日本大通りの「ZAIM」（横浜市中区日本大通34）を活動拠点としている作曲家の安野太郎さんが、同館での活動の総括として独自のネット放送局を立ち上げ、番組の放映を行っている。

　放送局名は「SUPER poino TV」で、インターネットの動画配信サービス「Ustream」や「twitter」を利用した手作りの放送局。安野さんが日々の活動で出会ったアーティストらとともに制作した、朗読劇やトーク、音楽などの番組を6日間にわたって放映する。

　安野さんは東京の出身で、ブラジル人と日本人のハーフ。東京音楽大学作曲科、情報科学芸術大学院大学（IAMAS）を卒業後、横浜に拠点を置き活動。代表作に、人間が世界をどのように見ているかに注目した「音楽映画」シリーズ、吹奏楽器の指使いに新しい考え方で挑んだビット運指法による作品などがある。

　今後の主な放送内容は、若手アーティストを対象に作品を公募した「YOKOHAMA創造界隈ZAIMコンペ2009」の入賞者インタビューを行う「若い人達」、即興演奏家を集めてのアンサンブル企画「即興演奏不信音楽」、ウェブニュース「東京ふつうの人新聞」のスタッフらが、普通の人について談話する「東京ふつうの人新聞」、安野さんの作品である音楽映画第一番、第三番、第九番の発表をレポートした「blanclass」、かわいく輝いている女性を応援する「ダモリ倶楽部」など。

　安野太郎さんは「イチオシの番組は2月10日19時からの『即興演奏家不信音楽』と、12日深夜から13日の朝までを予定している『メタル放送大学』です。『メタル放送大学』では豪華ゲストを迎え、講師の危口統之（悪魔のしるし主宰）と安野がヘヴィメタルという狭い音楽ジャンルを観察することで見えてくる社会の趨勢や表現一般の問題などについて語ります」と話す。

　放映は2月14日まで。番組や放送予定はホームページで見ることができる。

　「ZAIM」は1928年に建てられた歴史的建造物で、かつては大蔵省の関東財務局横浜財務事務所や横浜地方裁判所の仮庁舎などとして活用されていた。2006年7月にアーティストを対象とした貸し出しが開始されたが、建物の老朽化や耐震性に課題を抱えており、2010年3月をもって貸し出し期間を終了し、閉館することが決定している。