5月初旬、崎陽軒からヨコハマ経済新聞編集部にメールが届いた。大阪・関西万博会場で崎陽軒が記者会見をする知らせだった。
2027年国際園芸博覧会の開催を控える横浜市民として、大阪・関西万博は、気になっていた。ヨコハマ経済新聞編集部が他地域に越境するのは珍しいのだが、ほかならぬ「横浜のソウルフード・崎陽軒のニュース」と、はるばる大阪へ! 万博会場内の記者発表に訪れてきた。
向かって左が崎陽軒野並社長
崎陽軒(横浜市西区高島2)は、「幕の内駅弁」の元祖とされる「まねき食品」(兵庫県姫路市)と、「峠の釜めし」で知られる「荻野屋」(群馬県安中市)と共同で、大阪・関西万博の「ORA外食パビリオン」に6月9日~15日に出展する。
万博に「未来型レストラン」と位置づけ「MANEKI FUTURE STUDIO JAPAN」の出展をしている「まねき食品」の呼びかけで3社のコラボレーションが実現。明治時代に創業した老舗駅弁3社で「駅弁文化の未来と歴史を世界に発信する新たな取り組み」と位置付ける。
まねき食品は「元祖幕の内駅弁」を復刻するとともに、崎陽軒と荻野屋はまねき食品とのコラボ駅弁「関西シウマイ弁当」や「関西峠の釜めし」などを発売する。
5月9日、3社は大阪・関西万博の会場で共同会見を実施した。
1908年(明治41年)創業で1928(昭和3)年にシウマイを発売開始、1954(昭和29)年発売開始シウマイ弁当は日本一の販売数と言われる崎陽軒の4代目・野並晃社長と、1885年(明治18年)創業で現存する最古の駅弁業者・荻野屋の6代目・高見澤志和社長と、1888年(明治21年)創業で日本初の「幕の内駅弁」販売をしたまねき食品の竹田典高社長が並んだ。
「日本鉄道構内中央会」に加盟する駅弁業者がピーク時には400社ほどあった現在は80社ほどになっている中、若手にあたる40代の社長が手をとって、業界を盛り上げ「EKIBEN文化を世界共通語にしたい」という思いや、各社の歴史、万博でのコラボメニューの内容などについて発表をした。
「まねき食品×崎陽軒」のコラボ「関西シウマイ弁当」は、2021年11月26日に販売開始。関西エリア限定で販売してきた。まねき食品の竹田社長は当時を振り返り「コロナの時、本当に駅に人がいなくなって・・・崎陽軒の現会長の野並直文さんに、何回も(コラボレーションを)お願いした」と明かす。「1年半かけて開発をし、非常にいいお弁当ができた」とも。
「関西シウマイ弁当」に入っているシウマイは見た目・サイズは「昔ながらのシウマイ」と同じで、「味付け」に関西らしさを加えたもの。関西の出汁文化には欠かせない昆布だしと鰹節で旨みを引き出したもっちりとした豚肉に、刻みレンコンを混ぜこんで風味豊かに蒸し上げている。
「関西シウマイ」とともに、あご出汁唐揚げや、「えきそば」のだしで味付けた「拍子木切り筍煮」、関西のだし文化を代表する「出汁巻玉子」など、関西ならではのおかずを盛り付け。
パッケージも「シウマイ弁当」の雰囲気を残しつつ、シウマイ弁当には、龍と水晶玉が描かれるのに対し、関西シウマイ弁当は、力強く描かれた虎を配置し、関西らしさをのぞかせている。
崎陽軒は、大阪・関西万博への3社共同出展を機に、「関西シウマイ」を真空パックにした「真空パック関西シウマイ」(15個入・税込700円)を新たに開発した。
崎陽軒の野並社長は「関西シウマイ弁当では初めて地域色を出したシウマイにチャレンジ。翌年からはシウマイ単独でも販売している。万博という多くの人が注目している機会において、駅弁の文化を伝えていくととともに、崎陽軒として新たなチャレンジをしたいと、『真空パック関西シウマイ』を万博会場での発売を機に、新発売する」と発表。
会見で発表する野並社長
万博で初お目見えする「真空パック関西シウマイ」のパッケージ
万博会場では、「関西シウマイ弁当」「真空パック関西シウマイ」とともに、駅弁文化そのものを体験いただけるよう、そのまま食べられる「昔ながらのシウマイ 15個入」、「関西シウマイ 15個入」なども販売する。
真空パックの賞味期限は製造から5ヵ月間なので関東では入手できない「関西シウマイ」を横浜へのお土産に持ち帰ることも可能になる。
各社の駅弁の前で まねき食品竹田社長
崎陽軒×まねき食品の「関西シウマイ」、荻野屋×まねき食品の「関西峠の釜めし」、まねき食品の「元祖幕の内駅弁」の復刻は、大阪・関西万博の「ORA外食パビリオン」のほか、まねき食品の「MANEKI FUTURE STUDIO JAPAN」で6月9日~15日販売。
ORA外食パビリオン
一部商品は6月16日以降も「MANEKI FUTURE STUDIO JAPAN」での継続販売を予定しているとのこと。横浜では見られない関西シウマイ弁当に、万博会場で出合えるかもしれない。
「MANEKI FUTURE STUDIO JAPAN」はスシローの隣
編集後記
明治創業の駅弁老舗3社の発表、いかがだったでしょうか。歴史を伝え、未来を見つめ、世界に届ける。そんな意思を感じる中、「真空パック関西シウマイ」で「関西シウマイ」を横浜に持ち帰れるようになったのは、はまっ子に朗報だと思いました。「関西シウマイ弁当」は賞味期限が当日なのに対し、日持ちがするので、万博土産にも、よさそうです。
万博会場に並ぶ予定の崎陽軒商品
あくまで個人の感想ですが、定番の「真空パックシウマイ」と「シウマイ」の差と比べ、「真空パック関西シウマイ」と「関西シウマイ」の差は小さく感じました。広報の方が「同感です。肉の割合のせいかも」と仰っておられました。
会見を動画でご覧になりたい方はこちらからどうぞ
次回予告
せっかく万博会場まで行きましたので、次回、後編として「崎陽軒のみなさんといく大阪・関西万博」をお届けしたいと思います。どうぞご期待ください。
真空パックでない「関西シウマイ」(右)に付属の7種類の関西版ひょうちゃんも現地で楽しみたい