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横浜で一番古いあられ店「敷嶋あられ 嵯峨乃家本店」 120年の歴史に幕

炭火の火力にこだわり、炭火に近い熱を出すいり機など、昔ながらの製法を維持

炭火の火力にこだわり、炭火に近い熱を出すいり機など、昔ながらの製法を維持

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 1902(明治35)年創業の「あられ・おかき」の専門店「敷嶋あられ 嵯峨乃家本店」(横浜市南区南吉田町5)が2月末に閉店する。

「横浜で一番古いあられ おかきの店です」

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 同店は横浜市営地下鉄ブルーライン「吉野町駅」から徒歩3分、京浜急行本線「南太田駅」から徒歩4分ほどで、「日枝神社」や「日枝小学校」の付近にある。

 店名は創業者の小野田安次郎さんが京都・嵯峨から上京した際に、京都で経営していた旅館「嵯峨」の名前を使用して名付けた。関西発祥の「あられ」という菓子を当時、東京の人は知らず、「あられ」が売れない東京で苦労を重ねた末、東京を諦めて横浜に移り店を構えたという。

 「しょうゆと米だから単純。うまさは原料と心の込め方」を嵯峨乃家の信念とし、製法は炭火の火力にこだわり、炭火に近い熱を出すいり機など「昔ながら」を維持してきた。

 「生地あられ」のいり機は、コンピューター制御機器に頼らず、気候や湿度などによって変わる環境に合わせ、細かな火加減を職人が微調整する。人の手で心を込めておいしさを追求する「こだわり」は創業当時からの伝統。

 「あられ・おかき」の味を決めるしょうゆは、伝統のこだわり製法を継承し、発熱量の高い、蒸し焼きされたコークスを燃やし、鉄の羽釜に厳選した生じょうゆと砂糖を入れじっくりと熱を掛ける。とろみを付けるため、よく溶いた葛を流し入れ、手早くしょうゆとなじませ、職人の経験による絶妙なタイミングで火から下ろす。釜を火に掛けてから40分。炊きあがったしょうゆを、自然に冷まし、使い続けてきたしょうゆダレの容器に継ぎ足すと旨味が増す。

 いり上がった「あられ」にしょうゆを掛けて仕上がってからは「1カ月、2カ月掛けてなじませ、塩っぱさの角が取れる事を『枯れた』といい、この熟成にこだわる」といい「出来たては少々塩辛いと感じる方もいらっしゃいますが、時がたつにつれて、生地になじみ、深みのあるまろやかなうまさに仕上げる製法」だという。

 短期間で完成するあられ・おかきではないため、閉店することは昨年のうちから決め、店頭にお知らせを出していた。現在は通信販売を終了し、店頭のみで購入が可能で、笛のような筒形のおかき「嵯峨乃笛」や特大おかき「でっかち」などはすでに完売。

 創業者のひ孫にあたる小野田雅之さんは「伝えたいのは感謝の気持ちだけ。お客さんがいなければここで商売できなかった」と振り返る。店頭には「これからも『あられ、おかき、おせんべい』が皆様に手軽に楽しく召し上がって頂けるお菓子であり、変わらない『伝統文化』として愛され続けるよう心から願っております。そしてこの町に『手作りのあられ専門店』があったことを思い出して頂けたら幸いです」とあいさつが貼られている。

 現在の営業時間は10時~17時、土曜・日曜休み。商品の売れ行き状況により、閉店日が早まることもある。

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