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特集

コラボレーションが生み出す付加価値
「メイド・イン・ヨコハマ」新時代

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■新しいモノを生み出してきた横浜

メイド・イン・ヨコハマと言える商品には何があるのだろうか? 横浜は開港以来、諸外国の文化を吸収しながら、多くの新しいモノを生み出してきた。しかし、過去の遺産だけで、ヨコハマ・ブランドの価値を維持し、高めていくことには限界がある。とくに伝統工芸の世界では、技術をもつ職人が減少するなどの課題もある。こうした中、伝統を守りつつ新しい挑戦を行うことで、ブランド価値を高めようとする動きがある。

諸外国の文化を吸収してきた港町横浜

■職人が切り拓く新時代の横浜家具

横浜家具はヨーロッパの格式高いクラシカルなデザインを、「ほぞ接ぎ」という日本古来の木加工技術を用いて手作業で具現化しているのが特徴。最盛期には元町だけで19軒もの家具商が軒を連ねていたが、時代の変化とともに減少していった。家具職人も数えるほどとなり、このままでは、開港以来受け継がれててきた技術を伝承できなくなるといった状況にある。こうした中、20数年にわたり修行を積んだ、鈴木哲郎さん、内田勝人さん、黒柳大さんの3人の家具職人が独立して横浜家具工房「蓮華草」を立ち上げ、この11月に、新山下の倉庫を拠点に構え事業を開始した。職人自らが、デザイン・製造・販売までのプロセス全てを行うことで、新しい横浜家具を創出し、技術の伝承、職人のポジションを向上させることを目的としている。

蓮華草での新しいモノづくりのビジョンについて、鈴木さんは、「単体の家具のみを取り扱うのではなく、食卓やリビングといった生活空間をトータルプロデュースして提案したい」、内田さんは、「伝統的な技術は踏襲しつつも、ガラスや鉄材加工を行う職人との協業を図ることにより、これまでにない新しい横浜家具のイメージを打ち出したい」と語る。ピアノと音楽をモチーフとし、流れるような曲線的なデザインのミラー付のキャビネットや、アフリカのマスクを表現したテーブルなど、新しいデザインの作品を生み出している。

蓮華草での事業を推進するのと並行して、鈴木さんは、今の時代に合った新しい「横浜家具」の魅力をより多くの人に知ってもらうため「今を生きる洋家具職人の会」を結成した。12月23、24日に、山手236番館で、「元町の家具職人展」を開催し、目の前で洋家具づくりを披露する。「多くの人々に、私たちの技を見ていただき、横浜家具の今を知ってもらいたい」と鈴木さんは語る。伝統の技術を基盤としつつも、職人自らが新しいデザインやコンセプトを打ち出し、新たな横浜家具像を創出していく蓮華草の活動は、横浜の伝統的な工芸品の再生・新生を示唆する活動として注目したい。

"技"と"新感覚"を備えた職人が導く!伝統工芸「横浜家具」新時代の夜明け
横浜家具工房「蓮華草」@新山下(改装中) 鈴木哲朗さん 内田勝人さん ピアノと音楽をモチーフにしたミラーつきキャビネット アフリカのマスクのデザインが大胆なテーブル

■異分野との連携が生み出すメイド・イン・ヨコハマ

工芸品だけでなく、工業製品においても、メイド・イン・ヨコハマを打ち出していこうという動きがにわかに起こっている。今年8月、横浜市内の4社が、それぞれの得意な分野を活かしながら、新製品開発を行うプロジェクト組織「hamawaza」(ハマワザ)を発足させた。設立メンバーは日産車の一部を生産している「高田工業」(中区)、商業者の立場から町づくりをサポートする「横濱まちづくり倶楽部」(中区)、主婦向け情報誌「ビタミンママ」を発行し、商品開発やマーケティングに取り組む「VM」(青葉区)、工業デザインを手がける「TRUNK」(神奈川区)の4団体で、グループの代表には横浜市立大学商学部の齋藤毅憲教授が就任している。

高田工業株式会社 横濱まちづくり倶楽部 有限会社VM 株式会社TRUNK

hamawazaの第1弾プロジェクトは横浜限定車「ycar」(ワイカー)の開発。ycarとは、環境意識が高まる中で、中古車をベースに横浜らしい「リデザイン・リユース」を施すというもの。コンセプトは、横浜の港・海・空を表すキーワードである「開放感」。高田工業が製造、横濱まちづくり倶楽部が商業者の立場からの企画提案、VMが消費者の立場からマーケティング・販売促進、TRUNKがデザインと同プロジェクト推進のコーディネートと、それぞれが得意分野での役割を担う。2005年秋の横浜トリエンナーレで製品の発表、2006年1月からの販売開始を目標に、現在、デザインの検討を行っているところだ。一般への販売のみならず、観光者にも利用しやすいようレンタカー会社への販売も検討している。

齋藤教授は、「車は内燃機関や機械加工、電子制御など様々な技術の集合体であり、モノづくりの象徴的な製品。横浜の企業の潜在能力を証明する格好の素材です。だからこそ、まずはycarを成功させなければならない。そして、それだけに終わらずycarの関連グッズなど、第2、第3のプロジェクトを創出していきたい。そのためには、現在のメンバーに拘らず、hamawazaに各方面の企業や人々が参加できるような環境を整備することが、自分のミッションです」と語る。一般に、企業間の連携は、不足する経営資源を相互補完できるというメリットがあるが、利害関係の調整や意思決定に時間がかかるという問題もある。こうした課題を解決し、2006年1月に横浜の街をさっそうと走るycarを期待したい。

齋藤毅憲教授 hamawaza
プロジェクト組織「hamawaza」 hamawaza代表の齋藤毅憲教授 齋藤毅憲教授監修『横浜の元気な会社101社―エクセレントな先進企業のノウハウ』

■横浜市による市内製造業に対する支援

hamawazaは、横浜市経済局中長期ビジョンにおける「メイド・イン・ヨコハマプロジェクト」の事業化の第一弾として認定された。企業間連携の活動費として年間最大で500万円(期間は2年間)を補助する。経済局工業課の国井重雄課長は、「行政サイドとしては、経済的な補助に加え、共同記者会見やフォーラムの開催など広報面での支援を重点的に行い、プロジェクトを支えていきたい」と語る。

横浜市経済局

中国を中心としたアジア諸国の製造業の台頭による市内製造業の空洞化が進んでいる。こうした中、同課が行った市内製造業5300事業所(有効回答数4200社)を対象にしたアンケートでは、43.6%の企業が企業間連携を実施もしくは関心を示しているという結果が出た。「企業間連携のニーズをふまえ、その活動を支援する仕組みとしてメイド・イン・ヨコハマプロジェクトを今年度から創設しました。今後5年間で100程度のグループを誕生させ、製造業の活性化を図りたい」と国井課長は抱負を語る。

アンケート調査

伝統工芸にしろ工業製品にしろ、新しいモノをつくりたいという意欲こそがメイド・イン・ヨコハマの商品を生み出す原動力になる。蓮華草もhamawazaもまだ、初めの一歩を踏み出したたばかりだ。異質な文化を受け入れ、組み合わせて成長してきた横浜を舞台に、様々な分野の専門家の知恵と情熱を結集して、新しい価値を提示する横浜発の商品が世の中に送り出されていくことを期待したい。

横浜市経済局工業課国井課長
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