特集

京急グループ本社1階に誕生した京急創立120周年事業「京急ミュージアム」の全貌
~「本物」を見て、触れて、楽しむ~

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開業121周年の1月21日

 京急ミュージアム(横浜市西区高島1)が2020年1月21日オープンする。横浜市では本社やR&D(研究開発)の誘致を進めており、京急電鉄株式会社は、2019年9月から本社を西区高島に移転した。ミュージアムは、2階以上が京急電鉄株式会社の本社となった建物の1階にオープンする。

 オープン日は「121年前」の「1月21日」が京急の開業日であることにちなんでいる。


1899年(明治32年)1月21日午前10時、1両の電車が六郷橋から大師へ向けて走った(写真提供=京浜急行電鉄株式会社)

 本社の1階がミュージアムになる形だが、低層部をアクティビティフロアとして一般の人が入れるようにすることは、横浜市の「みなとみらい21中央地区の都市景観形成ガイドライン」と、同地区の「みなとみらい21街づくり基本協定」で定められている。街のにぎわいをつくることを目的としており、京急本社ビルに隣接する資生堂の複合体験施設「S/PARK(エスパーク)」や、 横浜三井ビルディング2階の「原鉄道模型博物館」も同じ施策に基づいている。

 2020年1月20日、報道向けの内覧会があった。本稿では一足早く、ミュージアムの様子をレポートする。


白い外壁の本社、外には電車を模したイスが並ぶ


さまざまな車両をモチーフにしたイス「ケイキューブ」

京急ヒストリー、昭和初期に活躍したデハ230形「デハ236号」

 建物の外からも見える展示の目玉は、1929(昭和4)年製造で、品川~横浜~浦賀間の直通運転を実現した歴史的車両。ビルが建ってからでは入れられないため建築中に運搬設置した。ミュージアムではこの車両内に入ることが可能だ。


前方、運転席側の座席


後方には京急の歴史を紹介するコーナー

 1978(昭和53)年に引退後、埼玉県の川口市立科学館で保存されていた車両で、野ざらしだったため痛みがひどかったが、京急が2年かけて修復した。

京急ミュージアム 京急車両「デハ236号」車内 - Spherical Image - RICOH THETA

京急車両「デハ236号」車内 360度イメージ(※ドラッグをすると回転)

 この車両にはもうひとつの楽しみ方があり、外からパンダグラフの操作が可能だ。


本物のパンダグラフ昇降ボタンを使ってバンダグラフを上げ下げできる


動画でみるパンダグラフの上げ下げ

 埼玉県に保存・展示されていたころと比較してみると、生まれ変わったかのようだ。


修復前の行先票は「川口市のみなさまありがとう!横浜行」

 総修復時間は約9800時間、従業員数約100人で、2017年5月~2019年5月までの約2年間掛けての修復。2017年の5月に車体を確認したOBは「正直ちょっとボロボロで驚いた」と感想を持ちつつも「乗務員室や床下はきれいで、全部部品もそろっていた。埼玉でみんなきれいに使ってくれていたんだなとうれしくなった」「部品は状態がよかった。あんなにきれいに残っているとは思わなかったよ」と、外観は痛んでいたものの、ほとんど当時のままの姿を残す車体に目を細めたという。


修復前の車内

 普段は客室のみで運転室の立ち入りはできないが、運転席もしっかり修復されている。

京急ミュージアム 京急車両「デハ236号」運転席 - Spherical Image - RICOH THETA

京急ミュージアム 京急車両「デハ236号」運転席 360度イメージ

沿線風景を再現、京急ラインジオラマ

ミュージアムの中央には、沿線風景を再現した長さ約12メートルの巨大ジオラマ。京急電車の模型が走っており、模型の先端に搭載したカメラ映像を見ながら、運転の操作体験も可能となっている。


2階から見下ろした様子。車両(左)と比べるとジオラマ(右)の大きさがわかる


本物の800形電車運転台で操作体験ができる

気分は電車やバスの運転手

 さらに本物の新1000形電車運転台による実車映像の「運転シミュレーション」や、バス運転台を再現した「バスネットワーク」コーナーもある。  


コーナー名は駅名のように表示

京急ミュージアム「鉄道シミュレーション」 - Spherical Image - RICOH THETA

「鉄道シミュレーション」 360度イメージ

お土産にはマイ車両

 子ども向けに、オリジナル車両デザインの体験コーナーもある。


真っ白な京急車両オリジナルプラレールにカラーリング


オリジナルボックスで持ち帰ることができる

日本で初めての標準軌、可能性への挑戦

 新橋~横浜間に1872(明治5)年に日本で最初の鉄道が開通した時、2本のレールの間隔は1067mmだった。これは狭軌と呼ばれ、標準軌と呼ばれる1435mmより狭い。スピードを上げて安定走行するためには幅が広い方がよいとされ、新幹線などでは標準軌を採用しているが、京急の前身の大師電気鉄道は将来を見据えて、まだ小さな路面電車にすぎなかった1899(明治32年)年の開通時に日本で初めて標準軌を採用した。

 標準軌への誇りは随所で見られ、展示内でも解説されているほか、「デハ236号」の上の天井の木の幅も標準軌と同じ1435mm。外に出ると、標準軌は創業以来の「進取の精神」「可能性への挑戦」の象徴であることが、外周の囲いにも記されている。


文字色は控えめだが、囲いの幅も標準軌と同じ1435mm

京急ミュージアム、グランドオープン!

 ここからは、開業日のオープニングセレモニーの様子をレポートする。

 1月21日、9時10分、オープニングセレモニーが開会。


司会は女子鉄アナで知られる久野知美さん


2019年11月の久野さんの著書「京急とファン大研究読本」は京急が全面バックアップ

 冒頭で京急電鉄株式会社取締役社長、原田一之さんがあいさつ。


「京急電鉄を始め京急グループ12社がみなとみらいに集合しました」

 ゲストは、鉄道ビック4として知られるタレントの中川家礼二さん。 「夢のような施設ができました」、「運転シミュレーターのクオリティが高すぎて、乗り物酔いしそう」とコメント。 その後、京急ミュージアムにふさわしい単語を中川さんに選んでもらう場面が。


「京阪もいいですよね」のセリフに原田社長もドッキリ


「提携するのもいいですね」と久野さんが笑顔でフォロー


最後は「未来」に決定

続いて「デハ326号」に取り付けるヘッドマークに署名。


そつなく中川さんが署名する横で、原田社長はサインがないと悩みを口に

 「大丈夫です! 社長にサインがあったらびっくりします!!」と中川さん。原田社長に続いて執行役員の道平隆さんもサイン。

 完成したヘッドマークを取り付けるのは、横浜駅長とミュージアム館長。 「デハ236号」車両にヘッドマークがつけられ、オープンカウントダウン。


なんと二人は同期だそう

 そしていよいよテープカット。


京急電鉄のけいきゅんと、京急バスのけいまるくんも登場

 BGMが華やかに鳴り、10時、グランドオープンした。

 一連の様子の記録動画はこちらから。

 開業から2月24日までは、オープン当初は混雑が予想されることから、インターネット事前申し込みによる抽選入場(各日300名)、すでに申し込みは締め切りとなっている。2月25日以降は 10時~17時、火曜休館、入館料無料、体験などは有料。


京急ミュージアム、出~発


進行!!

 

紀あさ+ヨコハマ経済新聞

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