事長・前東大総長でYES名誉顧問の小宮山宏さんが登壇し、「暮らしの中の省エネ術~エコ家電とエコハウス」について基調講演を行う。また、俳優の別所哲也さんや「家電俳優」として知られる細川茂樹さんも登場予定だ。

 『地球を学ぼう』がキャッチフレーズの「ヨコハマ・エコ・スクール」において、小宮山さんは名誉顧問を、別所哲也さんはアンバサダーを務めている。横浜に縁があり、ライフワークのショートフィルムでも温暖化対策をテーマに取りあげるなど、エコにも関心が高いという別所さんは、ステージイベントのパネルディスカッションでモデレーターを担当する。

 また、ゲストの細川茂樹さんはプライベートでもさまざまな家電を趣味で集め、生活を楽しんでいるという家電マニア。エコ家電についても、自身のブログで「消費者が自分のライフスタイルを把握し、製品学習しないと家電を買ってはいけない時代。政府支援策や製品スペック、企業姿勢なども踏まえた上で、自分に必要かどうか毎日のランニングコストを改めて知った上で購入するのが本当に無駄のないエコ」と熱く持論を展開する。イベント当日も、最近のエコ家電について独自の目線であれこれ語ってくれるだろう。

T voice(別所哲也さんオフィシャルホームページ)

細川茂樹さんオフィシャルブログ

■エコツアーで知るみなとみらい

 また、当日は事前に申し込んだ市民を対象とした「みなとみらいエコツアー」も企画されている。地元の人間にとってみなとみらいの見慣れた風景も、環境設備のさまざまなシステムを熟知すれば、違った風景に見えてくるものだ。

 たとえば2010年に竣工したみなとみらいセンタービルでは、オフィスフロア共用部の中心にエコボイドと呼ばれる吹き抜けを設置。この空間を活用して、降り注ぐ太陽の光を3種類のミラーで建物内に取り入れる太陽光自動追尾システム「T-Soleil(ティー・ソレイユ)」を導入し、照明電力の削減に努めている。また800坪のリビングガーデンに緑を配置し、ヒートアイランド対策にも役立っている。

 また、桜木町駅前広場から横浜ランドマークタワーを結ぶ全長232mの「動く歩道」では、平成20年度に屋根部分に太陽光発電システムを設置。みなとみらい21熱供給株式会社(中区桜木町1)では、地域冷暖房システムを採用。みなとみらいエリアの複数のビルの冷暖房・給湯等に貢献している。

 ツアーではこれらの施設を視察予定で、定員は40人。希望者はイベント事務局(TEL 045-633-9660)まで。

みなとみらいセンタービル

みなとみらい21熱供給株式会社

■「エコ活。」が目指すものは?横浜のエコな取組みいろいろ

 横浜市では、エコに関するさまざまな取組みを行っている。そのなかでも親しみやすいネーミングで活動が広がりつつあるのが「エコ活。」。これは、日常で誰もが気軽に参加できる「身近なエコ活動」の輪を広げていくために始まったキャンペーンだ。一般市民から募集したモニターに対し、企業の専門家が省エネアドバイスを行う「CO2バスターズプロジェクト」なども展開され、実際の家庭生活で応用できるアイデアを紹介している。

「Yokohama エコ活。」開始!!(横浜市地球温暖化対策事業本部)

省エネのアドバイザー・CO2バスターズのお宅訪問(横浜市地球温暖化対策事業本部)

 また、横浜市は次世代エネルギー・社会システム実証を行う「横浜スマートシティプロジェクト」を推進している。これは未来に向けて、低炭素社会を実現するためのインフラや情報システムの構築を目指すというもの。将来的には一般家庭においても活用され、家電機器や給湯機器など住宅内のエネルギー消費機器をネットワーク化し、自動でコントロールすることを目指している。そのために太陽光発電などの再生可能なエネルギーの活用や、蓄電池の技術開発など、スマートシティ実現のためのさまざまな発展が期待されている。

 このスマートシティプロジェクトや、横浜市のエコに対する取組みに関して、林文子市長は以前「重要なことは、市民の利便性を損なわない快適なエコの実現です。ヨコハマ・エコ・スクール(YES)なども活用し、市民の力によって低炭素型ライフスタイルを促すとともに、世界のスマートシティのモデルとなる横浜型ソリューションを目指し、官民一体となって取り組んでいきます」と語っている。

横浜市が経産省「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定(ヨコハマ経済新聞)

横浜市が「スマートシティプロジェクト」プランを経産省に提出(ヨコハマ経済新聞)

■フォーラムを「エコ活。」のきっかけに

 さまざまな形で行われている「横浜のエコ」。これらの取り組みは、先述の通り市民により浸透してこそ本領を発揮すると言えるだろう。横浜市地球温暖化対策事業本部の黒田美夕起さんは「日進月歩でより便利に、よりエコになっている家電は『エコ活。』入門の強い味方。そして、実はこの家電の進化は、将来のスマートシティの実現にも密接につながっています。家電を賢く使っておサイフにもやさしい『エコ活。』に取り組むことが、将来のまちづくりにもつながっていることを、このフォーラムで実感していただきたいです」と話す。

 イベント会場では1部の来場者を対象に40型の省エネ液晶テレビやLED電球などが当たる大抽選会も予定されており、盛り上がりを見せそうだ。「エコ活。」へのきっかけとなる要素が満載のフォーラム、ぜひ気軽に足を運んでみては。

はまぎんホールで「家電de『エコ活。』フォーラム」-ゲストに家電俳優・細川茂樹さんら(ヨコハマ経済新聞)

家電de『エコ活。』フォーラム(横浜市地球温暖化対策事業本部)

東みちよ + ヨコハマ経済新聞編集部

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