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「葉っぱ切り絵」リトさん 新刊「素敵な空が見えるよ、明日もきっと 小さな優しい森の仲間たち」

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 横浜在住の「葉っぱ切り絵」アーティストのリトさんの新作「葉っぱ切り絵絵本 素敵な空が見えるよ、明日もきっと 小さな優しい森の仲間たち」が8月、発売された。


「葉っぱの日」にちなんで8月8日発売

 リトさんは、1986(昭和61)年生まれ、横浜在住。自身のADHDを個性として生かすため、2020年から独学で葉っぱ切り絵の制作をスタート。動物や建物などを切り絵で描き、一枚の葉をひとつの物語のような作品にし、ほぼ毎日SNSで発表している。

 新刊は、2021年5月発売の作品集「葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界」、同年12月刊のポストカードブック「葉っぱ切り絵メッセージカードBOOK 離れていても伝えたい」に続く第3弾で、「絵本」の形にしたのは初。


初作「葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界」


2冊目「葉っぱ切り絵メッセージカードBOOK 離れていても伝えたい」

 最新刊の絵本には「あたたかい気持ちになれる森」や「忘れたくない思い出の森」など、7つの森の物語として、78点の葉っぱ切り絵がおさめられている。


新刊「素敵な空が見えるよ、明日もきっと 小さな優しい森の仲間たち」 A5判、96ページ、税別1,600円

 同作について、リトさんに話をきいた。

リトさんインタビュー

---絵本のタイトルは「素敵な空が見えるよ、明日もきっと 小さな優しい森の仲間たち」

リトさん 新刊を出すにあたり、既刊とは違う形で出したくて。最初の作品集は、さまざまなモチーフにチャレンジしていた初期の作品が掲載されているのですが、最近はカエルやウサギ、クマ、リスなど頻繁に出てくる子たちが決まってきていたので、作品集ではなく、「森の仲間たちの物語」という「絵本」にしようと思いました。

でもぼくは絵本作家ではなく、切り絵作家。もし「切り絵」を「絵」にしたら、ただの「絵本」になってしまう。

絵本というと、ふつうは、一冊でひとつのストーリーだけれど、ひとつひとつの葉っぱ切り絵に物語があって、何十冊もの絵本がひとつの本の中に入っているような「葉っぱ切り絵絵本」にしました。

いろんな森があって、どこから読んでもいいように、そのときの気分によってみんなが、いろんなストーリーを楽しめるようになっています。


7つの森に、78の物語 挿絵もリトさんの自筆


「作品を見てみんなが思うこと」をアンケートで尋ね、それを森の名前に

---「キャラクター」の物語ではなく「見る人」の物語に

リトさん 葉っぱ切り絵の物語に登場する動物たちには名前はなくて。名前を決めると、その「キャラクター」の物語になってしまうけれど、「見る人」の思いが投影できる物語にしたくて。

今回、ひとつずつの作品のために書き下ろした物語では、登場キャラクターそれぞれに「カエルくん」みたいに、何となく僕の中で呼んでいる呼称を付けていますが、森の仲間たちの紹介ページでは「カエル」「ウサギ」と、性別も示していません。自分や友達、家族などを当てはめながら読んでもらえたら。


本に登場する仲間たち

---木も森の動物たちの仲間

リトさん ふだんから、絵本を意識して作品を作っているわけではなく、投稿してきたものの中から、 絵本に合うものをチョイスしています。唯一、絵本を意識して作った作品は、木が主人公のもの。


木が真ん中にいる作品 森のみんなが集まっているようなわくわく感がある

リトさん 森の動物たちの話とともに、木が登場するときは、いつも端っこで、たまに木に口があることもあるけれど、その時も端でみているだけだったので、木を仲間にいれてあげたかった。「木も森の動物たちの仲間だよ」という思い入れがあります。


「実は絵本の表紙にしようと思って作った」という 5月20日の作品

リトさんが、したいこと

 絵本についてひとしきり話した後、「今後したいこと」について尋ねた。

 意外にも「ぼくは今、危機を感じていて」とリトさんが切り出す。

 「葉っぱ切り絵を始めて2年半で、いろいろなテレビ番組に出演させていただいたり、作品集も3冊出せたり、そして、大きな場所で展示会ができてお客さんもたくさん来てくださるようになって。怒られっぱなしの会社員だった時には考えられないような急激なステップアップをできて、ありがたいことですが、さらに自分を成長させていくために、次にするべきチャレンジって何なんだろう、と真剣に考えているんです」


そごう横浜店やガーデンネックレス横浜など地元での大舞台も踏んだ

 「息子の成長を見るように見守ってくれるファンの方もいる。そういう人たちに、次はどんな自分が見せられるかと考えると、海外に出る…」

 いつも笑顔をたたえて話すリトさんが、物語ではなく、自分を見つめた言葉を紡いだ。「来年にはいかなきゃいけない、そのくらいの思いでいます」

 「国内はあちこちで展示会をさせていただいているのですが、そこに満足しないで次は海外で展示会を開催したいですね」

「横浜の空」は「素敵な空」

 インタビューの結びに、リトさんから、横浜の読者へのひとことをいただいた。 ぜひ動画でごらんください。

リトさんの次回橫浜展情報

「リト@葉っぱ切り絵展in横浜」が、9月10日~9月15日に、東急ハンズ横浜店 7Fイベントスペースで開催される。「葉っぱの小旅行inみなとみらい」「葉っぱの小旅行inチャイナタウン」を含むリトさんの葉っぱ切り絵作品20点を展示。横浜店先行販売となるカレンダーと、書籍、ポストカードなどグッズ販売も。

10日10時~16時にはリトさんが在廊し、書籍・カレンダー購入者にサインをする。11日にはリトさんの作品を下絵に、切り絵体験会を予定している。

紀あさ+ヨコハマ経済新聞

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