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【エリア特集】2004-04-15

「闇市」精神がルーツ?
横浜の一大イベント「野毛大道芸」事情

「闇市」精神がルーツ?
横浜の一大イベント「野毛大道芸」事情

4月17日と18日、「第28回野毛大道芸」が開催される。今年はペリーの横浜来航150周年を記念して「アメリカ」がテーマ。10ヵ国、106組365 人もの芸人が、野毛地区の道路を中心に、みなとみらい21やイセザキモール、赤レンガ倉庫、馬車道駅構内などで様々なジャンルの芸を披露する。横浜の一大イベントへと発展した野毛大道芸の発端から現在までの軌跡をレポート。

■野毛大道芸のはじまりと変遷

JR桜木町駅前にある野毛町は、戦後「闇市」として賑わい、桜木町駅が始発だった頃までは、飲食店を中心とした活気ある商店街だった。1964年、桜木町駅から磯子駅間(現・JR根岸線)が開通したことを皮切りに、市電の廃止、三菱造船所の移転など近郊の開発により年々客が減少。東急東横線桜木町駅の廃止計画も持ち上がり、街の地盤沈下が深刻化する。何とか街を活性化させるため、1983年、街の有志たちによる「野毛文化を育てる会」が発足。のちに「野毛地区街づくりを考える会」も設立される。1985年、二つの会が力を合わせ、露天画廊、大道芸を出し物に「春の野毛祭」を開催した。第2回が同年11月に行われたが、大道芸のほうが人気が高く、翌年1986年春に、大道芸をメインにした「第1回野毛大道芸ふぇすてぃばる」を開催、今年で第28回目を迎える。

野毛大道芸公式ホームページ

第1 回目の野毛大道芸では、20組26人の芸人に対し、3000人の観客が集まった。その後、芸人、観客数とも年々ふくれあがり、第3回目にしてすでに観客5 万人。この頃、まだ観客に投銭の感覚が定着せず、両替商が出ていたという。第5回目頃からフランスをはじめとする海外からのパフォーマーが増え始め、第 10回目には28人を数えた。投銭も定着してきたことから、芸人の間でもその盛況ぶりが評判となり、第13回目には国内外200組500人の芸人が集まる。この時観客12万人。第19回目ともなると、横浜市が主催者に加わり、「野毛大道芸ウィーク」として1週間のロングラン公演を開催。増えつづける観客と、出演を希望する芸人のために、この回からみなとみらい21地区へと会場が広がった。観客数50万人という空前の人出を記録したのが第24回。第26回目から伊勢佐木町地区も加わり、昨年第27回目には88万人もの観客を動員した。

みなとみらい21公式ホームページ

■野毛独特の投銭とボランティア

野毛大道芸では芸人に出演料はなく、芸人は「投銭」のみで稼ぐ。「投銭」とは大道芸に対する見物料のことで、観客がそれぞれの満足度に従ってお金を投じる。これは西洋型の大道芸で、野毛が戦後、定価のない「闇市」だったことから取り入れられた。西洋型は国内でも稀であり、大道芸を始めた当初は投銭も集まりにくかった。各国から集まる外国人パフォーマーのなかにも、投銭に対する温度差はあったようだ。野毛大道芸実行委員である山村氏によると「モンゴルや韓国のパフォーマーは、はじめ投銭というシステムに抵抗があったが、貨幣価値の高い日本円が集まるにつれ、馴染んでいった」という。芸人が2日間で、どれくらい投銭を集めるかは、申告がないため正確には分からない。過去、現代民謡の伊藤多喜雄さんがCDの販売も含め、2日間で200万円の投銭を集めたという話が残っている。最近の傾向としては「バブルの時代には万札も珍しくなかったが、今は千円札や硬貨が主流。ビール券などの金券や、宝くじ、お菓子が投げ込まれることも」と世相を反映して、観客数と集まる額の単純な比例図式は成立しない。また、ドル、ユーロ、元、ウォンなど各国の紙幣が集まることから芸人だけでなく、観客も国際色豊かだ。

野毛大道芸実行委員会が主催する野毛大道芸は、横浜松坂屋や三菱地所などの協賛を始めとする、様々な方面の協力を得て成り立っている。規模が大きくなるにつれ、予算も拡大、ほかに足りないものがあるとしたらマンパワーだ。何十万もの観客に対し、イベントを支えるボランティアスタッフは100人程度。このボランティアの手によるところが大きいのが、野毛大道芸の特筆すべき点だ。「野毛大道芸は街の人やボランティアによる手作りのお祭り。古くから参加している芸人のなかには、一緒に創りあげてきたという仲間意識もある」と山村氏は語る。

「大道芸をきっかけに、若い人たちが野毛に足を運ぶようになった」とは街の声。18年間続けてきたことで、街のPRとしての効果は十二分に発揮された感はあるが、みなとみらい線開通の影響を考えると、節目の年となりそうだ。今年、新たな試みとして、みなとみらい線馬車道駅を野毛の最寄駅に設定し、特設ステージを設置。野毛近郊の発展には目覚ましいものがあるが、周辺の地域ともうまく調和を図る試みで、今年も幕を開ける。

みなとみらい線公式ホームページ
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