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nitehi worksで橋本貴雄写真展「Abjet」-無意識の世界を表現

橋本貴雄写真展「Abjet」より© 橋本貴雄

橋本貴雄写真展「Abjet」より© 橋本貴雄

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 若葉町の古ビルを既存再生したオープンスペース兼カフェ「nitehi works」(横浜市中区若葉町3)の3階オープンスタジオで、7月2日より橋本貴雄写真展「Abjet」が開催されている。

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 Abjet(アブジェ)とは、「未だ対象(オブジェ)にならないもの」という意味。会期中は、写真家の橋本貴雄さんが周囲の光景を35ミリのフィルムカメラで撮影し、その後の意図と偶然を混ぜ合わせた作業によって、表層には現れていなかった空間や時間の流れを炙(あぶ)りだした作品約30点を展示する。

 作品はすべて床上のガラスの中に収められており、広島原爆ドームの中から夜の海の月あかりをとらえた合成作品「ブラインド」をはじめ、路上のスナップ、ダンサーなど。

 橋本さんは、無意識の中にいろいろなイメージが蓄積されていると語り、「僕の写真のなかでイメージはいつも不安定。初開催となる今回の展示は、無意識を写真にすることで浮かび上がらせ、その上を歩いてもらう感覚です」と打ち明ける。

 また、「会場となる『似て非Works』は、築45年の銀行仕様の古いビルを、現代美術家の稲吉稔さんが場所の記憶を封じ込め、あるいは解体しながら新たに生み出した空間。この建物3階の黒い床のイメージと、写真にしていなかったら消えてしまっていたかもしれない夢のような無意識の集積のイメージが重なった。今回の展示は、無意識の底に沈んでいくはずだったさまざまな記憶の集合のようでもあります。nitehi works入口から展示会場の3階まで、記憶を封じ込めた空間を感じていただけたら」と話す。

 10日は19時より、無音・即興ダンスを試みる若尾伊佐子さんが、コンテンポラリーダンスを展示空間で披露する。会場では橋本さん自らが造本した作品集の販売も。

 会場はnitehi works3階オープンスタジオ。開催時間は12時~20時。入場無料。7月10日まで。

 橋本さんは、熊本県出身で1980年生まれ。中学3年頃から建築現場などで働き始め、定時制の高校を卒業後、近所の畳屋で働く。その後、アメリカの写真家W・ユージン・スミスが水俣病の受難の歴史を記録した作品「水俣」を見て、ドキュメンタリーの写真家を目指す。今年8月にドイツのベルリンに渡航する予定。

 nitehi worksは、アートユニット「似て非Works」がリノベーションしたオープンスペース兼カフェ。アーティストやクリエーターによる人とまちをつなげるアートワークプロジェクトを展開し、6月に1周年を迎えた。1階のカフェと2階スペース、3階オープンスタジオを利用した自主企画のイベントや展覧会、公演、パーティーなどのレンタルも行っている。

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