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特集

エリア特集2006-02-03

エステにホテルにフレンチレストラン……
横浜は女性ひとりでも楽しめる街?

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横浜と言えば、カップルや家族、友達同士で訪れるのが定番だったが、ここのところ女性ひとり客向けのサービスが続々登場している。今回は、そんな横浜における女性ひとり客にオススメを紹介するとともに、マーケティングの視点から女性客の心理に迫る。

■注目を集める「女性ひとり」マーケットとは?

最近、カフェやレストランで女性ひとり客の姿を見かけることが多くなった。また、ホテルでの宿泊や旅行など、カップルや家族、友達同士で行くことが定番だったものに、数年前から女性ひとり向けのプランが登場している。数多くのデートスポットを擁する横浜でも、女性のひとり客を対象にしたショップやサービスが増えつつある。

女性の消費行動に詳しいマーケティングライターの牛窪恵さんに話を聞いた。『男が知らない「おひとりさま」マーケット』(日本経済新聞社刊)や『ポジティブ・ケチのすすめ』(三笠書房刊)の著書でもある牛窪さんは、女性一人客が増えてきた背景をこう語る。「雇用機会均等法が制定され、働く女性が増え、30代・40代になっても、従来日本にあった『家庭を持つ』という選択に拘らない女性が増えてきています。ご飯を食べに行くにしても、結婚した友達は誘いづらいし、同じ独身女性同士でも仕事が忙しいので時間が合わない。それなら一人で自分の好きなお店に行って気兼ねなく楽しもうという感じで、もう女性一人客は当たり前の時代になってきています」。

はちのじ.com

実際に30代の女性たちにヒアリングした牛窪さんは、彼女たちの特徴をこう話す。「資格の取得や習い事への意識が高い人が多いですね。現在30代を迎えている団塊ジュニア世代は、他と比べて人口の多い世代で、バブル崩壊直後に就職氷河期を味わっています。また出産や結婚適齢期といった女性特有の悩みから、今の仕事をいつまで続けるのかという将来不安を常に持っています。やれることはやれるうちにやっておかないと後悔するという思いが強いようです。ただスキルを磨いても、切羽詰ったキッカケがないと、会社を辞めて夢を追うなどの思い切った選択肢はなかなかとれないのが現状のようですね」。

マーケティングライターの牛窪恵さん 男が知らない「おひとりさま」マーケット

■ホテル業界から始まったレディース向けプラン

そうした女性ひとり客のマーケットをいち早く取り入れたのはホテル業界。バブル崩壊により企業の団体客が激減、さらに90年代にハウスウェディングを主体としたオリジナル結婚式ブームが巻き起こり、収益減に見舞われた。そこで注目したのが、女性ひとり客という市場。それ以前にもレディース向けのプランはあったが、ホテルが本格的に女性のニーズを取り入れたプランニングを始めたのは90年代半ばから。利用した女性の「あのホテル、良かったよ」という口コミが、友人や家族へと広がり、ホテル全体の利用者増にもつながっていったのだ。今では女性ひとり客はホテルにとってなくてはならない重要な存在となっている。

女性がシングルでいることへの抵抗感が薄れた背景には、海外の影響も大きいと牛窪さんは言う。「映画にもなった小説『ブリジットジョーンズの日記』や海外ドラマの『SEX and the CITY』、『アリー my Love』など独身女性のライフスタイルを描いた作品がヒットしたことで、“ひとりはカッコイイ”とその生活スタイルに共感する女性が増えました。更に96年、スターバックスコーヒーの日本上陸をきっかけにカフェブームに火が付き、女性一人でお茶することも都会的なライフスタイルの一部として取り込まれていきました。昔は女性ひとりというと「ひとりぼっち」というネガティブなニュアンスがありましたが、現代では前向きでポジティブなイメージに変わりつつあります」。

独身王子に聞け!

■イマドキ女性の消費性向は「ポジティブ・ケチ」?

マーケットという視点から見た女性ひとり客の特徴について、牛窪さんは可処分所得や可処分時間が高いと言われてきたF1層だが、近年は全体的に所得が減少傾向にあると指摘する。「働く女性が増え、収入も増えたと思われがちですが、フリーターや派遣という加齢に応じて所得が増えない雇用形態も広がっています。"下流社会"と言われるように、高所得の"ミリオネーゼ"がいる一方、年収300万円以下の人が増えるという二極化が進んでいます」。

「しかし話を聞くと、彼女たちはうまくやりくりして、しっかり“ご褒美消費”や“自分磨き消費”をしているようなんです」。例えば『来月コンサートに行きたいから、今日のご飯は安く済まそう』などと上手に使うお金をコントロールする。牛窪さんはこういった女性の消費性向を“ポジティブ・ケチ”と呼んでいる。独自の価値観を持ち、節約できるところは節約する。一方で、自分自身の夢や理想の生きかたにつながる商品やサービスには惜しみなくお金を使う。頑張った自分やこれからの自分のために、ちょっとした贅沢を買うという意識。だからこそ中途半端に安いものはダメで、少し高めの価格設定であっても上質なサービスであることが大事なのだという。

ポジティブ・ケチのすすめ

■レディースフロアが人気のインターコンチネンタルホテル

横浜のホテルの中でも、特に女性ひとり客の取り込みに力を入れているのが、みなとみらいにある「ヨコハマグランド インターコンチネンタル ホテル」。同ホテルのレディースプランの売りは、女性専用の「レディースフロア」に宿泊できること。女性ひとり客に人気なのは、通常4万~5万円台のレディースルームに2万円~と格安で宿泊できる「自分リセットプラン」。このプランに限り、オプションでこのプランだけの人気スペシャルメニュー「スパ・クィジーン・ブレックファスト」のルームサービスを付けることができる。井上さんは、「朝1人でレストランに足を運ぶのには抵抗がある、というお客様にも美味しい朝食を召し上がって頂きたくて始めたサービスです。このプランを利用されるお客様のほとんどが、このルームサービスを活用されているようですね」と語った。友人同士や母娘で宿泊する人には、レディースルームに1室3名まで利用できるもう一つのレディースプラン「InterCon Ladies」が人気。

ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル

同ホテルは開業直後から「レディースプラン」を開始し、ホテル業界の中でも女性向けのサービスの先陣を切ってきた。その人気が爆発したのは、1997年頃。当時の状況を、広報担当部長の井上真澄さんはこう語る。「弊社のような600客室規模のホテルの場合、月に250~300室程度のプラン販売実績があればプラン成功と言われるところを、97年のピーク時には月間1,200室という驚異的な数字を記録しました。日本におけるレディースプランの流行の波と重なったことや、夏休みシーズンにスタートしたことなど、様々要因が重なった結果だとは思っていますが、予想をはるかに超えた数字です。私たちも驚きました」。

ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル 女性専用の「レディースフロア」 眺望を生かすため、窓枠の高さを低くしている

■女性の「こんな気配りがほしい」を実現した部屋

他のホテルとの競合もあり、プラン販売率が伸びず悩んでいたレディースプランの人気が爆発したキッカケは、内容の徹底した見直しだった。「女性客のニーズに対応したプランを生み出すため、様々な層の女性の声を聞きました。97年頃というのはちょうどインターネットが一般に浸透し始めた頃で、ホームページで一般の方を対象にレディースプランに関するアンケートを実施した所、1週間で2,000通を超える反響がありました。新・レディースプランには、このアンケートで得た女性のニーズを8割方反映させています」。

まずは安全性に気を使い、女性専用の「レディースフロア」を設置。エレベーターホールや通路、部屋の内装に至るまで女性の向けのデザインに一新。客室はアンケートで多かった「室内は柔らかいパステルカラーにしてほしい」という声を反映し、カーペットやベッドカバー、カーテン、その他ファブリックまで、柔らかいコーラルピンクで色調を統一、女性らしい華やかな雰囲気に変えた。浴室には、藤で出来た脱衣カゴを置き、ストッキングが傷つかないようにカゴをファブリックで覆うなど、女性が気になる細かい部分にも配慮した。また、部屋には女性が喜ぶアイテムも取り揃えている。最高品質の紅茶メーカーとして180年の歴史を持つ、ドイツ・ロンネフェルト社のハーブテイのセット、バスローブ&ナイティー、フットバス、フェイシャルスチーマーは常設され無料で利用できる。さらに、自然光が入るところにメイクアップミラーを置くなど、女性にとって嬉しい気配りが随所に施されている。「女性の目線から使い勝手を追求した結果、ロングセラーに繋がったのではないでしょうか」と井上さんは語る。

利用客は20代から70代とかなり幅広く、利用客の55%は、都心や横浜などの地元客。「特に多い年代というのもありません。意外だったことは、70代以上のリピーターの方が多いこと。お友達同士集まってお茶をするような感覚でホテルを利用していらっしゃいますね。また、弊社の売りである“海や夜景の眺望”を生かすよう、窓枠の高さを通常より低くし、ベッドで寝転びながらでも景色を楽しめる造りにしています。また、人間は視界の3分の1が水だと精神的にリラックスできると言われていますが、弊社の海側の部屋の窓から見える景色は3分の2が海。より深いくつろぎを得ることができるのではないでしょうか。そのせいか、お部屋から一歩も外に出られないお客様も多いです」。印象的なのは、チェックイン時と、チェックアウト時とで、宿泊客の表情がまったく違うこと、と井上さんは言う。「張り詰めていた緊張感が消えるのでしょうか。ホテルを出発されるときには、心から癒されたような表情をされている方を沢山お見かけします。嬉しいですね」。ホテルは女性たちにとって、都会のなかでちょっとしたリゾート感覚が味わえる癒しのスポットとなっているようだ。

やさしい雰囲気のファブリック類 自然光が入るところに置かれたメイクアップミラー 女性向けにデザインされたランプシェード 常設されているフットバス フェイシャルスチーマーと豊富なアメニティ

■女性ひとりでも楽しめるフレンチレストラン 「エルミタージュ」

女性がひとりで足を運ぶには、敷居の高いフレンチレストラン。しかし、伊勢佐木町にある隠れ家的フレンチレストラン「エルミタージュ」は、女性一人客のリピーターが絶えない人気店だ。オーナーシェフの飯笹光男さんは「20~30代の女性がひとりで来店し、ひとりの時間を楽しんでいってくれています。みなさんとてもポジティブなんですよね。人の目を気にすることなく、スタイリッシュに自分ひとりの自由な時間を上手に使っているという印象です」と語る。

フレンチレストラン エルミタージュ

フレンチでありながら、和食のテイストも取り入れた創作料理を中心に、「おひとりでも、カップル、グループでも居心地の良いフランス料理店」がコンセプト。鎌倉・腰越で水揚げされた鮮魚を使った料理が自慢だ。伊勢佐木モールの奥、地下1階に位置する店は目立つ場所とは言えない。しかし、一度訪れた客がまた訪れたくなるような心地よい雰囲気がこの店にはある。

フレンチレストラン「エルミタージュ」 カウンター席とオープンキッチン

■女性に心地よい「ひとり時間」を提供する秘訣

木の温もりが伝わってくる内装に、暖色系の照明を使用し、気さくでカジュアル、それでいて居心地が良い空間を作り出している。カウンター席とテーブル席は別空間となっており、家族客やカップル客と対面することを嫌がる傾向の強い女性ひとり客に配慮した店舗設計。肩肘張らずに楽しんでもらうために最初から箸を用意したり、音楽も「まさにフレンチ」といわんばかりのクラシックではなく、洋楽を流す。カウンターの前はオープンキッチンで、料理をつくるシェフの手際をぼんやりと眺める女性も多いという。「炎は人をリラックスさせる効果があるんですよ」と飯笹さんは語る。本や雑誌を読む人もいれば、スタッフと談笑する人もいる。スタッフとの近すぎず、遠すぎずの程よい距離感が、ひとり客にリラックスしてもらうための秘訣なのだ。

意外なことに、ひとり向けメニューは置いていないという。「ひとりだと、色々な味を楽しめないかも…と、敬遠される方も多いですよね。ですので、当店ではコース料理をちょっとずつワンプレートに盛り付けたスペシャルプレートや、季節に応じて常時10種類のグラスワインをご用意しています」。それだけでなく、客の細かい味の要望にも対応する。ひとり客のニーズに見事に応える様々な配慮が、成功の秘密と言えるだろう。

居心地の良さからか、アルコールを数多く注文するひとり客も多い。そのためカップルの客単価が6,000円前後なのに比べ、女性一人の場合は8,000円前後と、客単価も高いのだという。「こうした時間の使い方は、男性にはなかなかマネできないかもしれませんね(笑)」。自宅に戻る前に、ほっと一息、非日常を楽しもうという発想も、そこにはあるのかもしれない。

オーナーシェフの飯笹光男さん コース料理を少しずつワンプレートに盛り付けたスペシャルプレート 油を少なめにした、こってりしない料理

■究極のオーダーメイドサービス -隠れ家サロン「アロマ・ドルフィン」

元町・中華街に、女性が病みつきになる隠れ家エステサロンがある。一人ひとりに合った究極のオーダーメイドサービスが売りのリラクゼーションサロン「アロマ・ドルフィン」。人の好みは千差万別、という考えから“あなた好みのサービス”を提供することを意識している。施術前のカウンセリングで出される飲み物から、トリートメント中に聴きたいCD、マッサージの力加減も全て顧客の好きなように指定することができる。時間も要望に合わせてフレキシブルに対応しており、働く女性にも好評だ。

アロマ・ドルフィン

メニューにはリゾートの名前が付けられており、写真付きのメニューを見るだけで「癒された気分になれる」という人もいるという。顔と身体のメニューを組み合わせたコンビメニューの「ロタ」 (約120分、15,000円)、「ランカウイ」(約150分、19,500円)、「ボラボラ」(約150分、19,500円)などが人気。どのメニューでも高価とされる天然の美容液「スクワランオイル」をベースオイルに使用。「自然界に存在するもの・もともと人間の体内に存在するもの」にこだわり、万一そうでないものを使用する場合は事前に案内し、了解を得てから使用するなど、人と地球にも配慮している。

オーナーは、マーケティング会社に勤務経験のある宮武直子さん。睡眠時間もままならない、ハードワーカーだった会社員時代にアロマテラピートリートメントと出会い、その魅力に取り付かれ、横浜で独立。『初めてのトリートメントで、自分がハッピーな気持ちになれたように、お客様にも、そのハッピー感を味わって欲しい、癒されて欲しい』という一心で、店内の全てにこだわりを持っている。

アロマ・ドルフィン カウンセリングルーム 天然の美容液「スクワランオイル」 天然素材にこだわったオイル

■リラックスしてもらうために、全ての環境に気を配る

施術時間は約60~150分ほどとなっているが、訪れた人の滞在時間は「3~4時間」というから驚きだ。一般的にエステティックサロンでは、着替えの時間を含め、入店から退店までの時間で料金設定を行う場合が多いが、アロマ・ドルフィンは違う。「エステティックサロンで、うっとりと施術を受けても、時間に追われてバタバタと着替えをして現実に引き戻されるという経験が、誰しもあるのではないかと思います。私は、入店から退店までトータルで癒されて欲しいと考えています」。

宮武さんのほかにスタッフは誰もいない。オーナー自らが、一人ひとりの客と向かい合い、施術する。そこで活かされているのは、マーケティング会社で培われた顧客のニーズを探る技術だ。施術前に簡単なアンケートを記入して貰い、その時に書かれた好きなもの・香りなどから、客が望んでいる事を汲みとって、最適なサービスを提供する。「一人ひとりに満足して頂くために、その方と時間をかけて向き合って、本当に求めていらっしゃるものを提供する。ある種、とてもクリエイティブな作業だと思っています」。

また、初めて訪れるエステサロンは緊張するもの。騙されないだろうか、高額な料金を払わされないだろうか、どんな事をされるのだろうか――そんな不安を拭うべく、ちょっとした配慮も。「施術前にお通しするカウンセリングルームはお客様が緊張されないよう、可愛らしい小物を置いたり、ホッと和んで貰えるような作りにしています」。リラックスできる環境づくりからエステは始まっているのだ。

店を訪れる人の殆どが「口コミ」客。30代がメイン顧客だが、同僚から上司へ、娘から母へと口コミが伝染し、年齢層も20~60代までと幅広く、リピーター率も高い。「また来るね~、と、すっかり打ち解けて、笑顔で帰っていくお客様がほとんどです」。宮武さんは、サービスに目が厳しいと言われる“F1層”。「使うモノにしても価格にしても、自分がお客様の立場になったときに満足できるサロンならば、必ず受け入れてもらえるはず。高品質なオイルを豊富に使用しているのにリーズナブルな価格設定にしているのは、特別な日だけ行く特別なサロンではなく、気軽に来てほしいという気持ちがあるから。私自身が納得できる究極のサロンを作りたかったんです」。「あなたのために」と提供される、オンリーワンの職人的サービス。これぞ、女性の心を満たす「究極のサービス」と言えるだろう。

今や「女性ひとり」という言葉はネガティブからポジティブへと変化し、新規顧客を得るための重要なマーケットとなった。そこで求められているのは、目の肥えた女性たちを満足させられる、顧客目線に立ったサービスだと言えそうだ。

弓月ひろみ + ヨコハマ経済新聞編集部

リゾート気分を味わえるメニュー 顧客一人ひとりに渡されるアロマ手帳 事前に出される飲み物も選べる カウンセリングルーム

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