プレスリリース

European Geosciences Union 2025にて、AI技術を用いた高精度海況予測モデルに関する研究発表を実施

リリース発行企業:古野電気株式会社

情報提供:




古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男、以下 当社)は、海洋研究開発機構(所在地:神奈川県横須賀市、理事長:大和 裕幸、以下 JAMSTEC)と2024年4月に共同研究契約を締結し、「大気・海洋における確率論的予測代理モデルの研究開発」に向けた共同研究を進めています。この度、2025年4月27日(日)から5月2日(金)の期間中、オーストリアのウィーンで開催された国際学会「European Geosciences Union 2025」において、「データ駆動型のマルチスケールグラフニューラルネットワークを用いた10日間の全球海況予測モデル」というテーマで発表を行いました。



本学会は、気象海象関連の有力な国際学会の1つで、毎年、最新の研究成果や技術開発の発表および情報共有のために開催されており、多くの気象・海洋学の専門家が集まります。

研究の背景

「海の天気予報」である海況予測がAIの力で大きく進化しようとしています。
気象分野ではAIによって天気予報の精度とスピードが飛躍的に向上しつつあり、従来の数値計算手法を凌駕する事例も報告され、注目を集めています。一方で海の予報は陸とは異なる複雑さを持ち、いまだ多くの技術的課題も残されています。当社は「みえないものをみる」という事業テーマのもと、海事産業に対して様々なソリューションを提供しており、近年では深層学習などのAI技術との融合によるさらなる高精度・高度化を目指し、積極的なAI技術の研究開発を進めています。
また、世界的に有数の海洋地球科学の研究機関として知られ、大気や海洋における先端的な予測モデルの開発実績を有するJAMSTECと当社の舶用事業で培ったデータ解析技術を融合することで、前例のないAI海況予測モデルの研究開発を進めています。

研究内容

本研究では「10日間先の海況」をAI技術で予測するモデルの開発を行いました。
従来のAIを用いた海況予測モデルはデータを画像ピクセルのような格子状のデータとして解析するため、地球の球面形状の表現に限界がありましたが、 今回の研究では地球の球面形状に適したグラフ状のニューラルネットワークを構築することにより、海洋の水温や流れをより高精度に再現することができました。また、二段階のスケールのグラフニューラルネットワークを用いることにより、大域的・局所的な情報の同時計算が可能です。さらに大気データも取り込むことで、より現実に近い海洋の変化を捉えることにも成功しています。その結果、従来のAIモデルでは難しかった細かな構造を捉えることできました。本研究はデータ駆動型の海況予測技術の発展に寄与し、将来的な海洋環境の詳細かつ長期的な予測に向けた基盤を築きます。

発表タイトル

Data-driven Ocean Forecasting Models with Multi-Scale Graph Neural Networks for 10-day Global Forecasting(データ駆動型のマルチスケールグラフニューラルネットワークを用いた10日間の全球海況予測モデル)

研究者

古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部 知能制御研究室長 木村 考伸
海洋研究開発機構 平林 祐太 ※当社より出向中
海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門 上席研究員 松岡 大祐
研究者コメント:古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部 知能制御研究室長 木村 考伸
海洋予測の高度化は漁業、運航への活用に加え気候変動や資源管理といったグローバルな課題に対して海洋産業が立たすべき重要なステップです。今回の研究で当社がもつ海洋の現場データや実装技術とJAMSTECの持つ先端的な研究力がうまく融合することで、新しい可能性がみえてきたと感じています。これは当社の事業テーマである「みえないものをみる」のその先へと向かった大きな前進と感じています。今後も産官学の垣根を超え、持続可能で先進的な海洋社会の実現に向けて貢献していきたいと思います。





関連リンク
2025年7月25日発表(古野電気):AI技術でフルノの「その先」を牽引する
https://future-vision.furuno.co.jp/mirai-pulse/detail/20250725.html
2025年5月13日発表(古野電気):2025年度 人工知能学会全国大会にて採択論文を発表
https://www.furuno.co.jp/news/general/general_category.html?itemid=1650&dispmid=1017
2024年10月10日発表(古野電気):海洋研究開発機構(JAMSTEC)と、共同研究契約を締結
https://www.furuno.co.jp/news/general/general_category.html?itemid=1554&dispmid=1017
古野電気株式会社
1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功して以来、舶用電子機器分野においてその独自の超音波技術と電子技術をもとに数々の世界初・日本初の商品を提供し続けてきました。そして今日、世界90か国以上での販売体制を確立し、世界規模の舶用電子機器総合メーカーとしての確固たる地位とブランドを築いてきました。



古野電気株式会社 研究開発棟「SOUTH WING」

本社:兵庫県西宮市
設立:1951年 (昭和26年)
事業:船舶用電子機器および産業用電子機器等の製造・販売
資本金:7,534 百万円
従業員(連結):3,368 名
売上高(連結):126,953 百万円
代表者:古野 幸男
上場取引所:東京証券取引所 プライム市場




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