
臨港パーク(横浜市西区みなとみらい1)に2025年10月、木材を活用した新複合施設「横浜ティンバーワーフ」が開業する。
建築デザインは建築家の山下泰樹さんが手掛ける。施設は延床面積1,568.66平方メートル、軽量鉄骨造3階建てで、1階にベーカリーカフェ、2・3階にレストランとウエディング施設、加えて野外レクリエーション支援機能を備える構成。臨港パークと連動した設計により、来訪者が自然と人、建築との調和を体感できる場を目指す。
みなとみらい21地区最大の緑地である臨港パークは、横浜港に面した広大な芝生や海沿いの遊歩道を持ち、日々多くの市民や観光客でにぎわう。1990年代から再開発が進む同地区では、街全体の魅力向上を目的とした公共空間の有効活用が求められてきた。今回の施設整備は、その一環として位置づけられ、来街者の回遊性向上や観光消費の促進にも寄与すると見られる。
建築は、全面木材のファサードをトラス状に構成し、その背後に全面ガラスを配したデザインが特徴。パーク側の景観を内部から一望できる構造とし、周囲の自然と呼応する開放的な空間を実現する。木材には再生可能資源を活用し、脱炭素社会に対応した設計で、ファサードの柱には木質ハイブリッド集成材を採用する。鉄骨との組み合わせにより耐火性能を確保しながら、表層木材を交換できる構造とし、長期的な維持管理を可能とする。
1階のベーカリーカフェはオープンキッチンを備え、焼きたてのパンやコーヒーを屋外の緑地空間で楽しむことができる。2・3階のレストランでは、臨港パークの自然と港の景色を眺めながらの食事やウエディングを提案。さらにランナーやウォーカー向けに、手荷物預かりや着替え、ラウンジ機能なども提供し、ウェルネスな活動を支援する。
開業後は、施設を拠点とした野外アクティビティやアート、フードイベントの開催も行う。既存イベントとの連携により、臨港パーク全体のにぎわい創出を図る方針。公共空間の活用を促進し、地域コミュニティとの接点を築く場としての役割も期待されている。
建築を担当する山下泰樹さんは1981年東京都生まれ。2008年にDRAFTを設立し、都市・建築・空間デザインを中心に幅広く活動。今回の施設では「空間は人を中心にデザインされるべき」という理念を反映し、自然との連続性と人の営みを結びつける空間設計を追求したという。
施設の完成は2025年5月30日、開業は2025年10月を予定。今後の街づくりにおいて、環境と都市、人との関係性を再構築する先駆的事例として注目されている。