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【エリア特集】2004-09-16

欧州発、クルマ社会を見直す日
ヨコハマで始まるカーフリーデー

欧州発、クルマ社会を見直す日ヨコハマで始まるカーフリーデー

EUを中心に世界に広がる「カーフリーデー」。車と環境問題、都市交通のあり方、街の賑わいなどを考える日として、各国で社会実験が行われている。日本初のカーフリーデー実施に向けスタートした横浜のアクションをレポート。

■世界と日本のモータリゼーションの現状と問題

現在世界には何台の車があるのかご存知だろうか?調査によると現在世界には約7億8000万台の自動車があるという。その内訳は、アメリカが30%、次に多いのが日本で10%、3位はドイツで6%となっており、日本は世界2位の自動車大国と言える。国連の見通しでは、世界の自動車保有台数は2010年には世界で9億台、2030年には16億~20億台に達する見通しだという。車を保有することは便利だが、過剰なモータリゼーションには多くの弊害があることも事実だ。

道路交通センサス(全国道路交通情勢調査)によると、一般国道、主要地方道、都道府県道における全走行のうち約半分が渋滞中の走行であり、それにより社会経済の効率性、生活の利便性、環境問題などの点で大きな損失が生じている。建設省による試算では、日本の交通渋滞による損失は年間12兆円(国民1人当たり42時間のロス)にも上るという。そのうち東京都の渋滞による損失は約5兆円を占め、都市部では特に交通混雑が深刻であることがわかる。

国土交通省道路局 道路関係データ

■ベイブリッジ一般道開通で横浜都心部の交通の改善

都市部における渋滞緩和策の一つに、道路整備によって一般車の地域内交通と長距離輸送車の交通を分けることがある。横浜では、今年4月に総工費約470億円をかけた横浜ベイブリッジ一般部(国道357号)が開通し、無料でベイブリッジを利用できるようになった。この開通により交通混雑の原因であった本牧・大黒埠頭間を一般道で移動するコンテナ車の多くが市の中心街を通らずにベイブリッジを利用するようになった。国土交通省関東地方整備局は開通後の交通・環境の実態調査及びアンケート調査を実施し、9月に調査結果を発表した。それによると市街地でのコンテナ車の交通量が約80%減、排出ガス量が約7%減、通勤時間帯の平均走行速度が約15%増などの成果があったという。同局は渋滞緩和による交通時間短縮効果により、年間約31億円の便益があると算出した。

国土交通省関東地方整備局
横浜ベイブリッジ一般部(国道357号)が開通

■欧州の都市で進む「脱車社会」とヨーロッパの「カーフリーデー」

欧州では30年以上も前から車社会の弊害に気づき、公共交通機関を充実させることで都市部内でのマイカーの移動を減らすという政策がとられている。移動手段として鉄道やバスはもちろん、LRT(近代型路面電車)やレンタサイクル、自転車タクシー、カーシェアリングなどの環境への負荷が低い交通手段が積極的に導入され、マイカーを持たない人も増えてきている。自宅から最寄りの駅に近い駐車場に駐車(パーク)し、そこから電車など公共交通機関に乗って(ライド)都心部へと通勤する「パーク&ライド」という通勤スタイルも定着している。この都市部での「脱車社会化」を通して都市交通のあり方や街の賑わいについて考えるための社会実験として始まったのが「カーフリーデー(車から自由になる日)」だ。

「カーフリーデー」とは都心部の特定地区内で朝から夜までマイカーの乗り入れを禁止し、公共交通と歩行者天国の空間をつくることで都心部での交通環境を見直すというもので、毎年9月22日に実施されている。1997年に開催されたフランスの地方都市ラ・ロッシェルでの社会実験「車のない日」がその発端。翌年からフランスの国土整備・環境省が参加を呼びかけ、賛同したフランスの各都市を中心に周辺都市が参加。名称を「カーフリーデー」に変え、2000年にはEUのプロジェクトとして欧州全土に一気に拡大し、2002年には正式参加都市・賛同参加都市を合わせて1400以上もの都市が参加する大規模プロジェクトとなった。欧州の300以上の都市ではカーフリーデーの前後をモビリティ週間とし、マイカーから公共交通への転換実験を行なっている。それぞれの参加都市では自治体がガイドラインにサインをし、自治体と参加・協賛団体が出資をしてイベントを開催している。

ヨーロッパカーフリーデー

イベント当日はマイカーを止める駐車場を確保しシャトル便を出すほか、電車やバスなど公共交通機関を増便し低料金(または無料)で運行したり、レンタサイクルを街中に設置するなど、マイカーに頼らなくても都市内を移動できることを実感してもらうための施策を行なっている。また新しい交通施策や交通システムの実施・導入に向け、様々な団体が環境について考えるキャンペーンや展示会なども開催している。欧州で行なわれた調査によると、カーフリーデーに参加した人の80%以上がこの活動に賛同し、イベントによって実際に不便になったと答えた人はわずか4%だという。パリでは一酸化炭素が10%減り、騒音レベルが半減したなどの効果も上がっている。毎年カーフリーデーに参加することで都市交通政策が充実し、実際に都市の中心部が「カーフリー」になった都市もあるという。

ヨーロッパカーフリーデー マイカーの乗り入れを禁止 レンタサイクルを街中に設置 自転車で街を散策 歩行者天国となった道路を歩く人

■日本でのカーフリーデーの展開

欧州では毎年の行事として定着し、アジアでもタイ・中国・台湾などの都市が参加しているが、日本ではまだ参加都市がなく、カーフリーデーという取り組み自体がほとんど知られていないのが現状だ。そんな中、ヨーロッパカーフリーデーの日本担当として日本での普及活動を行なっているのは「株式会社アトリエUDI都市設計研究所」代表取締役の望月真一さん。望月さんは毎年欧州のカーフリーデーに参加し、日本でも広めたいという思いから2000年に「TOKYOカーフリーデー」の企画に参加。多くの人にカーフリーデーの取り組みを知ってもらうことを目的にイベントを開催した。しかし実際に車の交通規制をするには行政・警察・商店・市民などの協力が必要で、日本ではいまだに社会実験としてのカーフリーデーは実施されていない。「他の国では環境省の呼びかけに応じた自治体が主体となって行なわれているもの。市民やNPOの頑張りだけでは実現できない」。望月さんは全国の自治体や市民団体にカーフリーデー開催の提案を行っている。

アトリエUDI都市設計研究所 TOKYOカーフリーデー

横浜でもカーフリーデーを実施しようという呼びかけを始めたのは「NPO法人横浜にLRTを走らせる会」事務局の松川由実さん。同会は昨年末に設立された、街づくりのための交通システムを考える団体。横浜の都市交通に環境に優しい低床路面電車「LRT」を導入することを目的に活動しているが、LRT自体があまり知られていないこともあり、他のNPOと協働する機会が少なかった。そんな中、松川さんはカーフリーデーという取り組みを知り、ぜひ横浜で実現したいと思ったという。「カーフリーデーならNPOの連携が作れるかもしれない」そんな思いもあり、今年の6月に同会の理事会に提案し、欧州とは1日違いだが休日である9月23日にイベントを開催することが決定した。

NPO法人 横浜にLRTを走らせる会
みなとみらいにLRTが走る合成写真 「横浜カーフリーデー」ポスター 「横浜カーフリーデー」事務局の松川由実さん

■横浜カーフリーデーの取り組み

松川さんは環境・交通・まちづくりに関連したNPOや市民団体に「横浜カーフリーデー」への参加を呼びかけ、30を越える団体が参加する運びとなった。9月23日には横浜美術館前「美術の広場」にて燃料電池車の展示やレンタサイクル「ハマチャリ」営業所の設置、子供が乗れるミニチュアの市営バス「ちびっこバス」の設置、太陽光発電・風力発電燃料電池の実験などのほか、ウォーキングやサイクリングなども行い、車では見過ごしてしまうような街の魅力を再発見する。また横浜市開港記念会館では参加団体の紹介や環境問題に関するパネル展示や地球温暖化問題に関する映像の上映などのほか、「車社会を考える:カーフリーは街の賑わいの出発」と題したシンポジウムを行なう。パネラーは横浜市地球温暖化対策地域協議会会長の加藤三郎さん、環境自治体会議環境政策研究所の上岡直見さん、横浜カーフリーデー実行委員長の大内えりかさんらが務める。

横浜カーフリーデー 横浜カーフリーデー cocolog 横浜市地球温暖化対策地域協議会 環境自治体会議

カーフリーデーとは、車を全否定するのではなく、都市における車と人の関係を見直し快適で住みやすい都市をつくるためのきっかけを提供するもの。マイカー利用者より公共交通利用者のほうが街での滞在時間が長くなるという傾向もあり、環境のみならずまちづくりの観点からも公共交通の充実には意義がある。松川さんは「多くの方に広く知ってもらうのが今年の目標。環境、教育、アート、エネルギーなど様々な分野の市民活動団体と一緒にイベントを行うことでお互いを知り、横のつながりを強めることができる。また、行政や企業に働きかけるなかで取り組みに理解を示し、賛同してくれる人も増えてきている。来年は協働推進事業として横浜市に提案し、横浜を日本初のカーフリーデー参加都市にしたい」と語る。そのためイベント終了後はすぐに報告書を作成し、社会実験としてどうのように取り組むべきか来年以降の企画を考えたいという。「最初は道一本からでも車の乗り入れを止めて、少しずつ可能なエリアを拡大していきたい」。

交通規制を伴うカーフリーデーの実施には行政・警察・地元企業・市民・議会などの理解と協働が必要であり、カーフリーデーの実施はその実験の場でもある。実現は容易ではないが、欧州ではできているのだから日本でもできるはずだ。現在松本、名古屋もカーフリーデー賛同都市として名乗りを上げている。開港以来真っ先に西洋の文明を吸収してきた「国際都市・横浜」。ここから日本全国へと広まっていくよう、横浜カーフリーデーの取り組みのさらなる発展に期待したい。(写真提供:望月真一さん、松川由実さん)

イベント会場となる横浜美術館前「美術の広場」 ミニチュアの市営バス「ちびっこバス」 シンポジウムが行われる横浜市開港記念会館
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自車は動をやめて転にする日【サイクルロード ?千里の自転車道も一ブログから?】

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9月23日は、くるまをおいて街に出よう。いよいよ日本初の「カーフリーデー」が横浜で実施されます。カーフリーデーとは、1997年にフランスの小都市か...(2005-09-11 03:49:23)

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