若葉町のリノベーションアート拠点で「原口典之 × nitehi works」展

「原口典之 × nitehi works」(1階実験スペース)

「原口典之 × nitehi works」(1階実験スペース)

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 中区若葉町にある古ビルを再生したオープンスペース兼カフェ「nitehi works」(横浜市中区若葉町3)で、8月8日より1階の実験スペースを活用した展示イベント、スペースコラボ Vol.1「原口典之 × nitehi works」が開催されている。

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 イベントは、アートユニット「似て非Works」による、人とまちをつなげたアートワークプロジェクトの一環で、期間中は、横須賀市出身の現代美術家・原口典之さんが昨年「BankART Studio NYK」(中区海岸通3)で発表した「社会と物質」展の作品の中から、同空間のために選んだ作品を展示する。

 内容は、タイトル「Untitled」と題した作品4点(ポリウレタンとアルミを素材にしたオブジェ、油絵具・鉛をそれぞれ施したキャンパス、車の屋根を使ったアルミ素材の物体)。

 原口さんは1977年にドイツのカッセルで行われた現代美術展「ドクメンタ6」に出品したオイル作品が注目を集め、その後さまざまな国や土地で作品を展開。「ポストモノ派」・「もの派」と呼ばれる、物質そのものに照準をあてながら社会性を帯びた制作活動を続けている。

 原口さんは今回の展示会場(築44年の既存再生したビル)を見て、「ここはドイツのベルリンを思い出す。横浜には東京にはない魅力的なロケーションがあり可能性を感じる。今後もこのような空間が横浜に増えてほしい」と話す。

 同時開催として、1階の元金庫室では、「Phantom360°」の映像作品をプロジェクターで上映。原口さんが銀色に輝く戦闘機をモチーフに制作した作品「F4 Phantom」を山梨県の白州町に設置して、夜明け・日中・日没時にコマ撮りで撮影・編集した映像を流す。

 中2階・元ボイラー室には、横浜在住のライトワークス・小林愼一さんの「場と時間」を記した作品を展示。薄暗く狭いひと部屋に、ビー玉を素材にした電気を交互に発する2つの球形の照明作品が設置され、「放つ光と受ける光」を体感することができる。

 また、同ビル(元、日専連・横浜専門店会)が所蔵していた、1967年に横浜文化体育館で開催された「ザ・ドリフターズ」や「ザ・タイガース」、青江三奈さんなどが出演した貴重なイベント記録資料も展示。

 似て非works代表で現代美術家の稲吉稔さんは「若葉町の古い銀行仕様のビルを改修したオープンスペース&カフェの空間でくつろぎながら、『ここならでは』の趣で作品をご覧いただけます。スペースコラボでは今後も、アーティストがこの場所で発想する展示を実現していきたい。この空間で、実際に見て感じたものを持ち帰ってもらい、どういう作品にするか試行錯誤してもらう。空間とアーティストのコラボというよりは、バトルに近い感覚かも知れません」と話す。

 開催時間は15時~22時(8月16日~18日は休館)。入場無料。展示は8月29日まで。

 同施設は、横浜市の空き店舗活用事業の補助を受け、昨年10月に閉鎖された築44年の3階建ての廃ビル(横浜専門店会)を改修し、今年6月にアーティストやクリエーターなどの拠点として再スタート。アートユニット「似て非Works」が、屋上に設置されていた空調室外機の巨大ファンやビルの看板などをカフェ空間で再利用しているほか、金庫室をギャラリー的に改装するなど、廃ビルの設備や構造を生かした独自のリノベーションを行った。

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