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日本大通・旧三井物産横浜支店倉庫の保存を考えるシンポー5日夜、開港記念会館で開催

取り壊し計画が浮上している日本大通の「旧三井物産横浜支店倉庫」

取り壊し計画が浮上している日本大通の「旧三井物産横浜支店倉庫」

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 1910年(明治43年)に完成し、日本国内で最初期の鉄筋コンクリート工法を採用した横浜最古の倉庫建築である「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫」(横浜市中区日本大通14)の再開発が計画され、取り壊しの可能性があることがわかった。

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 この計画を受け、8月5日、横浜市開港記念会館(横浜市中区本町1)で建築家や研究者らが集まり「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫の保存を考える緊急シンポジウム」が開催される。

 同倉庫は、現在、不動産会社ケン・コーポレーション(東京都港区)が所有しており、隣接する「KN日本大通りビル」(旧三井物産横浜ビル=以下、事務所ビル)とともに、新たな活用が模索され、その一案として「倉庫取り壊し」も浮上しているという。

 一般社団法人「日本建築学会関東支部歴史意匠専門研究委員会」が7月29日に発表した「見解」によると、「倉庫」は地上3階地下1階建てで、建築面積は約549平方メートル、延床面積が2194平方メートルとなっている。屋根・柱に鉄筋コンクリート、壁に煉瓦、床には木を用いたユニークな混構造が特徴だ。

 また、隣接する「事務所ビル」は国内最初の全鉄筋コンクリート造であり、いずれも関東大震災の揺れ、横浜大空襲を免れて明治期当時の姿を残しており、日本建築学会関東支部では「建築史的、技術史的に極めて価値が高い」と評価し「横浜開港の歴史を象徴する日本大通りの都市景観を構成し、広く市民に親しまれてきた」としている。

 設計したのは日本の鉄筋コンクリート造の先駆者、遠藤於莵(おと)。また、絹貿易で栄えた横浜で、生糸保管庫として使用された歴史があるなど近代産業史的にも重要な意義を持っている。一方、倉庫・事務所ビルともに、横浜市認定歴史的建造物や登録文化財などにはなっていない。

 シンポジウムでは、倉庫・事務所ビルが持つ価値を確認しながら、横浜における「歴史を生かしたまちづくり」を推進するうえで重要な文化遺産を保全活用し、将来に受け継ぐことの意義について考える。

 登壇者は関東学院大学教授の水沼淑子さん、横浜国立大学大学院准教授の大野敏さん、建築史家の堀勇良さん、横浜市立大学教授鈴木伸治さん、横浜国立大学名誉教授吉田鋼市さんら、まちづくりの研究者や建築家、横浜の近代建築史の専門家らが「現状と保存」「建築構法の特徴」「歴史的価値」「まちづくり」「世界のコンクリート史」という多様な視点から、倉庫の価値を伝える。

 主催する公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事で、シンポジウムをコーディネートする米山淳一さんは「今年、世界文化遺産に選定された群馬県の富岡製糸場で生産された糸は、横浜で保管され港から輸出された。この倉庫は生糸の保管庫として使われていて、横浜の近代産業史を語るうえで欠かせない建物といえる。壊してしまったら取り返しがつかない」と話し、シンポへの参加を呼びかけている。

 開催時間は19時~21時(18時30分開場)。入場無料。申し込み不要。

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