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大正時代から4代続いた銭湯「松島館」 閉店へ

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 公衆浴場「松島館」(横浜市西区戸部町4)が7月末、閉館する。薪(まき)を使用して湯を沸かす昔ながらの銭湯だった。

ハーモニカを吹くおかみの雅子さん 7月23日、72歳の誕生日に

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 新潟出身の初代店主が大正時代に始めた銭湯で、当時の建物は空襲で焼けたため、戦後に建て替えて、現在は築約70年。常にではないが、おかみの土田雅子さんが番台でハーモニカを吹くことでも知られている。

 浴室の壁のペンキ絵は、現在85歳の銭湯絵師の丸山清人さんが、2012(平成24)年に描いた。男湯は西伊豆から望む霊峰富士、女湯は瀬戸内海。「松島湯」の「松島」を意識したかを聞くと、雅子さんは「そうでもないと思うわ」と笑った。

 閉店は新型コロナウイルスのせいではなく、昨年のうちに決めていた。夫の土田眞弘さんが病気になり、娘が3人いるが「女手だけで回すのは大変だからね」と話す。

 なじみ客が多く「体の調子はどう?」「閉店したらこの先どこ行けばいいのかな」「もう一度必ず来るから」と、皆何かしら雅子さんと言葉を交わしていく。

 閉店後どう暮らすのか雅子さんに尋ねると「彼氏とデートだよ。いっぱいいるからね」と冗談めかしたあと、「倒れそうだよ、寂しくて。みんないい友達だよ」と続けた。

 営業時間は15時~22時。31日閉店(27日は休日)。銭湯の建物は、廃業後取り壊しを予定している。

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