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老舗書店「イセザキ書房」が横浜の人と書店の記憶を引き継ぐフリーペーパー発行

イセザキ書房社長の佐藤智子さん

イセザキ書房社長の佐藤智子さん

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 末吉町の老舗の書店イセザキ書房(横浜市中区末吉町1)はフリーペーパー「イセザキ書房通信」を発行している。

フリーペーパー「イセザキ書房通信」

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 本文6ページのフリーペーパーには、店内のおすすめ本などの紹介の他、連載記事「イセザキ書房物語」を掲載。発行は月1回。企画・発行者はイセザキ書房社長の佐藤智子さん。

 連載記事は、書店を開業した佐藤夫婦が横須賀に店を持った1952年から始まる。佐藤夫婦は、1956年に横浜で「イセザキ書房」を開業。土地に慣れるまでに時間がかかり、経営も苦しい時期が続いた。ある日、外国を周航する船員のために、まとめ買いをする顧客に気づき、横浜港に入港する外航船へ向けて、直接書籍や雑誌の宅配を始める。これ以降、同社は現在に至るまで船会社への宅配を続けている。最盛期は1980年代初頭で、中に本棚を取り付けた9台の特製移動販売車が、千葉、東京、川崎、横浜、横須賀を行き来した。当時は納品金額が1度に100万円を超えることも珍しくなかったという。

 同社の社史はホームページやブログでも読むことができるが、フリーペーパーの連載記事では、当時の横浜の町の様子や、同僚らの細かな表情も書き込まれ、読み応えのあるものになっている。

 佐藤さんは「人生も終わりに近づいているので、自分のことをまとめておきたいと思ったのが、この冊子を作ったきっかけ。今は港につく船も少なくなったが、こんな本屋もあったんだということが伝わればと思って書いている。また、本を読むことのすばらしさもお店を通して変わらず伝え続けていきたい」と語った。

 フリーペーパーは0番から始まり、現在8番まで発行。同連載の終了後は、佐藤さんの個人史をつづる予定だという。

 同店の営業時間は、月曜~土曜は9時~21時。日曜、祝日は11時~20時。

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