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横浜市歴史的建造物「山手133番館」 菓子店が取得し修繕進む

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 菓子店「パティスリーモンテローザ」(横浜市中区長者町8)を営む「三陽物産」(長者町9)は、「横浜市認定歴史的建造物」認定の「山手133番館」(中区山手)の修復を進めている。

山手133番館に暮らしていたころのケアリーさんの写真

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 「山手133番館」は、外国人向け住宅として建てられた西洋館。1930(昭和5)年頃の建築とされ、木造2階建て。主屋と、使用人室の付属屋、別棟の車庫の3棟で構成。

 三陽物産の山本博士社長は「実は偶然見つけた物件。土地と建物が売りに出されているのを不動産サイトで見かけ、貴重なものではないかと感じた」という。

 ペンキが塗り替えられたりして、外観は変わっていたが、調べて見ると、窓や、床や内装の工法とデザインの特徴から、アメリカの建築家アントニン・レーモンドの設計事務所の関与も示唆された。

 かつての外国人居留地にあった洋館は老朽化などで半分以上減少している中、133番館を当時の形に復元したいと、インターネットを通じて手がかりを探す中、「山手133番館で暮らしていた」という人を見つけた。

 1957年から1964年まで、子ども時代に家族とともに暮らしていたというケアリーさん。インターナショナルスクールに通っていた卒業生で、現在は海外在住。学校を通じて連絡をとると、当時の写真と映像を送ってくれた。

 ケアリーさんは当時のことを振り返り「私は小さなこどもでした。タミさんという住み込みで働いていた女性と、庭でおままごとをして遊びました。現在の庭の様子とは違いとてもチャーミングな庭でした」などのエピソードを山本さんに伝えた。

 山本さんは「当時20代くらいだったという『たみさん』や、133番館にかつて住んでいた人がいたら話をききたい。ほかにも当時の関係者が出てこられたら嬉しい。創建当初の様子が少しでも何かがわかれば」と話す。

 修復工事は、2021年6月に着手。耐震工事やフランス瓦の屋根の葺き替えを2月末に終え、現在は外壁と建物内部の修復を行っている。今後は、建物の周りの外溝(がいこう)工事も進める。敷地境界には明治時代の造成とみられるブラフ積みの石垣もある。

 修復は9月ごろに完了予定で、三陽物産は、YouTube「山手西洋館復元チャンネル」から、復元の様子を発信している。山本さんは「完成後の用途は未定だが、人が暮らすこともできるようにしてみたい」と夢を口にしている。

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