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エリア特集2006-03-24

いよいよ迫った「横浜市長選挙」、
投票率UPへ面白キャンペーンあれこれ

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3月26日へと、いよいよ迫った横浜市長選。近年、顕著なのが若年層を中心とした投票率の低下。とりわけ横浜市18区の中でも、西区と中区の若年層の投票率の低さは突出しているのだとか。そこで今回の市長選では、両区の選挙管理委員会は若者向けのサイトを開設するなど、ユニークなキャンペーンを展開中だ。さらに区役所レベルだけでなく、横浜市、民間企業やNPO法人なども投票率アップへ向けてさまざまな施策に取り組んでいる。今回は、そんな取り組みを紹介する。

■3月26日に迫った横浜市長選挙だが……

いよいよ3月26日に迫った横浜市長選。各候補とも投票日へ向けて、選挙活動にラストスパートがかかる。今回の市長選は任期満了に伴うもので、現職の中田宏氏と新人で海洋学者の松川康夫氏、同じく新人で元東芝社員の遠藤賢次郎氏の3名が立候補している。今回の市長選の争点は、中田氏が推進してきた改革路線への評価と言われている。この辺りは、前回の参院選で問われた小泉改革の是非と同様で、横浜市長選はまさに「国政選挙の縮図」といった観がある。その意味では、今後の横浜の方向性を占う重要な選挙であるだけに、横浜市や各区の選挙管理委員会もいかに投票率を上げるかに血道を上げている。

周知の通り1990年代以降、無党派層の登場によって国政選挙、地方選挙を問わず、若年層を中心に投票率は下降の一途を辿っている。それは横浜市でも同様で、とりわけ都心部である西区と中区における20~30歳代の投票率は横浜市全区の中でも低い水準にある。こうしたことを受けて、今回の市長選では横浜市及び西区、中区の選挙管理委員会、また民間レベルでも選挙啓発のためにさまざまな取り組みが試みられている。

中西さん.jpの「中西さん日記」でのメッセージ

■「中西さん.jp」って一体ナニ?

「中西さん.jp」というサイトをご存知だろうか。市長選告示日の3月12日に開設されたサイトで、西区や中区にゆかりのある人々のインタビュー記事や西区・中区のエリア紹介の特集記事といったコンテンツが掲載されている。実はこれ、横浜市長選の啓発を目的に西区役所と中区役所が共同で、民間との協働により制作・運営しているもの。メインコンテンツは、ロコサトシさん(アーティスト)や北村浩子さん(FM横浜アナウン サー)、寿町の活性化に取り組む企画会社ファニービー社長の谷津倉智子さんなど、中区・西区を舞台に活動する人たちのプロファイルや彼らの「オススメのスポット」などを紹介する『中区西区の「ステキ人」PROFILE』。横浜を舞台に活動する魅力的な人々や彼らが関わる仕事・活動の内容や、中区・西区の魅力的なスポットなどを紹介することによって、西区・中区在住のサイト利用者に地元への関心を持ってもらい、投票参加への意識を高めていこうという趣旨である。現在、約30人の「ステキ人」が掲載されているが、選挙の後も「ステキ人」から「ステキ人」を紹介することで掲載者をどんどん増やしていく方針だという。

他にも、中区と西区のエリアを特集した取材記事『中西さんが行く』、横浜市職員有志で構成するサークル「横浜市漫画研究会」による『中西さん日記』などの連載型のコンテンツが掲載されている。

中西さん.jp

選挙キャンペーンと言えば、イベントやチラシの配布が定番だが、サイト開設というのは初めての試み。その理由を中区総務課統計選挙係の杉山昇太氏はこう話す。「私はこれまで主に街づくりに関わってきたんですが、そういう観点からすると、イベントやチラシの配布というのは選挙期間中だけの一過性のものになりやすいんです。選挙が終われば、また次の選挙ではゼロから始めなきゃいけませんからね。そうじゃなくて、選挙が終わっても継続的に活用でき、中区と西区の情報を集積し街づくりに役立つようなものは何かと考えた時、思いついたのが地域ポータルサイト的な選挙啓発サイトだったわけです」。

横浜市中区役所ホームページ

一方、西区総務課の鵜木隆之氏は次のように語る。「西区というのは、横浜駅とみなとみらい地区というメジャーなエリアを抱えていますが、実はこの2つのエリアに関しては、横浜市の方で選挙キャンペーンを行うんで、西区としては大々的なイベントやキャンペーンは打ちづらいんですよね(笑)。従来は、地域の住宅街へのチラシのポスティングや集会での呼びかけなど、地道な活動を行ってきました。そこへ、中区と共同でポータルサイト運営の話が出てきて、これは『渡りに船』だと……(笑)。若年層へ向けてのキャンペーンにはインターネットは打ってつけですからね」。

横浜西区役所ホームページ
中西さん.jp 中西さん.jpのキャラクター 中西みなと 中西さん.jpのキャラクター コメビツ 中西さん.jpのキャラクター 金沢さかえ 中区総務課統計選挙係の杉山昇太氏 西区総務課の鵜木隆之氏

■若年層の投票率が低い西区と中区

ちなみに、今回の「中西さん.jp」のように2つの区がコラボレーションするのも、初めての試みだという。お堅いお役所のこと、そうしたことに区役所内で反対の声は上がらなかったのか。「西区は人口約8万人と、横浜市全区の中で最も人口が少なく、何をやるにしてもスケールが小さくなりがちなんですよね。中区と組むことによってスケールメリットが生まれるわけですから、反対なんてなかったですね。それに西区と中区はエリア的に性格も似ていますから」と、鵜木氏は話す。確かに西区も中区も大規模な商業地区を抱え、人口も中区が約12万7000人と横浜市全区の中でも少ない方、その上隣接するエリアなわけだから、共同でキャンペーンを行った方が効率的だし、効果もより見込めるというわけだ。

ここで前回の横浜市長選を基に、西区と中区の投票率について見ていきたい。西区の投票率は41.82%と、横浜市18区の中でもかなり高い方の部類に入る。しかし若年層ともなると、20~24歳で29.89%、25~29歳で22.96%、30~34歳で31.01%、35~39歳で36.56%といった具合に格段に低くなる。鵜木氏によれば、「18区の中でもかなり低い方」だとのこと。一方の中区に至っては投票率そのものが37.01%と低く、これは18区の中でワースト3の数字だ。しかも若年層の投票率はさらに低く、21~29歳で20.17%(男性)・22.16%(女性)、30歳代で28.34%(男性)・32.20%(女性)とかなり深刻。

こうした20~30歳代の投票率の低さを、両区はどのように分析しているのか。「西区はワンルームマンションなどの増加に伴って、若年層が増加しているのですが、選挙に限らず、町内会などの地元への関心が薄いということが言えます」と鵜木氏が語れば、杉山氏は「やっぱり投票に行くのが面倒臭い、みたいなことがあるんじゃないでしょうか。投票所が自宅から遠い場所にあったりとか、特に中区は坂が多いので面倒臭さ感がよりあるのかもしれませんね。そういう方々もいらっしゃると思うので、期日前投票も呼びかけていますが……」と話す。

中西さん.jp 中区西区の「ステキ人」Profile<中西いい感じバトン> 中区西区の「ステキ人」Profile<中西いい感じバトン> スタジアム周辺でのキャンペーン

■若者たちは選挙についてどう考えているのか

期日前投票は公職選挙法の改正(平成15年12月1日施行)により、名簿登録地の市区町村で選挙期日(投票日)前の投票が可能になるという制度で、昨年の参院選で初めて実施された。中区では期日前3日時点で去年の参院補選の35%増の投票数があったというから、この制度の施行は投票率アップに対して実効力があったと言っていいのだろう。「中区の場合は、区役所が区の中心部にあるんで、何かのついでに投票できるというメリットが大きかったと思いますけどね」(杉山氏)。

投票日に投票所へ行けない場合

大人は投票率の低さを憂えているが、当の若者はどう考えているのか。中区役所の職員として、今回の選挙に関わっている高次和樹さんは19歳。従って、選挙権はまだない。先日開催された「日本大通り アート&フラワー・フェスティバル」でも、横浜市選挙管理員会のマスコット「イコットちゃん」の着ぐるみを着てキャンペーン活動に励んだ。

「選挙権のない僕のような人間が選挙管理委員会で働いていていいのかな、とも思ったりもするんですけど(笑)」と笑う高次さんだが、やはり選挙というのは自分とは無縁のものだと以前は考えていたという。「選挙って学校の体育館を会場として使うじゃないですか。そうすると、投票日は体育館が使えなくなるわけですよね。選挙カーとかもうるさいし、迷惑なイベントだな~って(笑)。ただ、こうして仕事として選挙に関わっていると、選挙の重要性はひしひしと感じますね。ただ、自分が選挙権を得た時に何を基準に候補者を選んで投票するのか、といったような選挙に対する確固たる考えはまだないのですが……。今回の『中西さん.jp』みたいなサイトは若者には受けると思いますよ」。

「日本大通り アート&フラワー・フェスティバル」での投票を呼びかけるキャンペーン 横浜市選挙管理員会のマスコット「イコットちゃん」 中区役所職員の高次和樹さん

■他にも趣向を凝らしたさまざまなキャンペーン

単に投票を呼びかけても、投票率のアップはままならない。そこに何かしら面白い仕掛けがないと、なかなか人は乗ってこない。こうした手法はもしかしたら邪道かもしれないが、まずは選挙に興味を持ってもらうことが重要なのだ。その意味では、今回の市長選のキャンペーンではさまざまな試みが行われている。

横浜市選挙管理委員会が行っている「立候補体験シミュレーションゲーム『市長へGO!』」(http://www.city.yokohama.jp/y/sk/)もその一つ。これは携帯ゲームを通して選挙の仕組みを伝えることにより、若い有権者の選挙への関心を高め、投票率の向上を図ることを目的とするもの。カメラ付き携帯電話の機能を使って自らの選挙ポスターを作り、市長選に立候補、選挙運動に関するさまざまな問題をクリアしながら、選挙の仕組みや投票の大切さを知ることができる。ゲームをクリアして市長に当選すれば、「イコットちゃん」ミニフィギュアが抽選で1,000名にプレゼントされるという。

横浜市選挙管理委員会

一方、民間も負けていない。横浜みなとみらい万葉倶楽部では投票率向上を目的とした割引キャンペーンを展開中だ。このキャンペーンは選挙当日の3月26日から4月8日までの2週間、横浜みなとみらい万葉倶楽部入場時に、選挙管理委員会が投票所で投票した者に対して発行する「投票済証」を提示すると、通常大人2,620円の入場料が2,000円になるというもの。横浜市内でこうした選挙投票促進キャンペーンが行なわれるのは、今回が初めてとのこと。

横浜みなとみらい万葉倶楽部
立候補体験シミュレーションゲーム 市長へGO! 発行される投票済証

■寿町でも選挙キャンペーンが展開中

若年層の投票率が低下する中、地域の投票率を上げようと奮闘する奮闘する若者もいる。現在、寿町では横浜市長選へ向け投票促進キャンペーンを展開中だ。これは投票率の低迷に悩む中区選挙管理委員会と寿地区自治会の呼びかけに応えて、寿町で活動する若者達で組織した「KOTOBUKI選挙へ行こうキャンペーン実行委員会」によるもの。同委員会の代表を務める岡部友彦さんは、寿町の簡易宿泊所を旅行者向けのゲストハウスとして活用する「YOKOHAMA HOSTEL VILLAGE」など画期的な取り組みで寿町の活性化を図っている企画会社ファニービーの取締役でもある。

Funnybee YOKOHAMA HOSTEL VILLAGE

「ただ投票に行きましょう、というのではありきたりだし面白くないんで、ユニークな内容を考えました」という岡部さんによると、3月24日から「てがみはなくても選挙権はあるんだ」「投票所はあっち」と書かれた8色の矢印型看板600枚を街中に掲げている。この看板を辿っていくと投票所へ辿り着くという仕掛けだ。「寿町に住む約6,000人のうちの8割は選挙権を持っているんですが、その多くは自分達に選挙権がないと思い込んでいるんです。そうじゃないということを知って欲しいし、投票に行くことで社会の一員であるということを認識してほしいですね」と話す。

◆寿町で横浜市長選にむけ「選挙に行こうキャンペーン」
寿町の選挙啓発キャンペーン 「投票所はあっち」と書かれた8色の矢印型看板 KOTOBUKI選挙へ行こうキャンペーン実行委員会代表の岡部友彦さん

■選挙に関心を持つことは地元に関心を持つこと

「中西さん.jp」に話を戻すと、このユニークなキャンペーンには、多くの人たちが賛同の意を示している。東横線桜木町駅の高架下の壁画でお馴染みのアーティストのロコサトシさんも、その一人だ。ロコさんは「アートの力で3月26日の市長選を盛り上げよう」と、旧神奈川労働基準局の1階に自身の絵画を展示中だ。作品のテーマは「見つめていこう、ドキュメントアイ」。

ロコサトシ公式ホームページ

「3月26日という選挙日に何か運命的なものを感じましたね(笑)」と話す、POPアーティストとして若者に人気の326(ナカムラ・ミツル)さんも「中西さん.jp」を応援している一人だ。今回のキャンペーンでは、326さんのイラストによるオリジナルコースターが中区・西区のカフェやバー、居酒屋など約90店舗に配布されている。

326部

これまで10~20歳代の若者の心象描写を中心に恋愛や友情をテーマに作品を発表してきた326さんだが、最新作『いつもみてるよ。がんばってるの、しってるよ。』では出産をテーマに取り上げ新境地を開いている。「今回、キャンペーンに協力させてもらったのは、横浜が子供を生んで育てるのにとてもいい街だということを聞いたことがあるのも理由の一つなんです」。326さんは若年層の投票率の低下について「若者に関心を持たせるような街づくりや社会づくりが重要なのだと思います。また、選挙の仕組みなどももっと明確でわかりやすくする必要があるのでは」と話す。

中区や西区の飲食店に配布されている326さんのオリジナルコースターだが、前出の中区役所の杉山氏は休日を使って自ら野毛を中心に配布して回っている。その数はなんと70店舗にも及ぶという。杉山氏が夜回りで出会った、野毛のんべえの第一人者「ゴーヤ泡盛」さん(女性)や週末限定でオープンしている「Women's Networking Cafe はる美」経営者の「ノリスケ」さん(女性)も、賛同の意をブログで語ってくれている。「こうやって自ら足を運ぶことのメリットは、お店の店長さんやスタッフ、お客さんと直接選挙について話ができるということ。私が望むのは単に投票率が上がるということではなく、街のあちこちで普通に人々の間で選挙の話題が上がるということなんです。その意味では、この選挙キャンペーンもソフト面における街づくりの一環なんですよ」。

ゴーヤ泡盛の野毛日記 Women's Networking Cafe はる美 へようこそ!

選挙に投票するということは政治や行政に関心を持つというだけでなく、根本は自分の住む街やコミュニティに関心を持つということ。地元を愛していれば、自然と投票所に足を運ぼうというもの。「中西さん.jp」で地元の魅力を再確認したら、3月26日の市長選にはぜひ一票を投じてみてはどうだろうか。

牧隆文 + ヨコハマ経済新聞編集部

アーティストのロコサトシさん POPアーティストの326(ナカムラ・ミツル)さん 『いつもみてるよ。がんばってるの、しってるよ。』 326さんのオリジナルコースター

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