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黄金町で現代芸術家の川埜龍三さんが個展ー漆黒の空間に漂う小舟「常夜海」

岡山在住の現代芸術家・川埜龍三さん

岡山在住の現代芸術家・川埜龍三さん

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 Gallery Saitou Fine Arts(横浜市中区初音町1)で9月5日から、芸術家 川埜龍三さんの展覧会「常夜海(とこよのうみ)」が開催されている。

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 同展覧会名にある「常夜(とこよ)」とは古典に出てくる表現で、常に暗い夜の状態のこと。メーンの「常夜海」は、高さ157×奥行き130×幅74センチメートルの立体作品で、漆黒の中を貝のかぶりものをした女性が乗る小舟が漂う。船底から流れ出した赤い血で小舟が浮いているように見える印象的な作品だ。小舟に櫂(かい)はなく、船底にはフジツボが張りついており、暗い海に漂った時間の長さを感じさせる。

 会場では、入り口通路に海をイメージさせる平面作品10点と小さな備前焼の小舟21点が並び観客を誘う。会場奥は一転して漆黒の空間。メインの立体作品とその原画「常夜海」、平面作品「常夜月(とこよのつき)」が浮かび上がるように展示されている。黄金町の細長く狭い会場空間をうまく利用した。「横浜で個展をすると決まったときに海のイメージが浮かんだ」という川埜さん、会場で流れる音楽を含め、自身の展覧会では7年ぶりにすべて新作で構成した。

 川埜さんは「真っ暗闇の中で、どこから出発しどこへ行くのかわからない小舟。その不確実さは現代に生きる私たちともイメージが重なる。そんな中でもみんな頑張ろうというメッセージを込めた」と話している。 

 川埜龍三さんは1976年神戸市生まれ。岡山県笠岡市にアトリエと住居を構え、倉敷市にオフィシャルギャラリー「ラガルト」を持つ。絵画・版画・彫像など表現方法は多岐にわたるが、中でもFRP(繊維強化プラスチック)を使った大きな立体作品が特徴的。瀬戸内海の犬島に設置されたパブリックアート、犬島ハウスプロジェクト(2012~2013)の制作の際に、横浜のシェアスタジオ「ハンマーヘッドスタジオ 新・港区」でワークショップを開催しているが、横浜でまとまった個展を開くのは初めて。

 開館時間は11時~19時。9月30日まで。最終日の30日は作家在廊。

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