
横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)で「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」展が始まった。
同美術館は2021年3月からの大規模改修工事を経て、2024年3月に3年ぶりにリニューアルオープン、2025年2月に全館オープンしており、同店は「おかえり、ヨコハマ」展に続く「リニューアルオープン記念展」第2弾の位置付け。
佐藤雅彦さんは1954(昭和29年)年静岡県生まれ、1977(昭和52)年に東京大学教育学部を卒業し電通に入社、1987(昭和62)年に電通クリエイティブ局に移籍、CMプランナーとして湖池屋「スコーン」、「ポリンキー」、NEC「バザールでござーる」、サントリー
「モルツ」などを手がけた。1994(平成6)年に電通を退社後、企画事務所「TOPICS」を設立、プレイステーションソフト「I.Q」や「だんご3兄弟」などジャンルを横断したコンテンツをヒットさせた。
1999(平成11)年から 慶應義塾大学環境情報学部教授、2002(平成14)年に同大学佐藤雅彦研究室での研究と実践をベースにした幼児教育番組「ピタゴラスイッチ」が放映開始した。2005(平成17)年、佐藤雅彦研究室OBによるクリエイティヴグループ「ユーフラテス」設立、2006(平成18)年に横浜・馬車道に校舎がある東京藝術大学大学院映像研究科教授に着任、2021年から名誉教授。
展覧会は、佐藤さんの創作活動の軌跡をたどる初の大規模個展で、表現者・教育者として世に送り出してきたコンテンツを一堂に紹介し、40年にわたる創作活動をまとめた。特別展示として「ピタゴラスイッチ」で知られる「ピタゴラ装置」の実物展示もある。
「作り方を作る」ではグラフィックデザインからはじまり、広告代理店・電通在籍中に斬新なCM群を次々と生み出した1980~90年代の活動を紹介。「表現とメディアの拡張」では、「トーン」という考え方のもとで、さまざまなメディアを駆使して新しい表現に取り組んだ1990年代後の活動を紹介。「佐藤雅彦研究室とともに」では大学で学生たちとさまざまなテーマで研究を重ね、その成果を教育番組などを通じて世に出してきた2000年代以降の活動を紹介している。
何かを作り出す時には、いきなり「作り出す」のではなく、「作り方から作る」ということを心がけてきたという佐藤さんは「会場で、楽しいもの、かわいいもの、面白いものを見つけ楽しんでいただけたら幸いだが、それらの後ろに存在している『作り方を作る』ことを理解していただけたら、さらにうれしい」と話す。
展示と併せて、カフェ「馬車道十番館 横浜美術館 喫茶室」とミュージアムショップでも、関連メニューやグッズを販売。カフェには佐藤さんの発案によるプリン「ピタゴラスの定理による馬車道十番館プディング3兄弟」(ピタゴラプリン3兄弟)(1,155円)や、アップルパイ「アップルπ/6(ろくぶんのぱい)」「アップルπ/4(よんぶんのぱい)」など、見た目や名前も楽しむことのできるメニューを期間限定で用意する。
開館時間は10時~18時、木曜定休。観覧料は一般=2,000円、大学生=1,600円、中学・高校生=1,000円、小学生以下
=無料。11月3日まで。