「くじら横丁」の復活目指し、横浜・野毛の30店舗がくじら料理

店頭に鯨のロゴ入りの「のれん」を掲げるイタリアンバール「BASIL」

店頭に鯨のロゴ入りの「のれん」を掲げるイタリアンバール「BASIL」

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 古くから飲食店が多く集まる中区の野毛地域で6月1日、昔懐かしい鯨料理を提供する「野毛くじら横丁」がスタートした。

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 「野毛くじら横丁」は、野毛大道芸ブランド2008年度事業の一環で、野毛飲食業協同組合の新名物メニュー開発委員会が、8カ月かけてメニュー開発などを行ってきたプロジェクト。

 鯨料理を野毛の新名物として育て地域活性化を目指す。開催にともない、野毛を初めて訪れる人にも気軽に鯨料理を楽しんでもらおうと、参加各店を紹介する「鯨(Gei)マップ」を作成し、JR桜木町駅野毛口の「野毛地区インフォメーションセンター」などで無料配布する。参加飲食店は、同地区にある飲食店約500店のうち、日本料理店、居酒屋、寿司店、お好み焼き店、酒場、イタリアンバールなど30店。鯨をシンボルマーク・ロゴにしたのれんが各店舗に飾られる。

 鯨料理メニューは、イタリアンバール「BASIL(バジル)」のチーズカツレツ(600円)、魚料理店「清泉」のクジラ刺身(1,050円)・クジラベーコン(840円)、レストラン「たくみ」の季節の野菜とクジラサラダ(880円)、「錦寿司」のクジラにぎり一貫(200円)、老舗店「吉田町 濱新」のクジラすき焼きコース(10,000円)など。

 同事業ではこれまでにも鯨肉の品見会や、鯨肉調理の講習会、くじら料理ラリーやシンポジウムなどを行っており、大道芸を見て歩きながらでも食べられるスナックとして「大道芸くじらスティック」「クジラのかりんとう」や、「鯨ギョーザ」「鯨の生春巻き」などのメニューを試作してきた。

 5月には同地区に、鯨料理に関心をもつヨーロッパの学生やドイツ公共ラジオ放送局「ARD」が取材に訪れ、鯨の流通の仕組み、調理・保存方法、日本の鯨文化と国際関係など、地域ぐるみの鯨プロジェクトに質問が続いた。

 鯨食ラボの代表である中田博さんは「ドイツ公共ラジオ放送局の取材はこれで2度目。『日本のマーケットにおける鯨』を追う彼らに『鯨』で街おこしをねらう野毛を紹介した。戦後の野毛の食を支えていたともいえる『くじら横丁』を復活させることで地域の活性化につながれば嬉しい。ぜひ『鯨マップ』片手に野毛をゆっくりまわりながら、それぞれの嗜好にあうおいしいお店を見つけてほしい」と話している。

 イタリアンバール「BASIL」の大金由美子さんは「野毛を盛り上げようという思いで、イタリアンでも鯨を使ったメニューを開発し提供しています。5月中旬からメニューに加わった『チーズカツレツ』は、お客様から食べやすくておいしいと評判」と話す。

 戦後間もなく、横浜の中心地区である関内・関外が進駐軍に接収されるなか、横浜の中心市街地で唯一接収をまぬがれた野毛には闇市・マーケットが広がった。その一角にクジラカツなどを販売する露店群が集まり、「くじら横丁」と呼ばれて人気に。戦後の食料事情が悪かった当時、クジラは貴重な動物性たんぱく質の供給源だったという。また、横浜を開港に導き、日本に開国を迫ったペリー提督率いる米国艦隊の来航は、当初米国の捕鯨船補給基地を日本に設置することが目的だったことから、6月の横浜開港150周年に合わせて「野毛くじら横丁」をスタートした。

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