実業家で茶人の原三溪によって作られた日本庭園「三溪園」(横浜市中区本牧三之谷58-1、TEL 045-621-0634)は8月1日~16日まで、園内の歴史的建造物全17棟の内部を公開する。
室町期から昭和期までの、住宅、別荘、寺院、城郭ゆかりの建築物を所有する同園が、2007年1月に国指定重要文化財10棟の公開を行った際、観覧者から多くの反響があったことや、横浜開港150周年を記念して、全棟公開の運びとなった。園内の建物をすべて公開するのは同園初の試み。
公開するのは、国指定重要文化財となっている旧燈明寺三重塔、旧東慶寺仏殿、旧燈明寺本堂、旧矢箆原家住宅、臨春閣、旧天瑞寺寿塔覆堂、月華殿、天授院、聴秋閣、春草廬の10棟と、鶴翔閣、御門、白雲邸の横浜市指定有形文化財3棟のほか、林洞庵、横笛庵、金毛窟、蓮華院。
また公開に合わせ、最近発見された、原三溪が作詞した小唄「濱自慢」の曲を鶴翔閣の中で紹介する。関東大震災直後に制作されたもので、壊滅状態にあった横浜の市民を活気づけようと、当時の花柳界を通じて広く唄わせたものという。鶴翔閣は、1905年に建てられた三溪の旧宅。
三溪園保勝会事業課・広報担当の吉川利一さんは「暑い時期の建築公開ですが、水分を補給しながら、半日くらいゆっくりと時間をかけて、室町から昭和にかけてのレパートリー豊かな建築をお楽しみ下さい。歩き易く、着脱のしやすい靴をお勧めします。建物の室内から庭も眺めてみると風雅なアングルが楽しめますよ」と話す。
関連企画として、週末には記念講演会や、旧矢箆原家住宅で紙クラフトのワークショップ、白雲邸の談話室では原三溪ゆかりの和家具の展示、スタンプラリー、建物に由来する香りを使った演出などが予定されている。
開園時間は9時~17時(入園は16時30分まで)。古建築の公開は16時30分まで。入園料は大人=500円、65歳以上=300円、小学生=200円。なお、同園は、同時期「三溪園で夕涼み」として、開園時間を19時30分まで延長する。