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横浜の活版印刷店 職人技術の存続をかけ、創業102年目でCFに初挑戦

鋳造の機械。活版印刷は鋳造、文選、植字、印刷、という工程で仕上がるが、築地活字は鋳造から手掛ける。

鋳造の機械。活版印刷は鋳造、文選、植字、印刷、という工程で仕上がるが、築地活字は鋳造から手掛ける。

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 活版印刷の築地活字(横浜市南区吉野町5)は、職人技術の継承を目指し、7月30日からクラウドファンディング(以下CF)を始めた。

金庫にしまうほど大切 活字の「母型」

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 築地活字は1919(大正8)年に創業。活版印刷は、活字を組み合わせて作った組版を使って印刷する凸版印刷の一種だが、同社は印刷だけでなく、活字を鋳造する過程から手掛けている。

 社長を務めるのは創業家5代目の平工希一(ひらくきいち)さん。コロナ禍では、人と人の直接出会う機会が減り、印刷される名刺が減ったり、イベントがなくなり、ポスターも作られなくなったりと、苦戦を強いられてきた。

 税理士に相談し、利息の分割払いや自らの給料の引き下げ、補助金の申請を行ったり、ビルの大家からの理解も得られて、なんとか凌いできたが、今年の5月に注文が激減。「一日にメールもFaxも電話も一度もないこともあった」という。

 親しい製本店も「突然注文がなくなった」と異口同音で、いよいよ閉業の覚悟も決めた。秋までかと考え、周囲に相談をしたところ、日本文化や職人の技術を伝える動画メディア「ニッポン手仕事図鑑」(東京都)が「CFをしてみませんか」と勧めてくれた。

 神奈川区に住むニッポン手仕事図鑑の編集長、大牧圭吾さんは「2015年にニッポン手仕事図鑑を始めた時、一番最初にインタビューしたいとお願いしたのが築地活字だった」と振り返る。自らの名刺も築地活字で印刷したもので「活版印刷の名刺を出すと、10人のうち7~8人は、名刺へのリアクションをしてくれる。活版の名刺は、情報ツールではなくて、コミュニケーションツール。そこに会話が生まれることを、使っていて実感する」と話す。

 CFのリターンには、名刺と名前の活字セットや、築地活字の書体見本帳、鋳造見学・体験会コースなどが用意され、1000円から支援が可能。

 平工さんは「CFを通じて、初めて活字に触れて活版印刷を知る人が増えれば」と話し、「活字の鋳造ができるのは、日本で数社しか残っていない。技術の後継についても考えていきたい」とも。

 CFは、9月30日まで。

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