横浜に2つのプロバスケットボールクラブがあるのをご存じだろうか。1つは“海賊”をモチーフにした「横浜ビー・コルセアーズ」。現在NBAで挑戦を続ける河村勇輝選手を輩出したことでも知られる。もう1つは、2021年に東京から横浜へホーム移転した「横浜エクセレンス」。2025-26シーズンはB2昇格初年度にしてリーグ3位の成績を収め、着実に存在感を増しつつあるクラブだ。
今月、この両クラブが、横浜に拠点を置くチーム同士として初めて対戦を行った。試合の様子とともに、両クラブの地域活動についても紹介する。
横浜ビー・コルセアーズのチームカラーはネイビー、横浜エクセレンスはグリーン
横浜ビー・コルセアーズ(BC)と横浜エクセレンス(EX)が9月8日、横浜BUNTAI(中区不老町2)で試合を行った。両クラブが相まみえるのは2016年のBリーグ開幕以降初めて。横浜ホーム同士の対戦とあって、地域のバスケファンから大きな注目を集め、プレシーズンゲームながらチケットは完売、4,600人が会場を埋めた。
BCのホームゲームとしての開催だったが、EXのグリーンを身にまとった観客も多かった
両チームのロゴマークとともに、横浜の市外局番045を映し出すユニークな演出も
ゲームはBCの先制点からスタートした。EXのエライジャ・ウィリアムス選手が序盤から7得点を挙げる一方で、ビーコルはカイル・リチャードソン選手が9得点と奮闘し、第1クォーターは一進一退の展開に。第2クォーターではカイル・リチャードソン選手が跳躍力を生かした高いブロックで会場を沸かせる場面も。BCが1点差に詰め寄ったところでEXベンジャミン・ローソン選手が豪快なダンクを決めて突き放し、前半は45-48とEXの3点リードで折り返した。
(左)琉球、群馬、名古屋など数々のチームを渡り歩いてきたベテラン、並里成選手。(右)モンゴル出身のオドゲレル トルガ選手。父親は大相撲の元力士だという
身長216センチのベンジャミン・ローソン選手。好きなキャラクターはポケモンの「カビゴン」
試合が動いたのは第3クォーターだった。新井楽人選手の巧みなフローターや並里成選手のスティールでBCが反撃を試みるも、アウトサイドから次々とシュートを決めたEXがこのクォーターだけで36得点を獲得し一気に主導権を握った。18点差で迎えた最終クォーター。森井健太選手のノールックパスからキング開選手が3ポイントシュートを決めるなどBCが粘りを見せる。しかしEXの勢いは止まらず、インサイドでも得点を伸ばして最終スコアは80-107。Bリーグのトップカテゴリー「B.プレミア」のBCを、下位カテゴリー「B.ワン」のEXが打ち破る番狂わせの展開となった。
(左)ヨーロッパのチームを経て今季よりBCに加入したキャメロン・マクガスティ選手。(右)クーリバリ セリンムルタラ選手は横浜市南区出身のハマっ子
圧倒的な得点力を誇るEXのエース、トレイ・ボイド選手。2025-26シーズンはB2得点王に輝いた
試合後、EXの河合竜児ヘッドコーチは「両クラブのブースターがたくさん集まってくれて、非常に良い雰囲気の中で試合ができた。ただ、プレシーズンで状態が良いチームがシーズン開幕後に崩れることも珍しくない。そうならないよう開幕までの期間を丁寧に取り組んでいきたい」、BCのラッシ・トゥオビヘッドコーチは「前半は良いパフォーマンスを出せたが、後半は60点近く取られてしまった。ホームのファンの前でこのような展開になり悔しい」とそれぞれゲームを振り返った。
(左)EX河合竜児ヘッドコーチ、(右)BCラッシ・トゥオビヘッドコーチ
両クラブについて紹介しておこう。
BCは2010(平成22)年、神奈川県初のプロバスケットボールクラブとして誕生。翌年、当時のプロリーグだったbjリーグに参入した。チーム名は一般公募から選ばれ、「コルセアーズ」は「海賊たち」を意味する。ロゴマークも海賊帽や青年船長を模している。2024年からチームを率いるのは、フィンランド代表ヘッドコーチを務めた経験をもつラッシ・トゥオビ氏。全員で走り、ボールを回し、チームで戦う「コレクティブバスケ」をめざす。昨シーズンはB1リーグで26勝34敗、東地区7位となった。

一方、EXは2012(平成24)年に「東京エクセレンス」として創設された。当初は小豆沢体育館(東京都板橋区)をホームアリーナとしていたが、B2参入の条件である「観客席数3,000席以上」をクリアするため、紆余曲折を経て2021年に横浜に拠点を移すことになった。チーム名も「横浜エクセレンス」に改称。ホームアリーナは横浜武道館(中区翁町2)。河合竜児ヘッドコーチのもと、2024-25シーズンはB3リーグで45勝7敗、完全優勝を果たしてB2昇格を決め、翌2025-26シーズンはプレーオフ進出、B2リーグ3位という結果を残した。

なお、BCも横浜市内ではあるがホーム移転を経験している。長らく横浜国際プール(都筑区北山田7)を拠点としてきたが、今シーズンから横浜BUNTAIをホームアリーナとする。これもリーグが求める基準に応えるためだ。横浜BUNTAIは横浜武道館の斜向かいにあり、両クラブはまさに「お隣同士」のクラブとなった。

今季2026-27シーズンより、Bリーグの体制が大きく変わる。カテゴリーは、これまでのB1、B2、B3から「B. PREMIER(B.プレミア)」「B. ONE(B.ワン)」「B. NEXT(B.ネクスト)」に再編された。
大きな変更点の一つが、競技成績による昇降格をなくしたこと。入場者数や売上高、ホームアリーナの座席数などの基準を満たしているかどうかでカテゴリーが決まる。クラブの事業規模や経営基盤を含めた総合的な力が問われる仕組みだ。カテゴリーは固定ではなく、毎年の審査により上位カテゴリーへの参入を目指すことができる。
先述の通り、BCはB.プレミア、EXはB.ワンとカテゴリーが異なるため、現在はレギュラーシーズンで対戦する機会はない。しかし、EXは最短で2030-31シーズンからのB.プレミア参入をめざすことを明言しており、トップカテゴリーで横浜ホーム同士の熱い戦いを見られる日もそう遠くないかもしれない。

どちらのクラブも、ホームゲームで横浜市民(区民)の優待デーを設けたり、地域の学校でバスケット教室を開催したりと、街に根差した活動に積極的だ。BCは今年2月、横浜市内4区の小学生・教職員約2万2000人にオリジナルTシャツを寄贈。EXの昨シーズンの地域連携活動は年間270回に及んだ。
今季のクラブビジョンとして、BCは「ヨコハマをバスケの街に」、EXは「街の輝きをともにつくり、人々の心を揺さぶるクラブへ」と地域を意識したコピーを掲げており、今後も地域活性化を強く意識した活動が見込まれる。
両クラブのホームアリーナが位置する中区の永井由香区長は、「中区はEXと4年前から、BCとは今年から、ホームタウン活動に関する協力協定を結んでいる。両クラブとも子どもたちとの交流や、地域の絆を強めるような活動に大変熱心。また、バスケの試合が開催されることでアウェイチームのファンも県外から訪れ、街の活性化につながる。これからもスポーツの力を生かして一緒に街を盛り上げていってほしい」と期待を寄せる。
横浜ダービーの試合前に行われた「中区協定締結セレモニー」の様子。左から、永井由香中区長、株式会社横浜ビー・コルセアーズの原毅人社長
編集後記
プロバスケの試合には、コートと客席の近さ、攻守が次々と入れ替わるスピーディなゲーム展開、エンタメ性の高い演出など、観客を夢中にさせる要素が満載だ。
ハーフタイムなどにはチアリーダーズのパフォーマンスが会場を盛り上げる
BCのホームゲームでは炎を使った迫力ある演出も。チームや会場によって演出内容は異なる(写真は2025-26シーズンのもの)
大型ビジョンにルール説明が表示されるため、バスケに詳しくない人でも試合の流れが理解しやすい(写真は2025-26シーズンのもの)
いよいよ9月後半に幕を開けるBリーグ2026-27シーズン。両クラブのホーム開幕戦は以下の通り。横浜をホームとする2クラブのプレーを、会場で楽しんでみてはどうだろうか。
《横浜ビー・コルセアーズ ホーム開幕戦》
10月3日(土)・4日(日)
対戦相手:信州ブレイブウォリアーズ
会場:横浜BUNTAI
▼横浜ビー・コルセアーズ 試合スケジュール
https://b-corsairs.com/schedule/list/
《横浜エクセレンス ホーム開幕戦》
10月10日(土)・11日(日)
対戦相手:福井ブローウィンズ
会場:横浜武道館
▼横浜エクセレンス 試合スケジュール
https://yokohama-ex.jp/schedule/list/
小林幸江 + ヨコハマ経済新聞編集部