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地方の町の変化を1人の視点を通して描くドキュメンタリー「ひいくんのあるく町」横浜シネマリンで上映

横浜シネマリンで行われた舞台挨拶に訪れたひいくんこと渡井秀彦さん(右)と監督の青柳拓さんは、伊勢佐木町歩きを楽しんだ。

横浜シネマリンで行われた舞台挨拶に訪れたひいくんこと渡井秀彦さん(右)と監督の青柳拓さんは、伊勢佐木町歩きを楽しんだ。

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 伊勢佐木町のミニシアター「横浜シネマリン」(横浜市中区長者町6)で3月17日からドキュメンタリー映画「ひいくんのあるく町」(2017年、青柳拓監督)が上映されている。30日まで。

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 青柳さんが在籍していた日本映画大学(川崎市麻生区)の卒業制作で劇場公開デビュー作品。故郷である山梨県市川三郷町・JR市川大門駅付近の商店街がかつて活況を呈していたころの写真を効果的に使いながら、障害とともにゆったりと生きている1人の人物「ひいくん」をカメラで追うことで、地方の「まち」過去と今、変わりゆくまちに対する人々の思いを切り取る作品となっている。

 青柳さんは、旧・市川大門町の出身。大学の卒業制作を撮影するテーマを考えている中で、ふるさとの町並みを日々、ヘルメットをかぶって巡回していた「ひいくん」こと、渡井秀彦さんのことを思い出す。

 渡井さんは、青柳さんの父が勤める障害者の自立施設「地域活動支援センター」に通う男性。その傍ら、変わりゆく町のなかで、変わらずに歩き、さまざまな人の手伝いをして生きてきた。その「ひいくん」のいる風景を1つの軸に、彼と関わってきた町の人たちの姿をカメラは追う。

 シャッター街となってしまった現在の風景の中に、もう一つの時間軸として差し込まれるのが、電気店を営んでいた叔父・青柳正輝さんの撮影した市川大門町のかつてのにぎわいの風景写真だ。

 変わりゆく人や風景、変わらない故郷の行事…。青柳さんは「ひいくんがあるく」スピードに寄り添いながら、小さな地方の町でずっと生きてきた人達の日常を描いている。日本中の多くの町で起きている変化と同様の現状が描かれているだけに、観客に「今、自分が暮らすまち」について思いを巡らせる映画にも仕上がっている。

 青柳さんは「ヨコハマ・メリー」や「禅と骨」などの監督作品で知られている中村高寛さんの教え子にあたり、この作品は、卒業制作で映像文化製作者連盟のプロが選ぶ「映文連アワード2017」で準グランプリを受賞している。

 青柳さんは「数年前に『ヨコハマメリー』を観て、僕の地元にも『メリーさんみたいな人がいるなぁ』と思い巡らせていたことがきっかけで、この映画があります。メリーさんがいた街で『ヨコハマメリー 』と共に上映させていただけることをとても光栄に思う」と話している。

 上映時間は47分。チケットは1,000円(高校生以下800円)。上映時間は11時45分~12時40分。詳細は横浜シネマリンのホームページから。

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