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有隣堂が「横浜外国人墓地に眠る人々」出版-外国人社会を描く

「横浜外国人墓地に眠る人々」表紙

「横浜外国人墓地に眠る人々」表紙

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 県下を中心に展開する書店チェーン「有隣堂」は、7月4日に新刊「横浜外国人墓地に眠る人々 -開港から関東大震災まで」を出版した。

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 横浜外国人墓地(横浜市中区山手町96)は、駐在外国人のための墓地で、横浜を代表する観光スポットの1つとして知られる。1854年、病死したアメリカ人水兵を埋葬したことがきっかけで現在の地に墓が建てられるようになったとされ、現在は40数カ国、約4,870人の外国人が埋葬されている。

 著者は、横浜開港資料館や横浜都市発展記念館で調査研究員を務めた斎藤多喜夫さん。斎藤さんは、これまでも「幕末明治横浜写真館物語」(吉川弘文館刊)、「横浜もののはじめ考」(共著・横浜開港資料館刊)、「横浜居留地と異文化交流」(共著・山川出版社刊)など、横浜の歴史にスポットを当てた本を執筆している。

 斎藤さんは同書で、開港期から関東大震災頃までに葬られた人々の中から、幕末の外国人殺傷事件の犠牲者、ジャーナリスト、事業家、宗教者など約100人を取り上げ、彼らの日本に至るまでの軌跡や、来日後の事業展開のあり方などを詳細に追うことで、当時の外国人社会の様子を描き出している。

 斎藤さんは、横浜に生まれた外国人社会を「異質な社会と共存することが下手な日本の歴史においては希有な存在」としてとらえ、横浜という都市の国際性についても言及している。

 本文の人物の項には、それぞれの墓碑番号や墓碑の写真が掲載されており、実際の墓地を訪問する際の資料としても活用することができる。本は四六判、352ページで、2,940円。

 有隣堂出版部部長の佐々木淳さんは、「横浜外国人墓地は今年150年になる生麦事件の犠牲者も埋葬されている歴史のある墓地です。ぜひその足跡をたどりながら、当時の外国人社会へ理解を深めていただければ」と話している。

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