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中区出身の写真家・和田芽衣さんが出版記念トーク 娘の成長の喜びと進行する病の不安を撮影し5万枚

写真集「わたしと娘 ゆき」

写真集「わたしと娘 ゆき」

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 横浜市中区出身で、難病・結節性硬化症の長女(7歳)の日常生活をテーマに撮影を続けている写真家で元・心理士の和田芽衣さんのトークイベントが8月18日、横浜市開港記念会館(横浜市中区本町1)で開催される。親子連れが参加しやすい「昼の部」と、福祉・医療など専門的なテーマにも言及する「夜の部」の2部構成で対話を深める。

 和田さんは現在、中区と友好交流協定を結んでいる埼玉県飯能市に家族5人で暮らしている。2011年2月に長女を出産するまで、心理士として埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科で患者の心理ケアに携わっていた和田さん。出産の翌月に東日本大震災が発生し、闘病していた実母の在宅介護生活が4月に始まり、8月に看取ることに。その悲しみが癒えない同年11月に、長女が結節性硬化症であることが判明した。

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 難病情報センターによると、結節性硬化症は厚生労働省の「指定難病」の1つ。皮膚・神経系・腎臓・肺・骨などいろいろな部分に良性の腫瘍ができる病気で、日本には1万人程度の患者がいるとされている。

 生後9カ月の長女が「現代医療では治らない病」にかかっていることが分かったときに、和田さんは「職場復帰も含めて、人生の計画が音を立てて崩れてしまった」という。2012年に心理士の仕事を辞めざるを得なかった和田さんは「特別な子ども」の親として「明日の子どもの状況、明日の暮らしも想像できない」現実に向き合うことになった。

 その時、和田さんの手には12歳から親しんでいたカメラがあった。「今、目の前にいる娘は、成長するに従い、その姿が変わってしまうかもしれない。そして明日には全て失われるかもしれない」という切羽詰まった気持ちで、娘の小さなからだ、表情や暮らしそのものにレンズを向け、シャッターを切り続けた。その撮影枚数は、零歳からの5年間で5万枚にのぼった。

 和田さんはその記録をまとめ、2016年第12回名取洋之助写真賞に応募し、奨励賞を受賞。さらに、その写真群を新たに編集して写真集「わたしと娘 ゆき」を、2018年6月に出版した。

 今回、ふるさとの横浜市中区で開催するトークイベントでは、出産直後から始まった「人生のどん底から這い上がり始めるまでの記録」(和田さん)を振り返りながら、写真という表現の可能性、同じ難病・障害を抱える親子・きょうだい児のケア、地域の医療・福祉体制などについて、参加者とのやりとりを交えながら語る。

 和田さんは「難病・進行性の病・障害を持って生きていく娘を育てることが、私にとってどのような意味を持っていたのか。なぜ写真を大量に残そうとしたのか。当時の心境について、写真集に掲載した写真1枚1枚たどりながら話をしたい。その経験が、ふるさと横浜で同じ境遇にある方たち、ケアに携わる方たちと共有できたら」と話している。

 昼の部(14時30分~)の参加費は800円。夜の部(18時~)は2,300円、4,300円(写真集付き)。事前予約はそれぞれ300円割引きとなる。申し込み問い合わせなど詳細は、ウェブサイトから。

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