特集

横浜最新デートスポット事情2006。
今時カップルが横浜の経済を救う!?

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■デートスポットとしての横浜の可能性と必要性

 「日本交通公社」が毎年実施している「旅行者調査」によれば、都市観光における同伴の類型は「女性同士」と並んで「カップル」が毎年高い比率を占めており、さらに同調査で類型上「カップル」に含まれない「夫婦」を加えると、幅広い年齢層で構成される広義のデート目的の層は、毎年全体の30%~35%程度を占めている。また、平成17年度に横浜市が行った市民意識調査では、10代~20代の若い世代が横浜市に求める魅力は1位に「海や港」、2位に「ショッピング施設の充実」を挙げている。どちらも「デート」と密接な繋がりのある要素だ。今回は、「デートスポット」の視点から横浜を見続けている二人の専門家にお話を伺った。

日本交通公社

■デートスポット専門紙の編集長が語る「私が大好きな横浜」

 横浜のデートスポットをナビゲートするフリーマガジン「ハマメール」。飲食店やタウン情報のフリーペーパーは数多くあれど、デートポットに特化した媒体は珍しい。口コミ情報を重視しながら地元の人しか知らないお店情報やデートスポットなど「ディープな横浜」を紹介している。「ハマメール」編集長の住川禾乙里さんは取材、執筆、営業の全てをこなしながら横浜の各スポットを誰よりも深く見てきた。

 「私自身が元々横浜が大好きなんです。学生時代は学校サボって遊びに来てたりして(笑)。横浜でライターとして何かしたいと考えたときに、これだけフリーペーパーがあるのにデート情報に特化したものがないなと。横浜に来るカップルは多いし需要はあると思いました」。  

HAMA-MAIL(ハマメール)

 平成17年9月の創刊から20代~30代女性を中心に着々と読者を開拓し、当初10,000部だった発行部数も現在は25,000部。隔月発行で東急線沿線での駅置きを中心に展開している。

 「横浜は他の都市と比較して、集客のための戦略に長けているという印象があります。取材を通して聞こえくるのは、東京はゴミゴミしているけど横浜は綺麗だと。時間もゆっくり流れていて過ごしやすい、だから東京ではなくて横浜に遊びにいくんだという若い人は多いですね」。 

 横浜という街の印象でしばしば耳にするのが、新しさと古さが上手に共存しているというもの。みなとみらいの赤レンガ倉庫のように、歴史的価値のある空間を現代風にアレンジし、時代の空気に敏感な若い層に訴える。古い物を守りながら並行して新しく進化するのが横浜の一つの特徴であり、それがデートスポットの受皿として魅力があるのだと、住川さんは語る。

 「赤レンガ倉庫は、私の高校時代は柵があって中に入れなかったんですよ。それが人の手を入れて一般開放されました。中に近代的なエスカレーターがあったりして少し違和感もあったけど、あれはあれで建物をしっかりと残しているじゃないですか。カップルも大勢に訪れて、あの空間を楽しんでる」。

横浜赤レンガ倉庫

 一方で、みなとみらいに偏りがちな観光イメージに違和感も持つ。「横浜のデートスポットはみなとみらいだけじゃないんです。『ハマメール』も臨海エリアは一回りしたかなと思うんで、次は取材対象を北部エリアへも延ばします。センター北とか南、青葉区とかたまプラーザなど、臨海エリア以外の情報も積極的に発信していきたいですね。本当にいいスポットがまだまだたくさんありますから」。そんな住川さんに、個人的なお勧めスポットをお聞きした。「ポートサイド地区の『ハニーズ・ヨコハマ』はお勧めの隠れ家カフェです。『ハマメール』でも紹介してますが、意外に人が殺到していないんです。これから『横浜ベイクォーター』の影響で人の流れに動きが出てくるかもしれませんが、今のところまだ、穴場のデートスポットと言っていいと思います」。 

横浜ベイクォーター

■「出会いから結婚までを横浜で」 行政が仕掛ける戦略とは

 観光客数に比例した経済効果を求めるとき、重要視されるのが宿泊客層の拡大である。横浜市経済観光局によると、平成17年度における横浜市への観光入込客数は3994万人(対前年比2.7%増)。うち宿泊客数は457万人で全体の11%にとどまり、この割合は過去5年間大きな変化がない。さらに、宿泊客の内訳の多くが東京からのカップル層である。集客に対する効果的な収益を得るために、泊り客を今後どう拡大していくか。デートスポットとしての横浜のポテンシャルを下敷きに、どんな戦略が求められるのか。

                                   「横浜観光コンベンション・ビューロー」では、市内のホテルやレストラン、ウエディング・コンサルタント会社等とタイアップした「横浜ウエディング」と「バースデイ・スペシャルプラン」事業を進めている。これは「横浜観光プロモーションフォーラム認定事業」に基づき横浜の集客力を高める事業を一般企業から公募するもので、集客性やPR性、波及性、発展性など7項目による認定審査の結果、適切と認められた事業に対し、事業規模に応じて助成金が支給される。平成17年度は9件の事業が認定された。また、山下公園やグランモール公園等の横浜らしい場所で思い出に残る結婚式を挙げたいと希望する一般のカップルに対して、規制緩和により公的施設を提供している。事業を通したイメージアップ効果と共に、一連のプランを通した顧客層の定着が狙いだ。  

横浜観光コンベンション・ビューロー

 同ビューローの観光プロモーションフォーラム事業チームリーダーである富永源太郎さんは、デートスポットというテーマを通して集客に繋がりが見えてきたと語る。「これまで続けてきた『誕生日は横浜で』というバースデイプランのコンセプトが定着してきたので、今年からマーケットを広げて『記念日は横浜で』という展開をしています。記念日ならなんでもいいわけです。何か二人の記念になる日に横浜に来て素敵な時間を過ごして頂こうということです」。
 「例えばまずデートで横浜に来ます。初めてデートしたのは横浜のみなとみらいで、それがお二人の記念の日になりますね。次からその記念日には横浜らしい場所で特別なプランで過ごしてもらい、新しい思い出を作って頂く。そうしてその後も何度も来て頂いた結果、ウエディングにつながり、もちろん『横浜ウエディング』をご利用いただく。そういう流れが見えてきたという気がします」。

横浜ウエディング


 ここ数年の宿泊客数の横ばい傾向を最大の懸念であるとして、カップル層の誘客拡大は避けて通れない重要課題だという。
「泊まり客の内訳のほとんどが東京からのデートを目的とする方。湘南新宿ラインの開通から埼玉エリアからのお客様も増えていますが、泊まりが増えないため収益に結びついていません。だからそういう層を誘導するのはもちろんですが、泊まり客が夜の横浜を楽しんでもらうことも並行して求められてきます。夜景が美しい横浜としてのPRですね。そこで、来年1月か2月に、夜の横浜の魅力を底上げするイベントを企画中です。内容はちょっとまだ秘密ですが(笑)」。


 行政として観光施設を管理されている立場でお勧めのスポットを聞いてみた。「僕個人はポートサイドなんか好きです。あるいは臨港パークとか、少し奥まった場所にある海沿いの公園なんですが。意外に知られてなくてその分混雑せずに、海を身近に感じられて横浜らしいいい場所です。デートには最適ですよ」。

横浜ポートサイド

■埋もれたエリアの訴求力をいかに高めるか

 過去の調査結果や専門家の意見が示す通り、デートスポットとしての展開は今後の横浜の観光振興に必要不可欠だ。横浜は、新しさと古さが奇跡的なバランスで共存する稀有な街であり、それが洗練された「カッコよさ」として若者の心をとらえている。デートに訪れる男女がその街に求めるものはそうした「カッコよさ」と共に充実した商業施設などの利便性だ。8月24日のベイクォーターのオープンは、都心臨海部では今年度最大の出来事として注目されている。述床面積5万平米、70店舗の巨大商業施設は、横浜全体の人の流れを変える起爆剤として大きな期待がかけられている。 

 一方で、「テナントは苦しい戦いを強いられるのでは(関係者)」とのシビアな見方もある。表参道ヒルズや六本木ヒルズ等の都内ビッグプロジェクトの厳しい戦況を鑑みれば、横浜の展開も必ずしも楽観的とは言えない。訪れる客が繰り返しリピートするためには、「横浜ならではの商品展開や東京にない仕掛けが求められる(富永氏)」だろう。また、みなとみらいに代表される知名度の高いエリア以外の、いまだ広く知られていない街の訴求力をいかに高めることができるか。現在の横浜のポテンシャルを考えればそれは可能だ。臨海エリア以外の、北部や南部の魅力あるエリアの発掘と振興が、デートスポットとしての横浜の魅力を底上げするための中長期的な戦略として、今求められている。

浮島さとし + ヨコハマ経済新聞編集部

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