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野毛の現存最古のジャズ喫茶「ちぐさ」建て替えへ 旧ちぐさ再現プロジェクトも

外観イメージ

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 現存する日本最古のジャズ喫茶として知られる「ジャズ喫茶ちぐさ」(横浜市中区野毛町2)は、開業90年を迎える2023年に博物館とライブハウスの機能を備えた「ジャズミュージアム・ちぐさ」として建て替える計画を2月9日に発表した。

現ちぐさの2階に再現されていた旧ちぐさ

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 ジャズ喫茶「ちぐさ」は1933(昭和8)年に、当時20歳の吉田衛さんが野毛町1丁目23番地で創業。横浜大空襲では店舗と約6,000枚のレコード(SP)を焼失したが、1946(昭和22)年に復員した吉田さんが千数百枚のレコードを集め、翌年再開した。

 1994(平成6)年に吉田さん没後、妹の吉田孝子さんと有志の常連客数名によって営業が続けられたが、2007(平成19)年に、一度幕を閉じた。2012(平成24)年からは現在の場所で、有志で営業を始め、「ジャズ喫茶ちぐさ・吉田衛記念館」を一般社団法人登記した。

 新しいミュージアムは、鉄筋コンクリート構造の地上2階建てで、下層階には、1946~2007年の旧ジャズ喫茶ちぐさを再現。野毛街づくり会が保存していたオーディオ装置一式やV-ディスク、レコードジャケット掲示板、テーブルやイス、看板など、当時のものを使用し、音や雰囲気を再現する。

 バーチャル・ミュージアムも加えたハイブリッド・ミュージアムとし、YouTubeの「CHIGUSA Channel」でも公開しているV-ディスクなどを、バーチャル空間でも体験できるように衣替え。創業店主・吉田衛さんのマッチコレクションなども現物とともにハイブリッドな展示を予定する。

 建設にあたり「Jazz Museum CHIGUSA ファンド」を発足。約1億円の総工費に対し、自己資金、銀行融資に加え「横浜野毛地区まちづくりトラスト」にも補助金の申請を予定するが、約1,000万円の寄付を募る。募金は一口1万円から、あわせてジャズの歴史的資料となるようなレコード、著作物、写真、オーディオ機器、楽器などを寄贈も受け付ける。

 Jazz Museum CHIGUSA設立委員会の福島俊彦さんは「ちぐさが一度幕を閉じた時、『野毛の財産、横浜の宝物』として『野毛街づくり会』がちぐさの遺産を残してくれ、今に繋がっている。『街に恩返し』になるようなミュージアムにしたい」と話す。

 新館長には前カップヌードルミュージアム横浜館長の筒井之隆さんが就任予定。敷地面積は46.19平方メートル、延床面積は77.92平方メートル。施主は「ジャズ喫茶ちぐさ・吉田衛記念館」、設計は「山本理顕設計工場」、音響設計は「永田音響設計」、完成予定は2023年3月11日。

 寄付申し込み開始は3月11日から。現店舗での最終営業日は、4月10日。

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