特集

横浜ならではの秋の味覚を楽しむ!
2大グルメフェスティバルの裏側

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■新たな横浜グルメを生み出す「ワールドグメルフェスティバル」

横浜の都心部全体を拠点とし10月8日から 11月6日までの30日間に渡り開催される「第2回ワールドグルメフェスティバル」。単なるスポットイベントではなく、横浜市内8区が参加して行われる大規模フェスティバルだ。横浜市内に所在するホテル・飲食店・食材店等の73店が参加し、新鮮な地元食材(横浜・神奈川県産品)を使った世界のグルメレシピ(ディナー・ランチ)を創作。食材面では横浜中央市場本場も協力している。参加店舗では、各国の伝統料理・食材による参加店独自のアイデアを盛り込んだオリジナルメニューとプレミアム食材が提供される。メニューの価格は、「ランチ」の場合2,000 円程度、「ディナー」の場合は8,000円程度が目安。ジャンルの制限はなく、和・洋・中と様々な料理が楽しめるフェスティバルだ。また、デパートなどの商業施設においては通常では普段取り扱いの無い世界の食材や、この期間しか手に入らない期間限定旬食材、あるいは流通量が極めて少ない食材、リカーや茶、またはスウィーツなどの加工食品と地産食材原料とした商品を、1 品目につき1,500 円(セット商品も含む)から販売する。

「第2回ワールドグルメフェスティバル」
ワールドグルメフェスティバル 「カフェフローラ」の山ゆりポークと地場の野菜を使ったコース

■73店で地元産食材を使ったオリジナルメニューを提供

ワールドグルメフェスティバルの今年のテーマは「地元・神奈川・横浜産の食材」。参加各店舗は、どういったオリジナルメニューを創作しているのだろうか。ナチュラルフランス料理「エリゼ光」では、神奈川県の二宮・秦野で採れた栗を使用した「二宮の井上さんと秦野の栗原さんが収穫した栗で作った世界一美味しいモンブラン」を提供。シェフの六川光さんは、「神奈川県の色々な栗を集め、試した中からこの2つを選びました。栗は自然のものですから、毎年同じものを作ることは出来ません。その都度、砂糖の配分などを研究し、世界一美味しいモンブランを提供しています。出来るだけシンプルに素材の味を生かしたデザートを、ということで色々な混ぜ物を使わずに、素朴で濃厚な味に仕上げています」。ワールドグルメフェスティバルの期間のみ、アイドルタイム(12時30分~16時30分)を開放し、食事をしなくてもモンブランを楽しむことが出来る。(要予約)

横浜クルーズ・クルーズでは、横浜で焼いたパンを主食に、横浜市泉区で育てられた地元豚「はまぶた」と「葉山牛フィレ」を使用、1日20名までの限定コースを提供。「はまぶたは、一般的には売られていない稀少な地元豚。くさみが無く、脂もおいしく、あっさりしています。素材の良さを味わってもらうため、数種類の薬味でお召し上がりいただきます」。鶴見区の住宅地で19年間続くレストラン「西洋懐石 ラ・ココット」では、横浜産の菊菜や、横浜生まれのほうれん草「はま菜ちゃん」、小柴漁港で採れる太刀魚を使った「お楽しみ収穫祭」コースを提供。「普段は日替わりのコースですが、今回は特別に横浜の食材を多数使用した特別メニューを提供します。『はま菜ちゃん』は、根がついた状態で売られており、全て新芽でやわらかいのが特徴です」。他にも、三浦・厚木、横浜で採れる野菜や、相模湾の新鮮な魚を使い、各店が工夫をこらしている。

ナチュラルフランス料理 エリゼ光 西洋懐石 ラ・ココット 横浜クルーズクルーズ
ナチュラルフランス料理「エリゼ光」の「二宮の井上さんと秦野の栗原さんが収穫した栗で作った世界一美味しいモンブラン」 「エリゼ光」代表でシェフの六川光さん 「横浜クルーズ・クルーズ」の「はまぶた」と「葉山牛フィレ」を使用した限定コース 「西洋懐石 ラ・ココット」の「お楽しみ収穫祭」コース

■横浜の歴史を伝え、新たな食の未来像をつくる

フェスティバルを主催するのは近代日本開国・横浜開港150周年記念事業推進協議会。日米和親条約が締結され開国150年となる2004年から、横浜開港150周年を迎える2009年までの期間、横浜の新たな活性化策として、横浜の未来像を視野に入れた記念事業を実施している団体だ。横浜開港150周年記念事業推進協議会では、これまでに横浜開港記念みなと祭、第50回国際花火大会や横浜開港祭、第53回国際仮装行列など、横浜の代表的イベントを「開港」という視点でサポートしてきた。「ワールドグルメフェスティバル」もその事業の一つだ。第1回目は開国150周年である昨年に「横浜開港とともに伝えられた様々な欧米の食文化を通じ150年の歴史に触れ、2009年の開港150周年を広くアピールすること」を目的として開催され、好評を博した。今年は続いて2度目の開催となる。

横浜開港150周年オフィシャルサイト 横浜イーページ 「第2回ワールドグルメフェスティバル」

狙いは、来店者に「横浜限定」「期間限定」「お店限定」の味を堪能して貰うこと。そして近代日本開国年をアピールするとともに、150年の横浜の歴史と文化を再発見してもらう。各店舗で食事及び対象商品を購入した人には、ユニークで便利な150周年記念オリジナルグッズが配布される。ディナー及び対象品購入者には軽くて持ち運びができる折りたたみ式の「開港ハンガー」、ランチ及び対象品購入者には「開港メジャー」。150cmのメジャーの裏側には、日米和親条約からの横浜の歴史が50年ごとに色分けをされて刻まれており、見るたび横浜の歴史に親しむことが出来る。

また、今年は「横浜の食に、更なる夢と話題を」と、新規事業もスタート。フェスティバル実施期間中の11月2 日、限られた販売価格で横浜らしさを打ち出すとともに、どこまで美味しい弁当が出来るかを競う『ハイカラ弁当コンテスト』を開催。審査基準は横浜らしさ・弁当らしさ(携帯性など)・味覚・アイデア・栄養・芸術性・価格バランス(税込1,500 円まで)など。10店が参加する同コンテストは料理評論家 山本益博氏が審査委員長となり、フードコーディネーター、フルタニマサエ氏や公募による一般審査員30名で審査を行う。全参加店が、実際にその弁当を期間限定で商品化し販売していく方針だ。

山本益博オフィシャルサイト マダムマーサ・クッキングスタジオ(フルタニマサエ)
150周年記念のロゴマーク 折りたたみ式の「開港ハンガー」 横浜の歴史が刻まれた「開港メジャー」 割烹「田中家」のフォアグラタワー」

■上質な“食”とホスピタリティーで横浜ファンを増やす

昨年の立ち上げ時からワールドグルメフェスティバルを担当している横浜150協議会 事務局長の倉田さんは、フェスティバルへの想いをこう語る。「横浜の開港は日本の食文化に大きな影響を与えました。西洋野菜や牛肉は、横浜港を間口として全国に広まっていった。そんな横浜の“今”を盛り上げるべく、始まったのがこのイベントなんです」。一拠点ではなく、横浜市域を対象に取り組む「グルメフェスティバル」にしたことには理由がある。それは、単なる祭りとしてだけでなく「横浜の歴史を知ってもらいたい」というテーマがあるからだ。「横浜市民として育ってきた人でも、中学・高校で学んだ開国・開港の歴史は忘れてしまいがち。こうしたフェスティバルを通じて神奈川や横浜の食材、地産を身近に感じてもらいながら、横浜の開港の歴史を思い出させるキッカケ作りができれば…と考えているんです」。

また「横浜の食文化を他都市より上質な魅力あるものにしたい」との想いもある。「実のところ、横浜だけに関して言えばパッと思いつくような地産は今はありません。ですが、調理のバリエーションは驚くほど豊富に持っている。西洋料理に関しても横浜はパイオニア。現在のフランス料理の草分けであるともいわれています」。そうした中で、倉田さんが横浜に求める新たな「食」の文化とは「観光都市であり、港を背景にするアーバンリゾートでもある。そんな横浜にこれから必要なのは上質なサービスともてなしだと思うんです。来た人に『やっぱり横浜って最高だよね』と言ってもらいたい。料理人の腕はもちろんのこと最高のもてなしとサービスが横浜にはある、と認知してもらう事が重要だと思うんです」。

また倉田さんには、隠れた熱い想いもある。「各店が出品するオリジナルメニューには、地元食材の使用や価格など、いくつかのルールが設けられています。日々の運営で手一杯になりがちな各店舗が、この事業をキッカケに斬新なアイデアを生み出し、発想し、新たな食への挑戦を始める。そうすることで各店舗同士が切磋琢磨し横浜全体の食文化の質が向上する。こうした動きは、次世代の横浜の食を支える後継者を育てることにも繋がっていくと思うんです」。

事業全体の広報として、主要駅へのポスター設置や、ワールドグルメフェスティバル「グルメMAP」を配布。このMAPにより、一つの店舗から次の店舗へ…といった相乗効果が期待される。また、携帯の普及率の高さと手軽さに着目し、今年から期間限定のモバイルサイトも開設。街にいてもどの店舗が参加しているのか簡単に知ることができる。また、みなとみならい21線等で東京方面にもPRを行い、インターネット・モバイルサイトで全国にフェスティバルを発信していく予定だ。

第2回 ワールドグルメフェスティバル モバイルサイト
横浜150協議会 事務局長の倉田さん 「英一番館」の三崎マグロを使用したディナー「贅」 「ホテルニューグランド」のイタリアンレストラン「イル・ジャルディーノ」の特別ランチコース レストランカフェ「コンパス」の「三崎産スズキと魚介類のクリームスパゲッティー温泉タマゴ添えて」 「銀座 福助」の地魚をとり入れた料理長おまかせメニュー

■本場ドイツのビールを楽しむ祭典「横浜オクトーバーフェスト」

食と言えば、欠かせないのがアルコール。横浜赤レンガ倉庫では、ミュンヘンで毎年行われているビールの収穫祭「オクトーバーフェスト」にちなんだ“横浜オクトーバーフェスト2005 in 赤レンガ倉庫”を9月30日から10月10日まで開催している。特別に設置された巨大テントの中に、ドイツ直輸入のビールがずらりと並ぶ。購入はデポジット制となっており、本場ドイツの雰囲気そのまま巨大な特製グラスでビールを楽しむことが出来る。他にも、横浜の地ビール「横浜ビール」や、アイスバイン・ドイツソーセージなど本格的なドイツ料理も多数取り揃えられ、ビールに合った食も存分に味わえる。ライブステージではドイツ人の楽団、日本人ジャズバンドに等による生演奏が行われ、連日盛り上がりを見せている。

横浜赤レンガの広報中本さんは、このイベントの魅力をこう語る。「横浜の開港で伝わった外国文化の一つであるドイツのビール。日本ビール発祥の地でもある横浜で、とにかく、飲んで食べて騒ぐ!楽しいお祭りです。ビールが飲めなくても、盛り上げ上手な楽団の演奏をきき、美味しいものをたべ、雰囲気に酔うといった楽しみ方もできる。会場内が一体となって盛り上がるその雰囲気こそが、このイベントの最大の魅力です」と語る。広報する中本さん自身が、このイベントの大ファン。「数人のスタッフは皆、本場・ミュンヘンのオクトーバーフェストに足を運び、熱気を感じてきました。あの雰囲気をどうしたら再現できるか、細部までこだわってイベントを作っています」。その一つがデポジット制のグラス。「最初は紙コップで提供していたビールもありましたが、やはりビールは、ジョッキで飲んで欲しい。そんな強い気持ちがあって、デポジット制を取り入れることにしました」。全国でも数箇所、オクトーバーフェストは開催されているが、赤レンガ倉庫は海を背景にした絶好のロケーション。国際都市・横浜とゆかりの深いビールの祭り。「とにかく、来なきゃ損!と声を大にして言いたい、最高に盛り上がるお祭りですよ」。本場のビールを楽しめるのは10日までだが、横浜赤レンガ倉庫2号館では10月31日まで各店舗でビールに合う特別メニューを提供する。

横浜赤レンガ倉庫
横浜オクトーバーフェスト ビールを持ち乾杯をする様子 ドイツ直輸入のビールがずらりと並ぶ 横浜赤レンガの広報中本さん 横浜赤レンガ倉庫の横に建つ巨大テント

■横浜の地域リソースを生かしたブランディング

横浜赤レンガ倉庫を運営する3社は今年、宣伝会議が主催する日本最大の公募広告賞「第43回宣伝会議賞」に協賛企業として初めて参加した。「宣伝会議賞」は協賛企業60社から出題される商品・サービス・企業広告などの広告課題に対して、広告コピーもしくはCM企画の作品を一般から応募し、広告クリエイターが審査するというもの。各企業が具体的な商品の広告課題を出すなか、横浜赤レンガ倉庫は課題を横浜赤レンガ倉庫へ「行ってみたくなる」キャッチフレーズの募集とした。その課題設定からは、単なる1商品の広告ではなく、施設全体をブランディングしていくという視点が伺える。「宣伝会議賞」のなかで地域性を出して参加する企業は他になく、新たな取り組みとして注目されている。

横浜赤レンガ倉庫も広告コピー募集、「宣伝会議賞」開催中 宣伝会議賞

観光振興にとって重要なのは、食事やサービスをはじめとする上質なアメニティーをどこでも受けることができ、楽しい時間を過ごすことができるということ。それは街全体のホスピタリティーを高めていくことと言い換えることができる。横浜赤レンガ倉庫のように各企業が、横浜の開港の歴史や国際都市としての顔、海や港といったロケーションとイメージ、文化の最先端の場所であったDNA、そういった横浜という地域が持つリソースを生かしてブランドを構築していくことが、街全体のホスピタリティーを高めていくことに繋がっていくのではないだろうか。

横浜という地域の独自性を生かして企画されている2つの食の祭典。横浜の歴史や文化に触れながら美味しい食事を楽しめる絶好の機会に、ぜひ足を運んでほしい。

弓月ひろみ + ヨコハマ経済新聞編集部

第43回宣伝会議賞 ドイツ人楽団の演奏が会場を盛り上げる 昨年は32.5万人の来場者を集め、ジョッキ45,658杯相当のビールを消費した
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