特集

喉とともに「人と人をうるおす」ボトラー。
「コカ・コーラCJ」の地域密着事業

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■MMに本社を置く「コカ・コーラ セントラル ジャパン」

コカ・コーラが提供している商品郡 現在、世界200カ国以上で販売され、毎日13億杯も飲まれている炭酸飲料の王様「コカ・コーラ」。1886年に開発されたコークは、今年でちょうど生誕120周年を迎えている。そのコカ・コーラが初めて日本人の目に触れたのは横浜だということをご存知だろうか。1885年に日本郵船のシップチャンドラーとして横浜万代町に創業した「明治屋」が、1919年に日本で初めてアメリカからコカ・コーラを輸入し、広報誌「嗜好」で紹介したのが始まりだ。国内で製造・販売を開始したのは日本法人が設立された1957年。戦後の復興とともに売上を伸ばし、全国各地にボトラーが設立。1962年には日本で初めて自動販売機を設置し、1967年には家庭内で最も多く飲まれる清涼飲料となった。

明治屋の広報誌「嗜好」で紹介されたコカ・コーラコカ・コーラが世界の清涼飲料のなかで圧倒的なシェアを握り続けている秘密は、独自の製造・販売システムにある。アメリカから原液が供給され、各地のボトラーが製品として完成させ、各支店から店舗や自動販売機へ直接製品を供給する。この地域密着のルートセールス・システムこそコカ・コーラグループの最大の特徴だ。現在、日本のボトラーは全国で14社となっている。

 「コカ・コーラ セントラル ジャパン」は、神奈川・静岡・山梨を販売エリアとする富士コカ・コーラボトリングと、愛知・岐阜・三重を販売エリアとする中京コカ・コーラボトリングが2001年6月に持株会社として経営統合して設立された。2005年1月に正式に合併・広域化し、みなとみらいに本社を置いた。約2,470万人が暮らす6県下でスーパーや酒屋などの食品店への製品の供給、レストランやファーストフード店のディスペーンサーへの供給、自動販売機での直接販売、オフィスへのコーヒーサービスなどの事業を展開している。

コカ・コーラ セントラル ジャパン

コカ・コーラ セントラル ジャパン取締役 常務執行役員の河合幸夫さん合併の狙いについて、コカ・コーラ セントラル ジャパン 取締役 常務執行役員の河合幸夫さんはこう語る。「近年の価格破壊で、清涼飲料水もコストダウンが大きな課題となっています。ボトラーが細かいエリアでそれぞれが同じような仕事を担当していることには、広い目で見ればコスト的なマイナス要因がある。合併によるスケールメリットの獲得と業務の効率化でコストを削減するとともに、両社の良い部分を合わせて営業力の強化を図ることが狙いです」。

■日本の清涼飲料水業界は世界一厳しい市場

2003年にリニューアルしたコカ・コーラのロゴ グローバルに展開しているコカ・コーラだが、日本ほど特殊な市場はないと河合さんは言う。「日本の消費者は品質に厳しい目を持っていて、多種多様なものを好まれる。年間約1,000点もの新商品が生まれ、商品のライフサイクルも短い。全世界的に見ても日本ほどブランドやパッケージが多い国はない。それに加えて、炭酸飲料が占める割合も諸外国に比べて低くなっています。自社製品全体のなかでのコカ・コーラの販売シェアは、アメリカでは7割を占めているのに対し、日本では2割弱に留まっています。代わりに、コーヒーの『ジョージア』、緑茶の『一(はじめ)』、スポーツ飲料の『アクエリアス』などが日本では売れているのです」。

 特にここ数年の日本では茶系飲料の伸びが目覚しい。海外でも健康志向の高まりや日本食の広がりとともに、日本茶が飲まれるようになってきている。アメリカなどでも今後、日本茶のペットボトル飲料の普及が期待されているが、お茶と炭酸飲料では充填技術に違いがある。炭酸自体が殺菌効果を持っている炭酸飲料とは異なり、お茶では高度な無菌充填技術が求められるのだ。日本の厳しい市場で生み出された優れた飲料が、日本の高度な無菌充填技術とともに海外へ輸出されていく日も近いだろう。

時代とともに増え続ける商品アイテム数に対し、昔と同じようにボトラー各社それぞれが同じ商品の生産ラインを持っていては非効率。コカ・コーラグループ全体のサプライ・チェーン・マネジメントの構築が求められた。そこで日本コカ・コーラと全ボトラーが出資し、原材料・資材の共同調達と全国規模での製造・需給計画および調整業務を統括し、ボトラーへ製品を供給する「コカ・コーラ ナショナルビバレッジ」を2003年に設立。日本のコカ・コーラのボトラーは独立資本を保ちながら、グループ全体でより強いパートナーシップを構築しつつある。グローバル企業であるコカ・コーラのなかで、日本のコカ・コーラは豊かな商品郡とそれを支える高度な技術、さらには生産・流通システム面でも世界の先端を走っているのだ。

■災害時はフリーベンダーとなる「災害対応型自動販売機」

横浜市港南区役所前に設置された災害対応型自動販売機 1962年、日本で初めて自動販売機を設置したコカ・コーラ。当初はクーラーボックスにコインを投入し、ロックが外れたビンのコーラを引き抜くという「半自動」式だった。いつでも気軽に冷えた1杯が楽しめるとあり、自動販売機は急速に全国へと普及していった。その後もコカ・コーラは缶製品用やカップ専用機などの新機種をいち早く市場に導入し、業界をリードしてきた。現在はノンフロンタイプ自販機、省エネタイプ自販機を積極的に導入している。

 そのコカ・コーラが3年前から設置し始めている次世代型自動販売機が、「災害対応型自動販売機」だ。地域の災害情報を電光掲示板で画面表示したり、災害時には無料で飲料を提供する「フリーベンダー」の役割を果たす。横浜では、港南区が積極的に災害対応自動販売機を導入している。今年3月、港南区でフリーベンダー対応の自販機の公募型プロポーザルが実施され、電光掲示板に流す情報をWeb上で一括管理できる、また耐震設計であるという他にはない特徴を持つコカ・コーラの「災害対応型自動販売機」の導入が決定。港南区役所前をはじめ、区内で19台を設置している。

災害対応型自動販売機の説明をする太田史昌さんこの自動販売機の特徴について、コカ・コーラ セントラル ジャパンで自販機の営業を担当している太田史昌さんはこう説明する。「災害時の飲料水不足の際には担当者のPCから自販機に無線でフリーベンドの指示を送ることができます。フリーベンドが作動すると、自動販売機は常にお金を投入している状態になり、商品のボタンを押せば無料で取り出すことができます。PCから遠隔操作で文字情報を一斉に流すこともでき、地震以外の災害時でも対応することができます」。港南区では幸いにもフリーベンダー実施の機会はまだないが、2004年の新潟県中越地震では、フリーベンダーで被災者に無料で飲料を提供した実績がある。

横浜市港南区役所 総務部総務課の柴垣涼さん 横浜市港南区役所 総務部総務課の柴垣涼さんは、災害対応型自動販売機導入の狙いと効果をこう語る。「災害時に避難するとき、人は着の身着のままで外に出ます。その初動のときに、無料で飲料が飲めるフリーベンダーは特に重要な役割を果たすものと考えています。電光掲示板で行政発の様々な情報を手軽に発信できることも高く評価され、他の場所からも設置してほしいという強い要望があります」。災害時に、飲料と災害情報というライフラインを確保することができる「災害対応型自動販売機」は、今後も全国に広がっていきそうだ。

■MM駅に「ジョージア」をデザインしたリフレッシュスペース

「ジョージア」をデザインしたみなとみらい駅のリフレッシュコーナー 今年2月、コカ・コーラ セントラル ジャパンは、みなとみらい線みなとみらい駅B2改札外に「ジョージア」をデザインしたリフレッシュコーナーをオープンした。ここには、前述の災害対応型自動販売機に加え、ドコモの「おサイフケータイ」を使いキャッシュレスで商品を購入できる「Cmode サービス対応ベンダー(愛称:シーモ2)」、フローズンドリンクやフレーバートッピングなどの本格的なカフェメニューが楽しめる次世代型カップ自動販売機「ジョージア カフェマティック」、硬貨が入れやすく上段の選択ボタンを低い位置にも配置している「ユニバーサルデザイン自動販売機」の4種類が設置されている。

 コーナーの外観は、海をイメージしてデザインされたみなとみらい駅の雰囲気に合わせ、シルバーと青を基調にジョージアコーヒーのロゴを大きくデザインした。待ち合わせや電車待ちまでのひと時を過ごせる休憩スペースとして活用できるよう、テーブルや椅子も設置している。奥には喫煙室もある。煙草を吸う姿が外から見えないからかだろうか、喫煙室は女性客の利用が多い印象を受けた。

「シーモ2」で「おサイフケータイ」を使い商品を購入する幾田昇さんコカ・コーラ セントラル ジャパンで同コーナーを担当した幾田昇さんに話を聞いた。「コーナーの設計にあたり、ユニバーサルデザインを第一に心がけました。せっかくユニバーサルデザイン自動販売機を設置するのに、コーナーが使いにくいものだったら意味がないですからね。入口の扉を広くとったことはもちろん、テーブルも車椅子に対応した低いものを設置し、快適に使えるよう配慮しました」。次世代の自動販売機が体験できるとあり、顧客の反応も上々のようだ。

■「人と人をうるおすコカ・コーラ」へ

「Coke Expo 2006」横浜の来場者による寄せ書き 今年5月には2日間にわたり、桜木町駅前広場で「Coke Expo 2006」を開催した。これはコカ・コーラ生誕 120周年を記念して開催され、今年の5月から9月にかけて全国13の主要都市を巡回したイベント。来場者にはレギュラーボトルのコカ・コーラを無料配布し、コカ・コーラの歴史と生み出してきた数々のカルチャーを、コーラを飲みながら体験してもらうというものだ。横浜でのイベントには約15,600人が来場した。会場に設置された寄せ書きパネルを見ると、「Coke 最高!」「コカ・コーラ大好き」「I LOVE COKE」など、来場者のコカ・コーラに対する素直な想いが書き綴られていた。

 コカ・コーラグループは昨年から「人と人をうるおすコカ・コーラ」という新しいスローガンを掲げている。商品で喉をうるおすことからさらに一歩進んで、人と人、社会をうるおす企業を目指すという意味だ。これまで取り組んできた教育・文化・スポーツへの支援の価値を再認識し、幅広く地域社会へ貢献する活動や、環境に配慮した活動をより一層推進していく方針だ。グローバルな商品・ブランドと、地域密着のローカルな姿勢、その両方を併せ持つコカ・コーラのボトラーは、非常にユニークな企業のあり方だと感じた。

 この記事は、横浜テレビ局の番組『企業の履歴書』とヨコハマ経済新聞のタイアップ企画です。横浜テレビ局でも10月に「コカ・コーラ セントラル ジャパン」を取材した番組を放送しています。

横浜テレビ局

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