提供:NEXCO東日本 制作:ヨコハマ経済新聞
横浜エリアの主要道路「第三京浜道路」と「横浜新道」が、それぞれ全線開通から60周年・50周年となる。通学・買い物など、日々の交通の円滑化だけでなく、沿線地域の発展や観光振興にも大きな影響を与えてきた高速道路。その整備が、暮らしやまちの姿をどのように変えてきたのか、周年を期に、歴史と影響を紐解く。
第三京浜道路は東京都世田谷区の玉川IC(インターチェンジ)から神奈川県横浜市保土ヶ谷区の保土ヶ谷ICまでの、約17キロの有料自動車専用道路。
横浜新道は、保土ヶ谷ICからの戸塚終点まで、と新保土谷ICから狩場IC付近までの約11キロの高速道路。
第三京浜道路と横浜新道と、周辺施設との位置関係
横浜・川崎と、湘南や都心とを結び、観光需要も多い高速道路で、横浜駅やみなとみらい方面へのスムーズなアクセスも実現している。
第三京浜道路は27億台、横浜新道は19億台が利用 膨大な交通を支える、関東圏の重要インフラ
第三京浜道路・横浜新道の整備により、横浜市内のみならず、東京方面から湘南・藤沢へのアクセスが向上。江の島や湘南海岸が国内有数の観光地として発展を遂げる要因の一つとなったともいわれている。
歴史をさかのぼると全線開通は「第三京浜道路」が1965年12月、「横浜新道」が1974年。だが区間開通は、横浜新道の方が先で「横浜初の有料道路」とされる。
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第三京浜道路は、第一京浜、第二京浜、産業道路、中原街道の渋滞解消を目的に建設が計画。東京オリンピック開催の1964(昭和39)年に一部開通、翌年には全線開通し、名神高速道路に次ぐ国内2番目の本格的高速道路となった。日本初の6車線構造で、東名高速道路のテストケースとして種々の試みがなされた道路でもあった。
横浜新道では初めて重機械が採用され、人力から機械施工へと近代的な施工法への第一歩となった。
1968年には第三京浜道路と横浜新道が接続し、利便性が大幅に向上
両道路の整備は、周辺の交通に劇的な変化をもたらした。第三京浜道路や横浜新道の利用により、並行する国道の混雑度が減少、混雑緩和に大きく寄与している。
国道の混雑を避けるバイパス機能も 開通前と比較し、国道の混雑度は半分以下に
所要時間の短縮効果も顕著で、例えば目黒区から江の島までの所要時間は、並行する国道利用と比較して約53分も短縮される。
所要時間の「ばらつきの小ささ」も高速道路を利用する大きなメリット
利用者からは、観光で一般道が渋滞している際でもスムーズに走れる点や、通勤時の走行しやすさに触れる声が寄せられている。
2025年のアンケート調査より
道路整備は、地域経済に大きな活力を生み出した。累計約4.8兆円の経済波及効果、第3次産業への貢献、都市機能の拡大に貢献、人口増加を後押し、と多岐にわたる。
それぞれを数字でみてみよう。

1965年の第三京浜道路全線開通から60年間で、累計約4.8兆円もの経済波及効果をもたらした。※本資料における経済波及効果とは、企業活動における「実質生産額変化」を指す。

2024年単年では、神奈川県への経済波及効果は1,040億円にのぼり、これは神奈川県民1人あたり約11,000円に相当する効果となっている。
産業別では道路貨物輸送、金融・保険・不動産、公務・サービスといった第3次産業への経済波及効果が約9割と非常に大きく、地域経済の活性化を支えている。

沿線地域では、道路の整備に伴い土地利用が変化し、住宅や企業が立地するなど、地域の発展に寄与 。横浜市・川崎市では、宅地の割合が1976年の43.1%から2021年には54.4%に増加している。特に、都筑ICの開通(1995年)は、港北ニュータウンの発展に大きく寄与している。
沿線市区町村の人口は開通直後(1975年)と比較して約1.7倍に増加。

半世紀以上にわたり、住民の移動・企業活動・観光を支えてきた第三京浜道路・横浜新道。
第三京浜道路・横浜新道の休日の利用目的は、「観光・レジャー」が43%と最も多く、約4割を占める 。主に湘南方面へのアクセスに利用されており、藤沢市の観光入込客数は開通直後(1967年)と比較して現在(2024年)までに約1.6倍に増加。
沿線自治体からも「東京方面からのアクセス性向上が地域発展の要因となった」との声が寄せられている

日常の通勤や買い物、休日のレジャーまで、私たちの生活に欠かせない存在として成長してきた両路線。東日本高速道路株式会社 京浜管理事務所の飯干貴彰所長は、「半世紀を超えるご利用に感謝。昨年2月からは、横浜新道上り線の川上IC~新保土ケ谷IC間で追加車線の整備にも取り組んでおり、完成後は渋滞解消に大きな効果が期待できる」と話す。
さらに今後に向けては「災害発生時でも緊急輸送路としての役割を維持できるよう、橋梁の耐震補強を計画的に進めています。老朽化した道路構造物の更新も避けて通れず、大規模な改修を行う“リニューアルプロジェクト”にも力を入れていく」と述べ、社会的インフラである高速道路の安全性と信頼性を未来に向けて着実に高めていく姿勢を示した。
第三京浜道路・横浜新道は、交通の円滑化、地域経済の活性化、そして豊かな地域社会の形成に不可欠な存在として、これからも横浜・湘南エリアの発展を支え続けていくだろう。