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写真展「香港の民主活動家たち」 横浜中華街で見る香港の姿

2019年11月25日 大埔(タイポウ)での周庭(アグネス・チョウ)さん。区議選の翌日、民主派が圧勝した。「まだ戦いは続く」と日本メディア向けに記者会見で訴えた。(撮影=中村康伸、以下本稿写真は同)

2019年11月25日 大埔(タイポウ)での周庭(アグネス・チョウ)さん。区議選の翌日、民主派が圧勝した。「まだ戦いは続く」と日本メディア向けに記者会見で訴えた。(撮影=中村康伸、以下本稿写真は同)

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 横浜市在住の写真家・中村康伸さんによる写真展「香港の民主活動家たち」が、横浜中華街にある「AAA ANNEX GALLERY」(横浜市中区山下町)で、4月17日から開催されている。

24日はトークイベントを開催 写真展「香港の民主活動家たち」

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 香港では「真の普通選挙」を求めて民主化要求デモ「雨傘運動」が2014年9月~12月に行われた。中村さんは学生時代に同じ映画サークルだった友人から強く誘われ、同年12月11日に初めて香港の地を踏んだ。

 雨傘運動の最大拠点があった金鐘(アドミラルティ)では市民が道路を防いでいた。「日本でいう国会議事堂の前を市民が2キロほど占拠して暮らしていた。『こんなすごいことができるんだ』と、運動の熱量に圧倒された」と中村さんは振り返る。

 午前中に、警官隊が周囲に集まり出し緊張感が走った。警官隊は一列になって少しずつ市民の居場所を狭めていった。この日、香港当局が投入した警官隊は約7000人。昼過ぎから夜12時くらいまで、政府本部庁舎前の道路に座り込み、最後まで抵抗する人に対し、ひとりずつ礼状を読み上げて逮捕して連れて行く。

 最後のひとりが連行され、警官がスピーカーで「もう終わりです、帰ってください」と、英語と広東語で告げた。「終わってしまったのか」と思い引き返そうとすると、次の瞬間に道路の反対側から雨傘運動のスローガン「普通選挙を要求する」と叫ぶ人たちがいた。「運動をしていた人たちではなく、テレビを見ていて黙っていられなくなった人たちが集まって叫んでいた。『まだまだ雨傘運動は続くんだ』とその日一番心を打たれた」と中村さんは話す。

 帰国し、翌年4月にフォトギャラリー「Place M」(東京都新宿区)で写真展を開催。その後も、年2回、1回につき約1週間、計11回香港に通い、都度個展を開いてきた。

 2020年3月、新型コロナウィルスの影響で香港に入境できなくなった。同年6月、中国の全国人民代表大会の常務委員会で、反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が全会一致で可決。無期懲役も可能となった。

 同年8月、民主活動家で「民主の女神」とも称された周庭(アグネス・チョウ)さん、日刊新聞「蘋果日報(アップル・デイリー)」の創業者の黎智英(ジミー・ライ)さんなどが同法により逮捕。「逮捕者の名前を見ていると、僕が撮影した人が多くいた。今、牢屋に入っているのはあの日あの場所に一緒にいた人なのだと感じた」という。

 「2019年の夏や、11月の選挙の時は、取材に行くとアメリカの三大メディアを始め、世界中の報道関係者が集結していた。そこまで世界の注目を集めることができていた。コロナで外国との往来が制限された今『誰も見ていないから何でもできる』ことを危惧している」とも。

 来場者に対しては「無力感が先にたつのは、日本で平和に慣れているとある程度仕方がない。日本にいても注意を払って注目をして、何か一言でもいうこと。外国の上部が動けば香港の助けになる。そして自国の選挙には必ず行こうということ」と話す。

 展示枚数は写真約80枚。うち8割は活動家たちの写真で35人ほどを収めた。作品の中には群衆が写っているものもあり、「その場所に立ち会っていたことが読み取れてしまったら彼らに危害が及ぶかもしれない」と、ウェブ上に出す写真は慎重に選んだ。

 営業時間=12時~17時。月火定休。入場無料。4月30日まで。24日は香港育ちのフリーライターの伯川星矢さんを招いたトークイベントを開催する。

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