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デジタルで市民の声を政策に みなとみらいなどで「ディシディム」実証実験

かつて自動車が行き交っていた道路に、公園やベンチ、トラックなどをつくり、人々の生活空間・公共スペースとしたスペイン・バルセロナの取り組み(画像提供:ISIDオープンイノベーションラボ)

かつて自動車が行き交っていた道路に、公園やベンチ、トラックなどをつくり、人々の生活空間・公共スペースとしたスペイン・バルセロナの取り組み(画像提供:ISIDオープンイノベーションラボ)

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 多様な市民の声を拾い上げ、政策に反映させるデジタルプラットフォーム「Decidim(ディシディム)」の実証実験が現在、みなとみらい地区など横浜都心臨海部で行われている。

「Decidim(ディシディム)」実証実験での議論のイメージ

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 実証実験は、電通国際情報サービス(東京都港区)の研究開発組織「オープンイノベーションラボ」が、住み良いまちづくりを実現する「シティエンゲージメントプラットフォーム」構想の一環として、一般社団法人横浜みなとみらい21などと共同で実施している。期間は、2020年12月~2021年3月を予定。

 ディシディムは、スマートシティの取り組みで先行するスペイン・バルセロナ市などヨーロッパを中心に幅広く利用され、名称はカタルーニャ語の「決定しよう」「決定する」に由来する。バルセロナ市では、2015年からの4年間で4万人以上がディシディムから政治参加し、生活に直結するものなど、1万を超える提案から約1500のプランが採択されているという。

 同社によれば、シティエンゲージメントは住民のまちに対する「愛着心」「帰属意識」「思い入れの強さ」を表し、それらを形づくる構成要素の一つとして、「住民の議論と合意形成の場」の提供が必要だという。

 対象地域の横浜都心臨海部(横浜駅~みなとみらい21~関内周辺地区)は、企業の研究開発拠点やスタートアップ、大学などが進出し、イノベーションエリアの環境づくりに取り組んでいる。実証実験では、この地域を中心に「イノベーション創出に向けた民間主体の取り組み」を決定する合意形成手法として、ディシディムを試験的に利用する。

 取り組みは大きく3つのフェーズに分かれ、最初のフェーズで意見を集め、次のフェーズで意見の整理などを行い、最後のフェーズで検討案の内容と実施優先度についての合意形成を図る。

 同社X(クロス)イノベーション本部オープンイノベーションラボの森田浩史さんは「今後は日本各地でスマートシティの取り組みが進んでいくことが予想される。そこでは既存の仕組みを単にデジタル化するだけでなく、まちを形作っている皆さんが意見を出し合い、互いに理解しながら、さまざまな共創を図っていくものにしなくてはならない。ディシディムを最大限に活用し、地域の活性化、地域の幸福度向上に寄与するスマートシティづくりに貢献したい」と話す。

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