
横浜港を船籍港とする郵船クルーズ(横浜市西区みなとみらい2)の新造客船「飛鳥III」がドイツの造船所から引き渡しを受け、6月2日横浜港に到着した。
同社にとって、1991(平成3)年に就航した初代「飛鳥」以来となる34年ぶりの新造客船で、現在運行中の「飛鳥II」に続く2隻目の横浜船籍を持つ客船となる。
入港は9時で、消防艇「よこはま」による歓迎放水と、横浜市立港中学校吹奏楽部の歓迎演奏が同船を出迎えた。
「飛鳥III」はドイツ西部エムデンのマイヤー・ヴェルフト社で建造。引き渡し式は4月10日に現地で行われ、国旗交換や、建造の安全を祈願して片眼に目を入れただるまへの両目への目入れといった日本文化を取り入れたセレモニーで完成を祝った。総トン数5万2265トン、全長230メートル、全幅29.8メートル、乗客数740人、客室数は381室で全室が海側バルコニー付き。液化天然ガス(LNG)など3種類の燃料に対応したエンジンを搭載し環境負荷を低減。いかりを降ろすことなく船の位置を保持できるD.P.S.(ダイナミック・ポジショニング・システム)と陸上電力受電装置を日本のクルーズ船で初めて採用している。
初代船長には、飛鳥クルーズ第11代船長の小久江尚さんが就任。7月20日からのオープニングクルーズでは日本国内の30港に寄港する。
郵船クルーズでは「つなぐ、ちから。」をコンセプトに、日本の伝統的なおもてなしを基盤としつつ、食、エンターテインメント、ウェルネスを融合させた新たなクルーズ体験を打ち出す。船内には日本のアーティストによる美術・工芸作品を展示し、文化的価値を重視した空間構成を採用している。
「飛鳥III」は大さん橋国際客船ターミナルに停泊し、7月20日に向けた最終調整や習熟航海を行う予定。