中華街・チャイハネで臼木英之さん展示会「絵衣-Egoromo-」

作品「貫頭衣」より

作品「貫頭衣」より

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 横浜中華街のエスニック専門店「チャイハネ カヤ」(横浜市中区山下町 165)で、4月29日より和物の展示販売会「絵衣-Egoromo-」が開催されている。

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 「絵衣」は、画家の臼木英之さんが「絵をまとう」をテーマに、日常とアートをつなぐアイテムとして開発した作品。服地をキャンバスに独自の技法で描かれた抽象絵画が施されており、会期中は手書きで1点ずつ描かれた約100点の手描き絵付け衣装を紹介する。

 作品は、ワンピースや藍染の羽織、Tシャツ、パンツをはじめ、小物の手提げかばん、風呂敷まで幅広く、生地は綿・麻・シルクなど。日常着からパーティードレスに使用できるものまでそろえ、作品はすべて試着することができる。

 「日常にアートを溶け込ませたい」と語る臼木さんは「抽象絵画を配することで、服地そのものにも空間感、余白感という絵画性が生まれ、人が羽織り、街に出て3次元的にアートが展開する」と話す。

 「絵衣」を着ることでアート自体に興味をもち画廊に足を運ぶ人も見られ、「アートに包まれて歩くなんて、なんと贅沢な」という声も聞かれるという。絵衣はNHKドラマ「ハゲタカ」、東宝映画「ハゲタカ」にも起用され、映画では松田龍平さんのメーン衣装として利用された。

 臼木さんの抽象画のテーマは「時間」や「遠い記憶」。「日常の次元を越えた、目に見えないからこそ、確かに存在を感じる世界を描きたい」。キャンバスに施した漆(うるし)の下地に油彩という独自の技法で抽象作品を展開しており、懐古の記憶の琴線に触れるような「初めてなのに懐かしい」感覚(デジャブ)を呼び起こす深遠な世界を追求している。

 「はじめは手本もなく、『ここ(服地)に描いていいのか』という葛藤も。今では服と対話しながら制作でき、バランス感覚が磨かれ絵画にもフィードバックされるようになった」と臼木さん。これからはアートへの敷居の高さを取り除き、誰もがレベルの高い作品にも気軽に触れられるよう、「アートから人へ」呼び掛けることも必要だと話す。

 「作品は、見る人によって時間的、宗教的、さまざまなとらえ方がある。絵衣が人に見せる服ではなく、自分の生活を豊かにするきっかけになればうれしい。ぜひ海外も含め多くの方にご覧いただければ」と話す。

 会場はチャイハネ カヤ3階。開催時間は10時~21時30分。入場無料。開催は5月9日まで。

 臼木さんは多摩美術大学・油学科卒。東京都の公立学校の美術教師を経て、2002年よりフリーの画家として独立し、同時に絵衣の制作を開始。銀座での個展を中心に国内外で油彩と漆を融合した作品を発表している。絵衣は「日本起業家協会賞」、「川崎起業家賞」を受賞。近年は壁画、具象画、立体作品と表現の幅を拡大し、インスタレーション・ユニット「HUST」としての活動も行っている。

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