横浜ムンバイ友好委員会は9月1日、山下公園内のインド水塔(横浜市中区山下町)前で、関東大震災被災者・インド人被災者追悼式を行った。
インド水塔は、インドと横浜との歴史的なつながりを示すモニュメント。横浜とインドの交易は開港後の19世紀から始まり、移住してきたインド商人は山下町に商館を構え、絹織物の輸出などを行っていた。1923年9月1日に発生した関東大震災で、横浜の市街地は壊滅的な被害を受け、横浜在住のインド人も多数が被災し犠牲者も出た。
毎年9月1日には、横浜ムンバイ友好委員会が中心となり、インド水塔で慰霊祭を開催している。関東大震災から101年目にあたる今年は、シビ・ジョージ駐日インド共和国大使などのインド関係者のほか、横浜市国際局の三枝忠裕局長、日印交流に取り組む団体のメンバーらが集まった。
ジョージ大使は「関東大震災では22人のインド人が亡くなった。この美しいインド水塔は日本とインドの永続的な関係の象徴。戦争の破壊的な影響を受けた後の団結と慈悲の力を思い出させてくれる」と挨拶した。
横浜ムンバイ友好委員会の花上喜代志委員長は「横浜市とムンバイの姉妹都市提携から今年で59年目。横浜市にとってインドはかけがえが無い友好都市。60周年に向けて交流を深めていきたい」と話をした。
インド水塔は1930年に震災のがれきを使い埋め立てられた場所に開園した山下公園に、1939年12月に横浜のインド人コミュニティが資金を調達して、山下公園の水飲み場として設置し、横浜インド商組合から横浜市に寄贈された。2005年に横浜市の歴史的建造物に認定されている。
完成から84年経つ2023年6月には、横浜市による大規模改修工事が完了。以前は緑青色だった屋根が銅本来の色に戻り、ガラスモザイクが施された天井と内壁は石膏彫刻下地材から全面改修したほか、周囲の植栽はインドのナショナルカラーを模した植え込みになった。