インスタレーションユニット「HUST」がYCCに黒風船とセミの抜け殻で作品

インスタレーション展示「-In Vitro- u tsu se mi」

インスタレーション展示「-In Vitro- u tsu se mi」

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 「ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター(YCC)」(横浜市中区本町6)で、インスタレーション展示「-In Vitro- u tsu se mi」が開催されている。

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 同展は、画家の臼木英之さんと彫刻家の遠山伸吾さんにより結成されたインスタレーションユニット「HUST(ハスト)」による初作品。

 コンセプトは「作者からある一つの見方、考え方を提出するのではなく、観客が自らの感性で多様な言葉を紡いでもらうこと」。経歴も表現方法も全く異なるアーティスト2人が共通の問題意識を、お互いを触媒として新しい表現形態に挑戦した。

 作品は、真っ白で巨大な石造りの空間にゆらゆら浮いている約200個の黒い風船。それぞれの風船からは黒い糸が垂れ下がり、背中に「I am you」「You are me」と記されたバーコードを差し込まれた本物の蝉(せみ)の抜け殻が無数にぶら下がっている。観客はその空間を自由に歩き、立ち止まり、椅子に座って見上げる事が出来る。

 「不安なようで安堵感のある体内回帰感覚が素晴らしい」、「太古からのゆらぎと現代感覚の融合」、「こんな不思議な感覚は初めて体験した」、「ずっと包まれていたい」など、来場者は、現代社会の象徴のバーコードを背負った「生と死」「実在と不在」の間(はざま)の抜け殻たちが、不安定にゆらゆら動く黒い風船に群がり揺れる様から、さまざまな感覚を呼び起こされているという。

 「『場の必然性』と『削ぎ落とした表現』を常に意識して制作しました。この展示にインスパイアされた楽器奏者や舞踊家が、会場で即興演奏されたり、舞ったり。ご覧いただいた方々の反応の一つひとつがとても新鮮です。私たちの表現によって、皆さまの内部にわずかでも変化があれば、作者としてとても幸福なことです」とHUSTの2人は話している。

 開催時間は11時~19時。会場はヨコハマ・クリエイティブシティ・センター1階ホール。入場無料。3月22日まで。

 「HUST」は、「漂流と漂着」「痕跡と封印」「時間と喪失」「空間と忘却」「一瞥と不可触」「表象と遮断」などのキーワードをテーマに、人と事象の定義を多角的に示し、問題意識の座標軸に揺さぶりをかけることを目的とするユニット。他者と異文化を受け入れ、それらを触媒として発展してきた港横浜での継続的な展示を通して、「過去」と「未来」の間に紡がれる「現在」を切り取り、時間と空間、関係性の輪郭を際立たせる表現を目指している。

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