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特集

映像文化都市を歴史的建造物で体感。
回遊型イベント「ヨコハマEIZONE」の全貌

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■ピクニック気分で映像文化都市を満喫できる「ヨコハマEIZONE」

映像文化都市フェスティバル「ヨコハマEIZONE」 「ヨコハマEIZONE」――その名のとおり、馬車道・日本大通りから新港地区までの横浜都心臨海部のZONEにある歴史的建造物や倉庫をコンバージョンした6つの建物がメイン会場となっている。まずはそれを簡単に紹介しよう。「デジスタ展」をはじめ、「明和電機」、「Naのアート展」などの展示と様々なイベントが展開されるZAIM別館(旧労働基準局)。東京芸術大学大学院映像研究科の第一期生の夏季制作作品と春季制作作品を上映する馬車道校舎(旧富士銀行)。ヨコハマのキャラクター「BlueDal(R)」のアニメと、バンタンキャリアスクールSOCO横浜の講師、卒業生、在校生による展示・上映が行われる創造空間 万国橋SOKO(国際コンテナターミナル万国橋倉庫)。アニメ作家・伊藤有壱さんの作品展示とカフェ「I.TOON CAFE ヨコハマ」が開かれている横浜赤レンガ倉庫1号館。横浜・ニューヨーク都市模型展示と、横浜のアーカイブとビジュアリゼーションのコンセプトを提案するCG映像「YOKOHAMA-ARC」の上映が行われる、北仲BRICK1階の横浜アーバンラボ(旧帝蚕倉庫本社ビル)。DVD、CDなどメディア系マルチプル作品のマーケットと、「地球」をテーマにしたデジタルアート作品展を行うBankART1929(旧第一銀行)。同イベントは、「EIZONEピクニック」としてこれらの6カ所をスタンプラリーで結ぶという、これまでにない都市回遊型映像イベントとなっている。横浜の開港の歴史を物語る歴史的建造物で、最先端の映像作品・デジタルアート作品を体験するというギャップも面白さの一つだろう。

ヨコハマEIZONE

 また今回のイベントでは、映像や音声を使ったネット上の情報発信を取り入れる。ZAIM別館1階のサテライトスタジオから期間中のストリーミング生放送と、ポッドキャスティングを行うインターネット放送局「ヨコハマEIZONE STATION」が開局する。ストリーミング生放送は13時~18時までの毎日5時間で、パーソナリティーがスタジオからイベントの見所やイベントに参加するクリエイターたちの生の声を届ける。イベントの新着情報をリアルタイムにお知らせする「ヨコハマEIZONEブログ」も開始。最新情報のほか、展覧会のレポートや参加作家のインタビューなどが日々更新される予定だ。

ヨコハマEIZONE STATIONヨコハマEIZONEブログ

「PainStation2」とグラフィックアーティストの遠山敦さん(右)、「ララスー・プーポ・ラボ」(左) 注目は、ヨコハマ経済新聞の今年上半期のPV(ページビュー)ランキング1位にも輝いた、世界一危険なゲーム機「PainStation」が「PainStation2」として再び上陸することだ。「PainStation2」は、ミスをすると「痛いおしおき」を受け、痛みに耐え切れなかった方が負けるという対戦型のゲーム機で、欧州ではプレイヤーが意地の張り合いで痛みを我慢し、ケガ人が続出しているという。今回はZAIM別館3階の1室を、壁面360度にペインティングを施した「YOKOHAMA WONDER ROOM」に改装、クリエイティブな空間のなかで「PainStation2」が体験できる。壁面にペイントを施したのは、グラフィックアーティストの遠山敦さんと、中新さん・伊藤ヒロコさんによるビジュアルレコーダー「ララスー・プーポ・ラボ」の2組。ペイントのテーマは「動物の壁画」と「80年代のSF」で、2組の作家は互いに影響を与え合いながら絵を完成させたという。7月23日には19時30分よりZAIM別館で、この2組によるライブペインティングと、veno tagashi、tenniscoats、プカプカブライアンズの植野隆司さんによるミュージックパフォーマンスを行うイベント「YOKOHAMA WONDER ROOM LIVE PAINTING」も開催される。

負けるとお仕置き「ゲーム機 Pain Station 2」最終公開 ハマ経上半期PV1位は「ケガ人続出のゲーム機が上陸」

■映像文化都市づくりの「トリガー」となるイベント

ZAIM別館1階のサテライトスタジオからストリーミング生放送も行う ここ数年で、映像やデジタルアート関連イベントの横浜での開催が定着してきている。この1年間で開催されたイベントを挙げると、参加型ITイベント「デジコンフェスタ横浜」、国際映像芸術祭へと発展した「横濱学生映画祭」、コンテンツクリエイターやメーカーが出展するフェスティバル「HAMA-CRE! EX」、メディアアーティストの作品をプロダクトとして提示する展覧会「Electrical Fantasista」、アジアのCGアートとデジタルコンテンツの祭典「ASIAGRAPH YOKOHAMA」など。また、市は映像文化都市構想に沿って助成制度をつくり、映像関連の教育機関やコンテンツ系企業の誘致を進めている。

横浜市開港150周年・創造都市事業本部創造都市推進課の荒さんと森さん そうした一定の成果があり、デジタルアート業界の関係者に注目されている横浜だが、一般の人から横浜が映像文化都市を目指しているという認識が得られるまでには至っていないのが現状だ。この「ヨコハマEIZONE」を開催する最大の目的は、そうした映像文化都市・横浜の市内外へのPRだ。横浜市開港150周年・創造都市事業本部創造都市推進課担当課長の荒さんは、イベント開催の狙いをこう語る。「今回のイベントには、それぞれ独立して活動している横浜のプレイヤーの方々が一度に参加する場をつくるという意味があると思います。期間中の集客目標は10,000人。まずは多くの方々に横浜で活動している人の作品のクオリティーを見てもらい、映像文化都市づくりの『トリガー』(引き金)となるイベントにしていきたい」。

 横浜市は、「ヨコハマEIZONE」を来年度以降も継続的して開催していく意向だ。同課の森さんは、「大々的なイベントを開催して横浜が映像文化都市であることを打ち出すことで、アーティストやクリエイター、企業や教育機関などの側から市に対してアプローチしてきてくれるという流れも生まれます。次回からはB2Bのマッチングの場も作り、イベントをより発展させていくつもりです」と展望を語った。

■目指すのは、「デジタルアートのお祭り」

「ヨコハマEIZONE」の会場となるエリア 今回のイベントの目玉である「デジスタ展」は、NHK-BS2で放送中のデジタルクリエイター発掘番組「デジタル・スタジアム」(通称:デジスタ)で、これまで年間最優秀作品「デジスタ・アウォード」に輝いた作品を一堂に集めて展示するというもの。横浜市と「デジスタ」、その最初の接点は、「デジスタ・アウォード」の収録を、横浜の旧第一銀行横浜支店・旧富士銀行横浜支店で行った2003年。一般来場者からの最多得票作品に「横浜賞」を贈るという試みも行われた。そして2004年度に横浜市が設置した「映像文化都市懇話会」の委員に、NHK解説委員で「デジスタ」のナビゲーターを務めている中谷日出さんが参加している。2005年に懇話会から市に提出された提言では、「映像文化都市としてのイメージを演出し、まずは横浜に目を向けてもらうという点でイベントは有効である」とイベント開催の重要性が指摘された。

映像文化都市懇話会

 「デジスタ」で扱う作品のジャンルは、デジタル技術や映像的手法を使った多様なもの。その作品展は、「映像」を単なる動画コンテンツだけでなく、デジタル技術を使ったコンテンツと幅広く捉え、創造的産業の集積を図っている横浜市の狙いと一致するものがあった。NHKエンタープライズデジタル制作プロデューサーの福田さんは、開催の経緯をこう語る。「横浜市とは2003年の暮れから2年越しのミーティングを重ねてきました。イベントのイメージは、『デジタルアートのお祭り』のようなものです。映像という言葉を広く捉えたいという市の希望に沿って、映像作品のみならずインスタレーション作品や最先端技術を使ったアート作品の展示やライブ、など多様な企画を実施することになりました」。

デジタル・スタジアム ZAIMで「デジスタ展」-歴代受賞作品の一挙展示は初

■デジタルアートの最先端を見せる中谷日出さん

NHK解説委員で「デジスタ」のナビゲーターも務めている中谷日出さん 「ヨコハマEIZONE」の鍵を握る人物、中谷日出さんに話を聞いた。中谷さんがナビゲーターを務めている「デジスタ」は、第一線で活躍するキュレーターたちが、応募してきたクリエイターそれぞれの方向性に合わせて『応援する』というスタイル。賞金があるわけではないが、クリエイターと第一線で活躍するキュレーターが一緒になって試行錯誤しながら7年間続けてきたことで、番組への信頼感は厚い。「応募総数は年間500作品以上。そのなかから毎週4作品を選び番組で紹介するのは非常に骨が折れる作業ですが、やりがいがあります。始めた7年前はPCを持っていない人も多かったのですが、デジタル技術が進んだ今では才能があれば個人でプロ並みの作品を作れてしまう時代。応募者も、ここ数年で小・中・高校生という低年齢化とともに、リタイアした団塊の世代など中高年が増えてきており、裾野の広がりを感じます」。

 今回のイベントでは、中谷さん自身もクリエイターとして作品を出展するという。それがサンプラザ中野さんとのアートユニット「Na」だ。展示するのは、凸版印刷が開発した、どの角度からも画像が飛び出して見える3Dレンチキュラーを使った、「動く静止画」とも言える作品や、顕微鏡で見るミクロのアート作品など。最先端のテクノロジーを駆使した「Naのアート」について、中谷さんはこう語る。「未来を見据えた最先端の作品を作りたいと思い、いろいろな研究機関を回りました。この技術を活かしてどのようなアート作品が作れるか、と中野さんと一緒になって考えています。見ていただいた方に、自由に発想して作品を作っている感じが伝われば、と思います」。また、28日にはデジタル技術の進歩がもたらした映像界の大変革について語るシンポジウムのコーディネーターも務める。「目まぐるしく変貌していくメディア社会のなかで映像をどのように位置づけるのか、まずはその現状と課題を共有する必要があるでしょう。さらに、ユビキタス、ウェアラブルの先には何があるのか――パネリストの方々には、それぞれが考える未来のメディアと映像の姿についても語っていただくつもりです」。

 そんな中谷さんは、映像文化都市を目指す横浜の取り組みについてこう語る。「横浜の良いところは、ロケーションと周囲からのイメージ、そして都市としての規模の大きさです。クリエイティブシティを目指す他の都市よりも条件面では優位にあると言えるでしょう。個人的な意見を言うと、ヨーロッパの先進都市の事例を参考に、映像を中心とする幅広い創造的産業の集積を目指すべきです。事例を挙げれば、フランス西部の都市『アングレーム』では、漫画やアニメを基準に、映像、CG、音楽といった分野の産業へも幅を広げています。そして、市長や担当職員が数年で変わる自治体において何より大事なのは継続性です。横浜ならではの取り組みを続けていけば、ムーブメントを生み出していくことができるでしょう」。

デジタルクリエイターの見本市「クリエイティブフェスタ横浜」も開催 「ヨコハマEIZONE」をきっかけに、横浜のプレイヤーたちが映像文化都市づくりに一丸となって取り組みを始めた。最先端の映像作品・デジタルアート作品が一度にこれだけ楽しめるイベントは珍しい。ぜひとも6つの会場に足を運んで、作品の魅力とともに、横浜のデジタルコンテンツ・シーンの今を体感してほしい。

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