日本フットサルリーグ(Fリーグ)加盟チーム「Y.S.C.C.横浜」を運営するNPO法人横浜スポーツ&カルチャークラブ(横浜市中区本牧埠頭3)は、サッカーの元日本代表の松井大輔選手およびサッカーでミャンマー代表だったPyae Lyan Aung(ピエリアン・アウン)選手との契約を締結したことを発表した。
松井さんは1981年5月11日生まれ。2000年にJリーグでプロ入り、2004年からは「ル・マン」などのフランスのクラブや、ロシア、ブルガリア、ポーランドなど海外各地でプロのサッカー選手としてプレーを続けた。14年にJリーグに復帰し「ジュビロ磐田」でプレー、2017年夏にポーランドのオドラ・オポーレへ移籍。2018年1月からは再びJリーグ「横浜FC」でプレーし、2020年12月にはベトナムの「サイゴンFC」へ加入。また、日本代表として、2008年にワールドカップ南アフリカ大会に出場し、ベスト16入りを果たした。
ピエリアン・アウンさんは、1995年12月17日生まれ、ミャンマー中部の古都マンダレー出身。ユース世代からミャンマー代表として国際試合を数多く経験し、2017年にミャンマーサッカーリーグ「ヤダナゴンFC」に入団し、通算43試合に出場。「勇気のある飛び出し」が評価され、2021年にサッカーミャンマー代表に招集されたゴールキーパー。
アウンさんは、サッカーワールドカップ予選出場のため来日し、5月28日の日本戦で「自分たちの代表チームはミャンマー国軍のチームではない」ことを表明するため、自国の軍事独裁に抗議する3本指のポーズをとった。帰国すれば命の危険もあるとして、6月16日の帰国予定便に搭乗せず日本に残り、同22日に大阪出入国在留管理局で難民認定の申請をした。7月にY.S.C.C.横浜が、サッカーJ3リーグ所属チーム「Y.S.C.C.」の練習生として受け入れ。8月20日に難民認定証明書が交付された。
9月14日の会見では、理事長の吉野次郎さんが「フットボールは世界に一番近いスポーツ。その中で、ピエリアン・アウン選手を迎えることができた。彼のおかれている状況、彼の祖国を思う気持ち。出会いをきっかけとして、そうした気持ちを理解していただきたい」と訴え、「今世界に目を向けるといろいろなことが起こっている。ボールで笑顔、ボールで世界平和を打ち出し、一人でも多くの子どもや青年、男女の区別なく、ボールを蹴ることで笑顔あふれる毎日、ポジティブに生きられる社会作りを目指していきたい」とも。さらに「松井選手も世界とつながる経歴を持つ選手。世界とつながっている選手たちがどのように今後このクラブで活躍していくのか、そうしたことも含めて交流をしていきたい」と述べた。
アウンさんは「はじめまして、私の名前はピエリアン・アウンです。ミャンマーから来ました。どうぞよろしくお願いします」と日本語であいさつ。横浜のチームについては「みんなに支えられ、家族のような存在でとてもうれしい。これからチームのために頑張りたい」と話した。アウンさんは、7月にサッカーの練習に初合流し、その後、横浜中区に居を定めた。
続いて松井さんは「ベトナムで、この一年で、引退をと考えたこともあった。そんな中、違う道、違う挑戦をさせてもらえることに感謝したい」といい、アウンさんに関しては「帰国すると日本はいい国だと感じる。皆が支えてくれると思うが、自分も(アウンさんが)チームに溶け込めるようにしていきたい。街なかで見かけたら、『がんばってね』と声をかけてあげてもらえたら」と呼び掛けた。
Y.S.C.C.横浜フットサルの、ホームタウンは横浜市中区。ホームアリーナは横浜武道館と横須賀アリーナ。チームカラーは水色・橙色・白色。フットサルを通じて横浜に夢・希望・憧れの創造と横浜文化の発信、新たな総合型スポーツクラブの価値観の実現を目指している。