横浜松坂屋が解体-外観を一部復元し新たに商業施設を建設

アールデコ調の装飾が特徴の横浜松坂屋本館5、6階部分

アールデコ調の装飾が特徴の横浜松坂屋本館5、6階部分

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 横浜市は10月13日、歴史的建造物に認定されている「横浜松坂屋本館」の建替え計画について、同建物の所有者で、株式会社松坂屋の持株会社でもあるJ.フロントリテイリング社より、建物を解体し、外観の一部を復元する計画の申し出があったことを発表した。

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 横浜松坂屋は1921年に建設された、戦前のデパート建築では唯一横浜に存在する建物で、当時の伊勢佐木町の繁栄をうかがわせるアールデコ調の装飾が特徴。2004年には横浜市が認定する「歴史的建造物」に選ばれたが、2008年10月に、立地や競合店舗など周辺商環境の変化による業績の低迷に加え、本館建物の老朽化が進んでいることを理由に閉店となった。

 閉店後は、建物を解体・撤去し、新たに低層階に商業施設を入れた高層ビルを建設する予定だったが、外観の保存を求め横浜市はJ.フロントリテイリングと協議をしていた。

 今回、同社の申し出によると、今後の事業計画については「地元の方からの要望を踏まえ、新たな2層からなる商業施設を一日も早くオープンさせ、伊勢佐木町の活性化に貢献する」。また、歴史的建造物の取り扱いについては「老朽化の進んだ同建物を厳しい経済環境のもとで、投資回収を見込める活用方法が見あたらないことからやむなく存続を断念し、解体する。最も特徴的な意匠の5、6階部分を中心に外観の一部を復元し、現在の外観については、正確な記録保存を行い、そのデータを横浜市に提供する。また認定解除をお願いするにあたり、2004年に横浜市から交付を受けた助成金(4,383万円)の全額を返還する」としている。

 同申し出に対して横浜市は「横浜歴史的建造物の認定解除の手続きを進めるが、今後は新たな計画が地域の活性化に資するものになるよう引き続き協議を進めていく」と対応している。

 林文子横浜市長は「大正期からの横浜の商業の発展や賑わいを伝える大切な建物の、認定歴史的建造物解除は非常に残念だが、やむを得ないこと。閉店状態の長期化、地域の皆様の意向、所有者の方の努力を踏まえ、総合的に判断したことを皆様に理解していただきたい」とコメントを出した。

 J・フロントリテイリングは、百貨店の大丸と松坂屋を傘下に持つ松坂屋ホールディングスが、株式移転による経営統合で2007年9月3日に設立した持株会社。

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